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改造人間ODEN、異世界に立つ~反省会のお時間です〜  作者: エビ仮面RX
本章~改造人間と屋台による反省会~
6/6

反省会一日目:『屋台と引き出しと竹串』

おかしい。確かに会話8割とは書いたけど、これじゃ9.9割会話じゃないか。

「というわけで第一回反省会を始めたいと思います」

『いぇーい』

「いぇーい、じゃない。元はと言えばお前が原因なんだからな」

『はて? 私が何か?』

「はて? じゃない! 大体なんで乗り物なのに屋台なんだよ。普通乗り物って言ったら車とかバイクだろ」

『早速私を乗り物扱いですか。マスターはド畜生ですね。そんなに女性に跨りたいのですか?』

「いや違うから、あとしれっと女性とか言ってるけど屋台だからなお前」

『マスターは女性を見た目で判断するのですね。見損ないました』

「この状況を見た目で判断すると表現するのであれば、する」

『これだから男は。どうせマスターも私の胸ばっかり見てるんでしょう』

「胸とは」

『四段目の引き出しです』

「今引き出しって」

『マスター触りましたよね』

「あれは間違えて」

『しかも弄るような手付きで』

「敵から目を離すわけにもいかなかったし」

『私は三段目だって言ったのに』

「一段の違いがどれほどの違いがあるのか分からない」

『ですがまだ四段目で良かったです。五段目より下はまだ早いと思うので』

「早いって何が?」

『私達の関係です。まずはお互いの事を知ってから』

「どちらかというとあまり知りたくない」

『つまり私との事は遊びだったと。深入りすると面倒な女だと、マスターはそう言いたいのでしょうか』

「少なくとも面倒な屋台だとは思ってる」

『ですが私がいなければマスターは半分くらいの力しか出せませんよ。それでも良いのですか?』

「そういえばアレはなんだったんだ?」

『アレとはなんでしょうか。まだマスターに対する好感度が足りないので通じ合えない部分の方が多いのです』

「あの引き出しに入ってた竹串だよ」

『ああ、三段目の、三段目の! 引き出しに入っていた物ですね』

「そこまで強調した理由とは」

『三段目と四段目の違いが分からない男に説明する必要はありませんね』

「今全世界の男を否定したよな」

『博士は分かってましたよ』

「アルファベットの違いも分からない奴に負けた。いや負けなのか?」

『そんな事より三段目の引き出しに入っていた物の情報が知りたい、という事でしょうか』

「ああ、どう見ても串にしか見えなかったけど」

『マスター、貴方の目は節穴ですか?』

「む、やっぱりただの串じゃなかったのか?」

『竹串です』

「ただの串じゃねえか!!」

『失敬な、ただの串ではありません。れっきとした竹串です』

「れっきとした竹串とは」

『第一マスターは串の種類をちゃんと知っているのでしょうか』

「竹で作った串だから竹串だろ?」

『これだから素人は』

「竹串の玄人とは」

『良いでしょう。この際はっきりしておきましょう』

「何を?」

『竹串の種類についてです』

「別に曖昧で良いところだった」

『準備しますので少々お待ちを』

「なんか納得いかないけどそれで気が済むなら待ってよう」


 --ジャーッ!!


「なんかすごい水が出る音がするんだけど」

『今出汁を張ってます』

「何故出汁」

『まあ黙って見ていてください……準備出来ました』

「俺はどうすれば」

『なみなみと満たされたこの出汁を見て分からないのですか』

「何を分かれと」

『仕方ありませんね。ではこの出汁をしっかりと見てください』

「透明感があって綺麗な出汁だな」

『き、綺麗だなんてそんな』

「いや出汁の話だから、ぺろり」

『ひゃあっ!! な、なにをしてるんですか!!』

「いや美味しそうだからちょっと味見を」

『断りもなく女性の出汁を舐めるなんて……』

「言い方に悪意しか感じないんだが」

『デリカシーのない男性は嫌われますよ』

「出汁を味見したらデリカシーについて言及された件」

『そんな事よりちゃんと見てください』

「出汁を見て何が……あ、何か浮かんできた」

『出汁を利用したプロジェクションです』

「無駄に高性能。っていうかちょっと茶色いから見辛いんだけど」

『出汁ですから』

「水で良くない?」

『いちいち細かい人ですね。ほら、遊んでないでちゃんと見てください』

「解せぬ」

『まずは基本の丸串です。いくらデリカシーのないマスターでもこれは分かりますよね』

「デリカシー関係ないだろ。それに竹串くらい俺でも分かる」

『ではこれは?』

「これも竹串だろ?」

『いえ、ぎんなん串と呼ばれる、通常の丸串よりも少し細身の竹串です』

「あ、そういう」

『続いてはこちらです』

「なんだろう、なんか平たいけど」

『これは田楽串です。田楽を刺す時に使いますね』

「なるほど、あれ? もしかして串の種類ってそういう」

『続いて松葉串、平串、鉄砲串、角串、五平串、魚串、鉄扇串なんてものもありますね』

「待ってそんなに種類あるの?」

『ふふん、驚いたでしょう』

「いや驚いたけど」

『そうでしょうそうでしょう』

「でも結局これ全部竹串じゃん」

『え』

「確かに串の種類があるのは驚いたけど、材質は全部竹なんだから竹串だろ?」

『またそんな夢の無い事を』

「串になんの夢を求めろと」

『知りませんよ!! 自分で考えてください!!』

「唐突な逆ギレ」

『私はもう帰ります。着いて来ないでください』

「はいはい」

『良いですか? 絶対着いて来ないでくださいよ!!』

「分かったから」

『じゃあ引いてください』

「は?」

『は? じゃありませんよ。言ったじゃないですか、私は自分で動けないと』

「いや着いて来るなって」

『だから引いてくださいと言っているのです』

「どういうことなの」

『押すのはダメです』

「ああ、着いてくるなってそういう。そういう事なのか?」

『ほら、早く引いてくださいよ。私もいい加減お腹が空きました』

「空腹を訴える屋台」

『マスターへの説明に竹串を消費しましたからね。補充しなくては』

「あれ出汁の上に竹串浮かべただけなのかよ!! 道理でリアルだと思ったわ!!」

『マスター五月蠅いです』

不定期でこんな感じの反省会を投稿していきます。

何番煎じだよって感じがしなくもないですが、そこは時期が悪かったとご容赦ください。

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