やってきた死
その後、聡の身には取り立てて変化は起きない。
当然だと言いたいところだったが、聡は少しだけ不安になっていた。
夢にしてもあまりにもリアル。
あれが本当だったらどうなると考える。
それがどこも悪いわけでもないにもかかわらず、病院に出かけ心臓を調べてもらおうとした理由だった。
だが……。
「……どこも悪くない。心臓の音。脈拍。それに血圧。すべて問題なし。これでどうして心臓に問題があるのかと思ったのかな」
医者はそう言って笑う。
「夢で……」
思わずそう口にしてしまった聡の肩を叩いた医者の笑みは深くなる。
「その夢がどのようなものかは知らないが、断言しよう。異常なし。明日君が心臓発作で死ぬことはない。安心して学校に行きたまえ」
そして、耳元でこう囁く。
「明日学校に行きたくない理由でもあるのだろう」
「昔は……」
「そういうことで学校をさぼろうとした学生は山ほどいたが、今時の学生でも同じ手を使うとは思わなかった」
「……その手を使ってさぼった先輩から助言をすれば、結局どれだけ逃げてもやってくるものはやってくる。逃げ回らずさっさとお縄を頂戴する方がいいだろう」
結局、希望していた精密検査は受けられず、「健康」というお墨付きをもらい帰宅した聡だったが、むろんそれは望ましいことであり、まずは一安心ということで五日目を迎える。
だが……。
「くそっ。あの藪医者。何が健康だ……」
油汗。
そして、声も出せぬ。
のたうち回るような激しい痛みは強くなるばかり。
そう。
五日目の早朝。
それは突然やってきた。




