表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/67

おっさんと砂漠都市②

冒険者ギルドに支援物資を搬入すると砂漠を戦闘しながら走ってきた疲れを癒すために一旦解散となった。


慣れない砂漠地帯から雪原への行軍はいつも想像以上に体に負担をかけているのだろう。


職員の指示で部屋割が決められ、それに従いそれぞれの宿へと向かった。


俺はアントン達と一緒に宿の大部屋で眠る事になった。


ランクの高い順に良い部屋を当てが割れているので、Cランクの俺たちは大部屋でも仕方ないな。


その夜はぐっすり眠れた。


翌朝、キャサリンは大部屋にはいなかった。


何をしていたか考えたくない。


ただ、食堂に行くと何人かの冒険者が自分の尻を抑えていた。


ナニがあったのだろう。


ちょっとアントンたちとは距離を置こう。


俺も処女を散らしたくない。


昨日で輸送任務は終わりだし、これからは個人で動くか。


俺は素早く朝食を食べ終えると冒険者ギルドへ向かった。


「早いですね」


金髪の美人受付嬢が声を掛けてきた。


「どうやら一番乗りみたいだな」


周りを見るが冒険者どころか職員もいない。


あ、トイレ掃除していた職員がいたのか。


掃除道具をもってトイレから出てきた所だった。


「ちょっと聞きたいんだが、いいか?」


「ええ、もちろん」


「なぜ、砂漠なのにこんなに雪が積もっているんだ?」


「そうね、何から話せばいいのかしら?えーっと、この街の北に古い神殿があるの」


「神殿?」


「ええ、誰がいつ作ったのかも伝わってないほど古い建物です。そこを探索していた冒険者が、未発掘エリアを発見したんだけど、そこの棺に封印されていたのが今回の元凶と見てるわ。それで、今回到着した高ランクの冒険者たちに退治してもらおうって。」


なるほど、SランクやAランクの一団なら倒せるだろうって考えは理解できる。


っていうか、そいつらが失敗したら軍隊を派遣することになってしまう。


そうすれば、周辺国からあらぬ疑いをかけられたりするだろう。


国は補助金をだしても冒険者に倒してもらいたいだろうな。


「そうか、話は分かった。で、俺は残念ながらCランクなんだが何かできることはあるか?」


「ええ、もちろん。仕事は山盛りよ。…そうね、これなんてどう?」


渡された1枚の紙。


「…雪かき」


「それも大事な仕事よ。雪かきしないと通りも家も雪に埋まってしまうわ。街の人全員がやっても追いつかないエリアもあるんだから。」


「そんなに降るのか。早速手伝おう。」


「それなら街の北部をお願い。老人が多くてあんまり雪かきができていないの」


そして、街の北部で老人たちに紛れて雪かきを始めた。


しばらくすると、数人の冒険者がやってきて一緒に雪かきをした。


数人と言っても一般人以上の力を持つ冒険者だ。


雪かきが進んでいくが、それでも雪が新たに積もっていく。


終わりの見えない戦いだ。


暗くなり、俺は近所に住む老夫婦の家にお邪魔することになった。


雪かきしていて、仲良くなったんだ。


息子夫婦が街の南部に住んでいて孫もたまに遊びに来てくれるとか。


とても穏やかな御夫婦だ。


俺もあんな風に年を取りたい。


多分、生体強化の影響で何千年後かの話だろうけど。


結局、担当していた地域の雪かきは5日ほどかかった。


その間、異常気象が収まることは無かった。


「任務完了だ。」


夕方になり、ギルドに戻り受付嬢に報告した。


「ええ、お疲れ様。中々評判がよかったわよ。」


まぁ、雪かき以外にも屋根や壁を修理したりしていたからな。


さすがに、寂しくて話を聞いてほしいって人は断ったが。


「で、調査隊はどうしたんだ?元凶は倒せたのか?」


「…失敗したわ。多くの怪我人を出しながらも元凶は確認できたわ。討伐は無理だったけど、最低限の仕事はしてくれたわ。」


「それで、元凶はなんだったんだ?」


「氷の女王よ。」


「氷の女王?」


「氷でできた体と服を着ていたそうよ。意志の疎通が出来て、聞いた話では氷の王国を復活させるために世界を氷漬けにするのが目的だそうよ。」


「そこまで話しが聞けたのか。交渉上手な奴もいたのか」


「ええ、それで戦闘になったけど、氷の女王のブレスで一歩も進めずに撤退したの。怪我人はいるけど死者はでてないわ」


「さすがは、上位ランクの冒険者たちだな。それでこの後の作戦は?プランBは?」


「そんなものないわ。ギルド長が本部に増員のお願いしているけど、無理っぽいし、何かいい考えないかしら?」


寒さで一歩も近づけないのか…


「…私にいい考えがある。」


「いい考え?」


「ああ、上手くいけば誰も怪我もしない。神殿は壊れるが確実に倒せる」


「どうやるの?」


「それは、…まぁ、色々と。明日の朝までには結果がわかるだろう。」


そう言って、ギルドを去り人目を避けて街を出た。






やってきたのは数日前に泊まった温泉街だ。


なんだか一カ月以上前に感じるのは気のせいだろうか?


この温泉街に来るときに乗ってきた小型戦艦がある。


俺はコックピットハッチを開き中に入ると発進準備を整えた。


今回は()()()()()()からいつも以上に入念にチェックだ。


数分でチェックと発進準備が整い、小型戦艦はものすごい早さで上空4000メートルまで上昇すると砂漠都市に向かった。



砂漠都市を通り越し北へ向かうと古い神殿が見えてきた。


あの地下に氷の女王がいるんだな。


小型戦艦からペットボトルの蓋の大きさのマーカーを神殿に向かって射出。


小さいながらも頑丈なマーカーだ。残りはそんなに多くないが、まぁ大丈夫だろう。


マーカーが淡い青い光を点滅しながら落下していくのを、ディスプレイで確認する。


大丈夫だ。無事に地上に落ちた。


俺は小型戦艦のレバーを押して出力を上げると宇宙へと飛び立った。




この星の周りにあるスペースデブリにアンカーを射出。


アンカーで固定した巨大なデブリをマニピュレーターを使いマーカーに向かって宇宙から落とす。


もちろん、軌道計算はばっちりだ。砂漠都市に衝撃波が来るような巨大な隕石ではない。


大気圏で燃え尽きず、地上にダメージを与えるんだ。


それなりの大きさがないと効果がない。


軌道計算に射出タイミング、すべてがオートでやってくれるので楽でいい。


アンカーが外れマニピュレーターがデブリを軽く押すと静かに地表へ向かって降下していった。


まず一つ目。


俺は周囲にある10個のデブリを反応が消えてマーカーの地点へ向けてドンドン落としていった。






この日、砂漠都市上空を11の流れ星が流れた事を住民は知らなかった。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ