さぁ、始めようか。独立戦争 羽田ツバサ
2051年 8月15日
午前2時 独立自治地区熱海エリア第二地区 日本陸軍熱海駐屯地 外周
「よし時間だ。はじめるぞ」
一人の男の合図と同時に数名から十数名ほどの人間が行動を開始した。
同刻 駐屯地内
「ふわぁ~ねみい」
「おいしっかり見張っとけよ~。不審者とかが入ったら大変だからな」
「んなこと言ったってよ、こんなとこに誰がくんだっての」
「そんなこと俺が知るかよ!」
警備兵は警備などせずただ時間が経つのを待っているだけだ。
こんな見捨てられた土地の駐屯地の警備兵などさせんもいいところだ、と彼らもわかっていた。
「ま、なにもないってのは平和でいいけど」
「そうだな。平和が―」
ビィィィィィィィ!!!!
駐屯地ないに警報が鳴り響く。
「な、何だ!?」
「まずは確認だ!」
「あ、あぁ」
午前2時05分 独立自治地区旧都心エリア第一地区 新宿メディアタワー
「代表、そろそろ時間です」
背広をきた執事のような男が皆本貞二を誘導する。
「やはり日本政府からの回答はないか」
「はい、未だにテロリストの要求は受け入れられんと」
「そうか。ならば仕方ない、始めようか」
皆本貞二はいすに深く腰掛け、PCを立ち上げた。
「これでもう引き下がれない。もう同じ道を歩むことはないのだな、総二」
貞二の目はどこか虚ろ、悲愴なオーラを漂わせていた。
「せめて子供たちには手を取り合って生きてもらいたいものだな」
午前7時00分 日本国首都 京都 三条河原町高島屋大液晶画面
今日も新しい首都はこれまでと変わらない様子で動いていた。
ギィィガァァァァ!!
高島屋にある巨大電光掲示板のスピーカーからノイズが響く。通行人達が一斉に耳を塞いだ。
「全世界、特に日本人の諸君。おはよう」
液晶には皆本が映し出されていた。
通行人は皆足を止めて画面に見入った。
「まず私の自己紹介をしよう。私は皆本貞二という政治家だ。かつて東京といわれ首都だったところの代表をしている」
貞二はいたって真面目だが口調はどこかワクワクしているように見受けられる。
「そしてそんなやつがなんのようだ、というところだろう諸君」
既に画面のあたりにはおおきな人だかりができて近くの交番から駐在が出てくる始末だ。
「我々、旧首都圏独立自治地区は極東国として日本国からの独立をここに宣言する」
ザワめきがどよめきに変わり、すぐ静まった。駐在までもが見いている。
「まぁ私が言いたかったことはそれだけだ。理由とかは報道各社に送っておいたから後で報道されるだろう」
皆本の声は弾んで聞こえた。表装とは裏腹に。
「既に日本軍の基地はすべて制圧済みだ。兵士諸君は安全に拘束したあと、日本へ送還させてもらったよ」
画面を見つめていた市民の顔は二種に分かれていた。
不安に満ち溢れていていまにも駐在に喰ってかかりそうなもの。
はたまた、何か映画の撮影だと思い現実から目を背けようとしているもの。
「面倒くさいことは省く主義なのでな、ここで終わらせていただこう。最後に一つ」
「これは現実であり、我々を見捨てた君たち日本人の被るべき罰だ」
この言葉を最後に映像は止まった。
京都の街はまたいつもと変わらないように動き始めた。
かに思えた。
極東国第3区横浜市あざみ野




