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6. ユミル編 ⑤ レイクリウスとの今後の相談兼対策会議

「すまない、情けない愚痴に付き合わせてしまったね」

「あ、いえ……そんなことは……」

「はは。そう言ってくれるとありがたい」


 ふっと微笑むレイクリウス。


「そうだな……まず、これからのことを話そう」

「あ、はい」


 『これから』という言葉にすっと姿勢を正す。


「そうだな……まず、招待状についてなんだが」

「えっと……邪竜討伐祝賀会、ですよね」

「ああ、そうだ」


 うんと頷くレイクリウス。


「城で開かれるパーティーのうちの一つだ。此処連日、パーティーが開かれていて、君が招かれたのもそのうちの一つだ」

「連日開かれているんですか……」


 一般庶民のユミルにはいまいちピンとこない。そんなに毎日パーティーをする必要があるのだろうか?


「うん。それで、このパーティーに〝聖騎士〟アルバスと〝聖女〟サクラも出席するだろう」

「え? サクラ……様も、ですか?」

「ああ。恐らく、な」


 頷くレイクリウス。


「そう、ですか」

(〝聖女〟サクラ……様)


 直接見た訳ではないが……一応聞き知ってはいる。このプロスペリタース国の王女にして神官。〝聖女〟の名を語ることを許される程の実力者にして、女でありながら正室の娘であることと〝聖女〟の称号を得たことから次期女王となることが確定。更には〝勇者〟レイクリウス、〝聖騎士〟アルバスと共に邪竜討伐に参加し、見事打倒したとされる女傑。

 そして――まことしやかに囁かれる、〝聖騎士〟アルバスとの親密過ぎる仲との噂。


「………………」


 もやもやと心の中で黒いナニカが渦巻いているかのような感覚に襲われる。醜い自分自身の中を曝け出されているようで必死にその感覚を抑え込む。


(仕方ない、のよ)


「で、だ。そのパーティーに参加する為に君にはドレスを選んでもらいたい」

「はい?」


 唐突過ぎるレイクリウスの言葉に思わずユミルは聞き返した。今何て?


「ドレス……ですか?」

「そう。ドレス。パーティーに参加するのに、流石にただの服ではね」


 苦笑され、そういえば……と納得する。


「でも、私は田舎出身ですし、ドレスなんて……」

「それは大丈夫。王宮から指定された店に行って好きなドレスを買ってもいいように手配がすんでいるらしい」

「好きなドレスを……ですか?」

「うん。ま、そりゃ勝手にパーティーに参加するよう言って来たんだ。これくらいはしてもらわないとな」


 ふっと茶目っ気たっぷりに笑うレイクリウス。


「そう、ですか……?」 


 いきなりのことだった為戸惑うユミル。状況が飲み込めず、取り合えずドレスを選べばいいのか、と無理矢理自分を納得させる。


「取り合えず、邪竜討伐祝賀会……つまりはパーティーに参加する為のドレスを選びに行けばいいんですね?」

「ああ。それと、そのパーティーに俺がエスコートしよう」

「え? レイクリウス……様、が?」

「前みたく〝さん〟付けでいいさ。何なら、レイクリウスと呼び捨てでも愛称の〝レイ〟と呼んでくれてもいいんだが……」


 苦笑するレイクリウス。


「あ、えっと……その……」


 動揺するユミル。パーティーに参加するためのドレス選びから始まり、エスコートは〝勇者〟レイクリウスで、そのレイクリウスからの要望と脳が容量オーバーとなる。


(ど、どうすれば……⁉)

「はは。まあいきなり色々と衝撃の連続だからな。徐々に徐々に、か」


 そんな彼女を笑い飛ばすレイクリウス。


「ああ、それと王宮から劇のチケットが届いている」

「劇?」


 再びオウム返しに問い返してしまうユミル。劇って、


「あの、お芝居の劇ですか?」

「うん。王都で有名で人気の劇の席が二つ。なんなら俺もどうぞって。まあ王都に来てもらったから接待の一環という訳だな」

「せ、接待……」

(私、そんな御大層な人間じゃないんだけどな……)


 困惑する。そもそも何故に〝勇者〟レイクリウス様が自分の護衛になってくれているんだろうか?


(アルバスが無茶振りしたとか? ……いや、いくら〝聖騎士〟とか言われていても〝勇者〟を顎でこき使えるほど偉くなっている訳ないか)


 流石に〝聖女〟や王様、宰相以下大臣が許すはずもなく、そもそもアルバスが頼むというのもどうにも想像出来ない。

 頭をひねるユミルにくすりとレイクリウスが微笑み、


「ま、今日はゆっくり休んでくれ。明日はまずドレス選びから、だな」


 ニッコリと、レイクリウスは茶目っ気たっぷりに笑った。

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