表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/75

精霊の面子

くまモンじゃないほうを選んでしまった俺!

剣ちゃんはいつも目立たない子だ。自己主張もあまりせず、本来は大人しい子だ。

いつも慶ちゃんの後ろにくっついていて、慶ちゃんのマネっこばかりしている。

 あまり主体性はない。

でも、今日、スーパーでイチゴが売ってたとき、俺は佐賀産の大きいイチゴを買った。

熊本産の紅ほっぺと佐賀のさちのかを売っていたんだけど、べにほっぺはものすごく粒がちいさかった。佐賀のさちのかは凄く大きくて食べ応えがありそうだった。

そりゃ、佐賀産を買うよね。

でも、熊本産にはくまモンの絵がプリントされていた。

今日は剣ちゃんのイチゴの番だった。

剣ちゃんは迷わず「くまモンの買って!」と言った。でも、お供物は一旦、精霊様にささげて、そのお下がりを人間がいただく形になる。それによって、精霊様は、

人間に施しをしたということで徳があがる、ようは精霊が得るものは高徳であり、名声である。だからイチゴがどこ産であろうとあんまり関係ない。それに、

結局食べるのは人間だ。

だから、俺は軽くかんがえて、「まあいいじゃん」と言って佐賀産の大きなイチゴをとって買った。

 剣ちゃんは自分の主張が入れられなくて、唇をとがらせていた。

 その時はそれで終った。

 しかし、そのスーパーの帰り道、小さな地元の小売店で、イチゴの特売をやっていた。1パック499円だが、、熊本産のさちのかでものすごく大きかった。しかも、くまモンのプリントがしてある。すごくおいしそうだったので、俺はそれを買うことにした。次は忍ちゃんの番である。忍ちゃんは自分の番が早く回ってきたので、すごく喜んでいた。剣ちゃんは自分の番じゃない。くまモンなのに、もらえない。体を小刻みに震わせていた。オレは、これはヤバイと本能的に思った。精霊を怒らせるとよくない、霊を怒らせる一番の事は、面子を潰すこと。昔、九州を自転車旅行していたとき、お稲荷様の祠をみつけて、祠には10円そなえ、その横にあった小さな瀬戸物のキツネには「君はちっこいから、1円でいいよね」と言って1円を供えた。その時はなんともおもわなかったが、

霊の世界では大きかろうと小さかろうと、格差をつけることは面子を潰すことにあたり、非常に恐ろしいことなのだ。結果、そのあと、俺は山で日が暮れて、

側溝に落ちて肋骨の骨を折る、恐ろしい体験をした。

 まさか剣ちゃんはそんな怖いことをする精霊ではないが、面子を潰すことによって、確実に関係は悪くなる。今後、今までみたいに無邪気にふるまってくれなくなるかもしれない。そうしたら、気まずい。ちょっとしたお金のことじゃないか!俺は奮発して3パック、1500円分のイチゴを買った。剣ちゃんは目をまんまるにしてパチパチしながら俺を見た。しばらくして目がうるんできた。

「はい、これ剣ちゃんの、くまもんだよ」

そういうと、剣ちゃんは目をうるませながら俺にだきついてきた。

「ありがとう!」

 いつもは、とろーん、のたーっとしている剣ちゃんがこれだけはっきり表情を表すことは珍しい。

ああ、本当によかった、と俺はおもった。


最終的に剣ちゃんと仲良くできてよかったよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ