番外編:ローゼストの憂鬱
どうしてこうなっているのだろう。
ローゼストは深い深いため息を吐き棄散らかしながら書類の山の中から這って出ることに成功した。
どうしてローゼストが書類の山の中で遭難しかけていたのか。その原因となる人物を思い出し再び恨みのこもったため息をローゼストは吐き棄散らかした。
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「ロゼ、お前……覚悟はできてるんだよね?」
にこやかな笑顔を携えつつ、手をボキリバキリとしながら目の前の悪魔は冷たく言い放った言葉にローゼストは思いっきり退いていた。
「できてない!出来てない!って言うか、私はちゃんとロウリー家の当主と約束したミルティに虫を一匹も近づけない誓いをちゃんと守っていただろう!」
「そもそもなんで俺はここにこれなかったのにお前がいるんだ?なんでお前がミルティのそばにいた?これは罪だろう?」
「だから!ミルティに虫が寄り付かないようにしてたの!」
「ミルティを馴れ馴れしく呼ぶな」
自分の無実を訴えるも悪魔に鼻で蹴散らされた。
そもそも悪魔は常に人の話を聞かない。彼のお姫様に関しては話を聞いてもらったことなど皆無といって良いだろう。
彼がきちんと話を聞くのはあの天真爛漫なお姫様だけだろう。
そして、いつも悪魔な彼を天使のような姿にとどめてくれるはずのお姫様は今ここにはいない。
先程悪魔が何処かへ連れ拐ったっきり姿が無いのは本当に悔やまれるとローゼストは内心で舌打ちをした。姫を拐ったのなら悪魔は悪魔らしく一緒に閉じ籠っていれば良いものを。
姫を何処かに隠したあと悪魔はローゼストにワザワザ制裁を加えに戻ってきてしまったらしい。
「とりあえず言い訳は要らないよロゼ。つうか、そもそもお前はミルティに触ったろう?俺以外がミルティに触れるなんて言語道断。屑決定だ。屑は屑らしくゴミ箱にはいってろ」
もはや言葉遣いなど貴族のそれではない。そんな悪魔……もといルシウスに掴みかかられローゼストは会場に響かない悲鳴をあげる羽目になってしまった。
「そもそも!ミルティ嬢は俺の妹になる予定だったの!」
先程まで遭難していた書類を律儀にローゼストは揃えながらぶつぶつと呟いていた。
初めてロウリー家に養子になるべく挨拶にうかがった時、ミルティはヨチヨチと歩きだせるのが精々な位おさなかった。そんなミルティをみて当時まだあどけなさ残すローゼストは心を踊らせていた。
「こんなに可愛いこが私の妹になるんだ!」
次男であり末っ子のローゼストは兄と年が離れていたせいもあり、いつも兄に邪険にされていた。それ故仲の良い兄弟に憧れを抱いていたのだ。
「ミルティとなら仲良くやっていけそう」
そう思って居たのに、兄の急な病とルシウスが生まれた事によりローゼストのささやかな楽しみは永久にやって来ないことになってしまったのだ。
「ミルティごめんね。私は君のお兄ちゃんにはならないんだって」
その事を悲しんだローゼストは断りをいれにロウリー家を訪れたさいにローゼストの家の家紋の入った一枚のハンカチーフをまだ言葉が話せずあうあうとヨダレを垂らすミルティに送ったのだ。
「これでちゃんと自分のヨダレは拭くんだよ。お兄ちゃんは拭いてあげられないから」
ミルティを諦めルシウスに譲ったのに――
一通りもとに戻した書類の山をローゼストは今度は丁寧に目をとおし始める。
「それなのに、ルシウスに大きくなったミルティを見せてって言っても見せてくれないし、『お前が可愛い女の子だったら会わせられたのにな』って言うから女装までしたのに!あの悪魔は!」
目の前の書類の山を睨み付けてローゼストは乱暴に先程目を通した書類を叩きつけるように戻す。
「なんで私がこんなに大量の書類を裁かなきゃいけないんだ!しかもこんな部屋に押し込めて!」
パーティー会場でルシウスにつかまったローゼストは衣食住は保証されているものの、朝から晩までルシウスに膨大な書類裁きに専念させられていた。
しかもご丁寧に逃げ出せないように監視までつけられて。
「あー!もう!可愛い元妹を庇っただけなのにあの悪魔!」
やーめた!
ローゼストがうーんと身体を伸ばしたその時。
グラッ
「え?あ、」
ドサッ、バサバサ、ドサーン
夕刻
食事を運んでいた給仕がかりに書類の山で遭難しげっそりとしたローゼストが救い出されるのはまた別の話。
日間ランキング最高65位!!
しかもブクマが!!
ありがとうございます!!
評価してくださった方、ブクマしてくださったかた神ですか!
感謝です!ありがとうございます!
と言うことで、追加の番外編。
番外編は亀更新です。気長にお待ちいただければ幸いです。




