働いたら負けかなと思っている①
ついに恐れていた日になってしまった。
今日、冒険者ギルドで更新しなければ登録抹消になってしまう。
昨晩のうちに給仕の娘に朝に起こすように言っておいたので、ちゃんと昼前に起きることができた。
我ながら早起きだ。
着替えをして、腰に鉈(錆びている)を付け、ローブを着用する。
どうみても、不審者です。
さて、通報される前に冒険者ギルドで仕事しますか。
ちょっと離れた村から出された依頼で、街道に現れたオーガ?の討伐依頼。
実際はBランクで討伐されるオーガだが、受付嬢のフェノが『オーガの討伐』から
『オーガの可能性もあるが、魔物を調査し、可能なら討伐』というCランク向けに変えてくれた。
っていうか、これって詐称依頼にならいか?
フェノは笑って誤魔化そうとしていたが、他の冒険者にやったらアウトだと思う。
バレたら一発でクビだな。
正確な情報があるにも関わらず、調査して可能なら討伐でランクを下げるって駄目だろう。
冒険者の危険度が全然違う。
…まぁ、この依頼が一番近場で受けられるから文句は言わないが。
そして、現地の村人に案内されて目撃された場所まで行ったら、ちょうど居たんで討伐開始。
村人が見てたから変身に躊躇していたら、オーガが手に持ったこん棒を振り下ろしてきた。
ついつい変身しないまま片手で受け止めてしまった。
…俺、いつの間に人間辞めたんだ?
まぁ、うすうす気が付いていたんだがな。
やっぱりアストラルが3人分もあれば魂の出力が肉体に影響を与えているのかもしれない。
だからといって、英雄になろうとか成り上がろうという気概は一切ないけどな。
俺はこのまま自堕落に過ごして気楽に生きていたいんだ。
んで、驚いているオーガに向かって錆びた鉈を投げつけたら、上半身が弾け飛んだ。
全力で投げていないのに弾ける威力ってどうなんだろうな。
てか、鉈が何処まで飛んだんだ?オーガと一緒に雲を貫いたのは確認できたが、落下場所がわからん。
唖然としている村人と一緒に村に帰り、村長に討伐確認の半券を貰いギルドへと戻ってきた。
今回も昼頃に出発して夕方前に帰って来れた。
実労3時間くらい。
割りの良い仕事だな。
無事に報告も終わり、報酬をカードに入金してもらっている。
この時間は多くのギルド職員が暇にしている。
おそらく後、一時間もすれば、依頼を終えた冒険者でギルド内がにぎやかになるだろう。
つかの間の休憩って感じだな。
そんな風に思っていると、仕事を終えた冒険者グループが帰ってきた。
その中に一人に驚いた。
黒目黒髪に平べったい顔。
「日本人…」
俺は声を出して驚いた。
年ごろは17歳くらいの男の子、他の仲間も同じくらいの年齢だが全員が女の子だ。
いわゆるハーレムだな。
彼の年齢くらいになると憧れると思うが、おじさんの年齢になるとメンドクサイとしか思えない。
彼は俺のつぶやきを聞き、他の仲間から離れ俺に向かってきた。
「俺はユウジって言います。なんで俺が日本人ってわかんたんですか?まさか、転移じゃなくて転生ですか?」
…めんどくさそうな奴に捕まったな。
「いや、ここでは言いにくい話ですね。あとで俺で2人きりで話ができないですか?」
「構わないが…」
「じゃあ、ちょっとまっててもらっていいですか?」
彼はそういうと仲間の元へ駆け出した。何やら話をしている。
その間に俺は冒険者カードをもらい、ユウジと合流してギルドをあとにした。




