9、
(ルシウスがいなくなる)
私がブラコン過ぎたから。
そう思えば苦しくて涙が止まらない。
けれど泣いていちゃダメだ。この悲しみを乗り越えて私は自立しないといけない。ルシウスだってもう自立してしまっているのだから。
ミルティは改めてそう心に誓う。
「泣いていたらダメよね……。家を出る事はルシウスが選んだことだし、私がこんなに動揺するなんて可笑しいわよね。私がロウリー家の為にちゃんと素敵な殿方を婿に迎えなければルシウスだって安心して、去れないですよね」
「あー、ミルティ嬢?ちょっとやばくなってきたので離れませんか?」
そう声をかけられ、確かにいつまでもしがみついて泣いていてはローゼスト様にもお互いの醜聞にも悪いと思い盛大に鼻をズビリとすすりながら顔を上げた。はしたないとは思いつつも。
すると抱き締めていてくれたローゼストの顔がミルティの視界に入る。
ひきつっているお顔に見えるのは多分私が鼻を啜ったからね、とミルティは一人考えた。まさかローゼストがミルティの背後から近づく人物に対して顔をひきつらせていたなど思いもよらなかったから。
「すいません、こんなにはしたなくって。それでも、ローゼスト様抱き締めてくれてありがとうございました。私、嬉しかったです。ローゼスト様がうちに来ていたら優しいお兄様できっと私大好きになってましたよ」
私はもう大丈夫ですのでと言う意味を込めてミルティがローゼストに笑顔を向ければ、ローゼストは小さくヒッと叫ぶと首をブンブン横にふりだした。
「ミ、ミルティ嬢。今は、それは……言わないで欲しかった、かも」
「ローゼスト様?」
見る見るローゼストの顔が先程の男達の……いや、それ以上に恐怖にひきつった顔になっている。
「……?」
先程とうってかわって様子が可笑しいローゼスト。訳がわからずミルティが首をかしげていると、背中が開いたドレスのせいかヒンヤリとしてきたようでミルティは思わずフリルと震えてしまった。
この感覚、以前どこかで――
(なんか、嫌な予感が……)
ミルティがやっと部屋の冷気に気づき再びローゼストを見れば、彼は完全に振り子の様に首を振っていた。
そこで、ミルティは嫌な予感の正体になんとなく気づいてしまったが、時既に遅し。冷気は益々濃くなっていき――
「誰が誰のところから去って、誰が誰を抱き締めて、誰が誰を好きになるんだ?そもそもお兄様って何?兄なんていないよね?何これ、全然意味がわからないんだけど。取り敢えずこの世から消えてもらおうか?」
一体どうして何がこの世から消えてもらうのか。
背後から怒りを含んだ不穏な言葉ながらも、聞きなれた声がして油のきれた機械の様なきしんだおとを出しながらミルティが声の方へ振り向けば――
「あ、悪魔か」
ぽそりとローゼストがつぶやけば、ミルティも思わず首を縦に振って同意してしまう。
「へぇ?ロゼもミルティも俺が悪魔に見える何か後ろめたい事をしていたの?そうだとしたら……」
極寒の凍てつく寒さをまとわせた視線を向けられローゼストは顔が引きつった状態で首を横に振る。
「してないっ!してないから!ってか、私はここまで頑張ってたからね!」
無実だし、消えろとか報われない!っとローゼストが小さく呟くもその声は悪魔と化したルシウスには残念なことながら届かない。
手をボキリボキリとならし、ローゼストとミルティに詰め寄るその姿にローゼストは絶句していた。
「それより、ミルティはいつまでそいつに引っ付いていて、何をきょろきょろしているの?」
話題を自分に向けられ、ミルティは先程から若干どこか彷徨わせていた視線を再び油のきれた機械の様にルシウスに戻す。
冷気を孕んでこちらを睨む悪魔のようなルシウスは確かに怖いが、今のミルティはそれどころではない。
「この期においてまだ誰かを探してたりしないよね?」
冷たくそういわれ、図星をつかれたミルティは肩を震わす。
「だって……」
思わず未だにつかんでいたローゼストのジャケットを思わずギュッと握れば、強引に腰を掴まれミルティの体はローゼストから引き剥がされた。
「って言うか、いつまでロゼに引っ付いてるの?ミルティのそういうところ、イライラする」
引き剥がされよろけた身体を更に強引にルシウスへと引き寄せられた。ミルティの腰に回された腕に力が籠り鈍い痛みが走る。
しかし、腕の痛みよりもミルティには気になって仕方がない事がある。
「また、……言った」
“ロゼ”と。
その名を聞けばつい探してしまうに決まっている。今日はもしかして彼女もルシウスに会いに来ていたのかもしれない。
「は?何?」
そんなミルティの思想などルシウスがわかるわけもなく。先程よりもまた更に声をイラつかせ、ルシウスは空いている片手でミルティの顎を掴むと強引にルシウスへ向けた。
「っ!」
その乱暴とも言える仕草と痛みにいつぞやの令息との事を思い出させ、今更ながらこの状況はバッチリルシウスの逆流に触れている事に気づきミルティは背中に冷や汗を流す。
それでもそんな状況にいてもどうしても気になるのは、やはり頭に浮かぶ彼女の存在で……。
「ミルティ。なに考えてるの?よそ見しすぎでしょう、いい加減にしてくれない?ミルティって本当にバカじゃない?」
「だって!ルシウスが!」
バカじゃない?と言う言葉にに流石にカチンときてミルティが噛みつこうとしたのに、その言葉は逆にルシウスからの噛みつくような強引なキスで塞がれてしまった。
ごめんなさい!寝落ちしてて定時セット出来なかったです。すいません。
そして、重ね重ねすいません!
ストック切れしたので明日から不定期更新に切り替わります。
ブクマ、評価してくださった方ありがとうございます!!
不定期更新に切り替わるので、よろしければブクマおねがいします。土下座。
評価していただけたらすごく頑張れます!
取り敢えずルシウスの強引なガブチューが無事?入りました。
今回はちょっと短めでした。ガブチューの後の事はいつかムーンライト辺りで書けたらいいなぁと脳内妄想展開してしまいました。
語彙力ないので、いつになるやら……ですが。




