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少年冒険記譚  作者: kakeru
9/62

date20:西へ


アリエルが走り去っていった後も、夕方ぐらいまで休み休み魔法の練習をして、部屋に戻った。



はじめの蝋燭のような火から、篝火くらいの炎が生み出せるようになってきた。


このまま鍛錬を積めば、もう少し強い炎も生み出すことができるだろう。


そう思うと、魔法が楽しくて仕方がない。




疲れて体中しんどかったけど、気持ちがよくて、ベッドに寝転びながら身体に魔力の循環を慣らすため、瞑想する。




薄く目を開けると、世界は色づいていて。


こんなにも光溢れているのかと驚かされるほど、世界は変わって視える。




「ねぇ、クロウ」



『なんだ』



ベッド下の床に伏せているクロウから返事がある。



「ありがとね、ついてきてくれて」



改めて言いたかったのだ。



『我が好きにしているだけだ』



そっけなく言われるけど。


一方的だったものが、ちゃんと返ってくるようになったのだ。

いや、僕が聞けるようになっただけなのかもしれないけれど。

なんだか、とても嬉しいのだ。



「明日…」



『…』



「防具受け取って、ちょっと遠くの依頼でも受けに行こうか…」



『そうだな』



うん


やっぱり嬉しい。


楽しい。




「今日は疲れたなぁ…」



『もう寝ろ。無理せず明日にすればいい』



「そうだね…」




僕は意識を手放した。









翌日、朝ごはんを食べた後新しい依頼を受けるべくカウンターに来ていた。


なるべく慣れるようにと、今も魔力の循環を意識している。



そのおかげか、今までただのカウンターだったのに、なんと。


カウンターいっぱいに結界が敷かれていた。



カウンターを境に、緑のよくわからない文字のようなものが連なり円を描いて幾重にも回っている。

魔法具もおいてあるのか、赤や青、黄色といった光の塊が点々と視えた。



メイさんも魔法が使えるのか、なんとなくだけど魔力の流れが視える。




「メイさん、おはようございます」



「あら、ユエくん。おはよう」



いつも通り、柔らかく微笑って迎えてくれた。



「あの、これありがとうございました。とても役に立ちました!」



「あら、そう。よかったわ」



にこにこしながら、指南書を受け取り、カウンターの中に仕舞われる。



「魔法は使えた?」



「はい!まだまだ修行しないとですけど…。楽しいです」



少し恥ずかしくなって、俯いて頭をかく。



「よかったわね。魔法は大変だと思うけど、がんばってね」



「はい!」



メイさんは、僕の頭を撫でてくれた。


完璧子ども扱いである。




「あ、あの。少し遠い場所まで足を伸ばそうと思うんですけど…僕にできそうな依頼ありますか?」



「うーん、そうねぇ…」



メイさんは掲示板まで行って、唸りながら見始める。


僕も一緒に掲示板を見るけれど、地名がわからなくて遠いのか近いのかすら判断がつかなかった。




「これなんてどうかしら」




 畑を荒らしている魔物の討伐をしてくれる方求む!


   討伐対象:バズ

   注)数日かかると思われる為、最寄の村長宅で食住の確保可能

     依頼達成は、村長が安全であると判断した時点で終了となる

     バズの核を持ち帰ること。別途報酬の割り増しとす




悪くない…のかな




「どうかな、クロウ」



『好きにしろ』



言葉も聞こえてくるけれど、いちいち訊いてくるな、と面倒くさげな様を隠そうともせず答えてくる。




「それ、受けます」



「わかったわ。処理するわね」



メイさんはカウンターに戻り、処理をしようとして



「あら、ユエくん。前の依頼は達成してるのかしら。未処理になってるわ」



「あ」



魔法に浮かれてすっかり報告するのを忘れていた。



かばんから日陽草とラグルの核を取り出した。

数えてみると、日陽草が148個、ラグルの核が84個だった。


メイさんは、薬草が20個で5銀、7回分だから45銀と、核が5個で10銀、16回分で160銀の合わせて205銀の報酬を支払ってくれた。




そうして、僕はここから西門を抜けて5時間ほど行った先にある村へ、魔物を討伐しに行くことに決めた。






出発前に、防具を受け取りにアズル防具店へ顔を出す。



「こ、こんにちは…」



薄暗い店内には人気がなくて。


しばらくすると、店の奥からこの間の男がのっそりと姿を現した。




「…これが注文の品だ」



手渡された部分鎧と籠手を受け取り、さっそく装備してみた。



「きついところや気になるところはあるか?」



何度か動いてみるも、身体にぴったりあっていて、特に気になるところはない。



「大丈夫みたいです」



「そうか。不具合があれば、また来い」



無愛想だが、とても親切な人である。



「ありがとうございます!これ、お金です」



500銀支払って、お店を後にする。




うん、なんか全てが新しい。




がんばるぞー!




気合を入れて、僕はクロウと西門から件の村へと旅だった。





気分的に次のステップです

勿論気分だけですけど。

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