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0 始まり
「……ん?」
目を開けた途端、思考が止まった。
朝の陽ざしが差し込む、いつもと変わらぬ俺の寝室。
しかしその横には、柔らかなプラチナブロンドの髪をした美少女がすうすうと静かな寝息を立てて眠っていた。
「――ってか、この体制……」
俺と彼女の距離はゼロ。
というか、俺は今抱き寄せられている。
一体何があった?
……いや、違う。
それよりも――
「なんで俺のベッドで寝てるんですか、向坂さん」
俺がそう呼びかけると、彼女は一言。
「んー……もうちょっとだけ寝かせて」
むにゃむにゃと寝ぼけている向坂さんは、俺の腕をぎゅっと引き寄せる。
「寝ぼけてますね、向坂さん」
「んぅ……それを言うなら君もだよ。あの日のこと、忘れたの? 君がお姉さんを拾ったんだから、責任取ってよね」
柔らかく笑う向坂さんに甘い声でそう囁かれ、俺は全てを思い出す。
――そうだ。俺はあの夜、拾った。
うずくまっていた負けヒロイン、向坂海奈を。




