20/28
深層に埋もれていたある感情
「やってくれたな、クソ天使」
聡は自分を生かしている相手を口ぎたなく罵る。
「これは間違いなく、あの時のお返し」
「前回とは違い、本人が死ぬ気満々。そのような奴を止めることができるかという挑戦」
「もちろん受けて立つ。受けて立つが……」
「どうやったら橘弥生に自殺を思いとどまらせることができるのだ」
「そもそも、あいつが自殺を思いつくようなことを言っているのが、誰でもない。この俺だ。その俺が何をすればいいというのだ」
「だいたいなぜ死にたいと思うのだ?」
「這ってでも生き残りたいと思う俺にはその心境はわからない」
「……本人が死にたいと思っているのだ。いっそのこと、本人の望み通りに……」
そう考えたところで聡は自分を笑う。
「なぜ俺は橘弥生を救おうとしているのだ?」
そして、思考の末辿り着いたのは、心の深いところに眠っていたある感情。
「俺は橘弥生が好きなのか?」
「だが、あいつは俺を相手にしない。それが気に入らないから悪態をついていた……」
「いやいやいや。そんなことは断じてあり得ない」
「それこそ絶対に認められない」
「とにかく」
「とにかく、今日、あいつの意識に潜り込む」




