悪役令嬢は結婚する
「おめでとうございます。お姉様」
「うっリザーフちゃん、うっ」
「そんなに泣かないで、あなた。リザーフちゃんとっても綺麗よ」
「ありがとうございます、お父様、お母様、ルシュ」
「綺麗だ、リザーフ」
「ありがとうございます。ファスター様」
二人が微笑み合いながら、感動の瞬間を迎えたとき、リザーフはそっと呟いた。
「今夜が大変楽しみです」
「おい」
「おめでとうございます!」
「おめでとう!」
人々に祝福された二人は、ついに夫婦となった。
式の後。身を清め、夫婦の寝室でリザーフは胸をときめかせながら待機していた。バスローブ姿で。
「待たせたな、リザーフ」
「いいえ。待ってませんわ。ファスター様。私、あなたのことお慕いしておりますの」
リザーフは、ヒロイン語録をここぞとばかり流用した。リザーフのとろけるような笑顔を受け、ファスターは覚悟を決めた。そして、顔をそっと持ち上げ、口付けをしようとしたその瞬間。
「ぴーーーーー! カランカラン!」
突然緊急時の笛と金の音が鳴り始めた。
「何事だ!?」
「失礼いたします、ファスター殿下。隣国が攻めてまいりました」
「なんで今!?」
「許さない、イケメンとのイチャイチャを私がどれだけ我慢したと思っているのよー!!」
ブチギレたリザーフが、隣国に向かって氷魔法を打ちまくった。脅威的な威力で撃たれたその中の一つが、見事、隣国国王を捕えることとなった。氷結令嬢として国民たちに感謝されるリザーフが、ファスターを食べることができるのは一体いつになるのだろうか。
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