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〇〇日後に番になる泉先生(α)と神楽くん(Ω)  作者: 最上ふう。


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あと342日/練習試合

・教師 泉涼介(26)……α 現代国語教師・バレーボール部副顧問兼コーチ(現役時代はアタッカー)187cm

・生徒 神楽悠斗(17)……Ω 高校三年生・バレーボール部 (リベロ)170cm

「これで荷物は全部積んだな。……生徒は順番にマイクロバスに乗れー」

「はーい」


 男子バレーボール部副顧問兼コーチである泉の指示に、部員たちは三々五々、バスに乗り込んでいく。


「……誰か一人ぐらいは先生の車に乗ってかないのか」


 みんなあまりにもあっさりとバスに飲み込まれていくので、泉が思わずぼやいたところ。


「えー、誰かいくー?」

「どうしよっかー?」


 女子マネージャーたちが肘でお互いを突きながら言い合う。

 自分が乗りたいが抜け駆けは許さない、と牽制し合っているのは誰の目から見ても明らかだ。

 そんな中。


「──俺、乗ってくよ」


 一人の男子部員が手を挙げた。


「「え」」

「おー、神楽。お前いいヤツだな。乗れ乗れ」


 固まる女子マネージャーを差し置いて、神楽と呼ばれた小柄な生徒はスポーツバッグを前に抱えて泉の愛車の助手席にさっさと乗り込んだ。


「お前らも早くバス乗れ。運転手さんが待ってるだろ」

「……はーい」

「よろしくお願いします」


 最後の生徒をバスに追いやった泉は、バスに同乗する正規顧問の教師とバスの運転手に挨拶をして、自分の車の運転席に向かう。

 窮屈そうに助手席に収まっている生徒を外から見て、ふ、と笑って。


「荷物後ろに置けばいいのに」

「後ろぎゅうぎゅうじゃん」


 運転席に乗り込みながら言うと、隣のシートで一生懸命平静を装っている生徒が唇を尖らせて言い返してきた。


「シートベルトはしたか?」

「うん」

「じゃあ、バスの後ろについてくからな」

「うん」


 エンジンをかけてパーキングモードからドライブモードにシフトノブを滑らせる。パーキングブレーキを外せば、車はゆっくりと前進を始めた。


「ちゃんと薬持ってきたか」

「忘れた」

「おい……」

「嘘だよ。持ってきた」

「そーかよ」


 バスの後ろは視界が悪いので少し車間を空けていると、するっと別の車が間に入ってくる。


「あー、先生、バス行っちゃう」

「そうだな」


 更に、黄色信号でブレーキを踏むと、バスとの距離はどんどん開いていく。


「見えなくなっちゃったぞ」

「目的地は分かってるんだから心配すんな。着くころには追いついてんだろ」


 マニュアル車を運転していた時の癖で、シフトノブに置きっぱなしの左手に。

 神楽の右手が乗せられた。


 ちらりと横を見ると、すごく勇気を出したんだという顔をしていて、頬が緩む。


「……二人になりたかったんだろ?」

「……──うん」


 存外に素直に頷くので、泉はとうとう笑った。


 指を絡ませる。

 驚いて逃げそうになる手を逆に掴んで、シフトノブに押し付ける。その上から手のひらで包み込んだら、大人しくなった。


「先生さ、意外と安全運転だよな」

「意外ってなんだ」

「もっとギャンギャン暴走してそうなのに」


 可愛くないことを言う、可愛い生徒だ。


「お前が乗ってるからな」


 と言うと。


「……そーかよ」


 真っ赤になってそっぽを向いたので、泉はまた笑った。


(かーわい)




オメガバース(Omegaverse)は、「男女とは別の第二の性」が存在する世界観のこと。


・α(アルファ)

身体的、頭脳的に優性種

支配層に多く、社会的に強い立場のことが多い

フェロモンや本能の影響が強い


・β(ベータ)

一般的な人々

発情や特殊能力を持たない


・Ω(オメガ)

定期的に発情期ヒートがあり、そのフェロモンはαに影響する

男女にかかわらず妊娠可能な性

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