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第二十四章 「弥栄子」

八夜に招待されて学会を訪れた永久子。そこには「弥栄子」という女性がいて-

男だけ。しかも若い男などほとんどいないその場所にその女性は立っていた。


何て色の白い女人ひとだろう。


その女性に対する永久子の第一印象はそうだった。


永久子と同じ位白い肌のその女性は永久子の視線に気付いてこちらを向いた。


かなり小顔でとても可愛らしい顔をしている。おっとりした眉とつぶらな瞳が印象的だ。


年は永久子より下に見える。瑠璃ぐらいだろうか?


背はそれ程小さいわけでもないのにあまりにか細いのでとても儚くそして幼く見えた。


落ち着いたたたずまいから女学生と言うことはないかもしれないがこの場所にはかなり不釣り合いだった。


もしかしたら自分より浮いてるかもしれないと思いながら永久子は軽く会釈をした。


女性も向こうから会釈を仕返す。


「誰かいましたか?」


声のする方を向くと戻ってきた八夜だった。


「いえ、あそこに女性がいらっしゃるから珍しいと思って。」


「ああ、弥栄子さんじゃないか。」


「ご存知なの?」


「ええ、知り合いなんです。弥栄子さん!」


その女性は八夜の呼ぶ声に気付き今度はすぐに振り返り真っ直ぐにこちらに向かってくる。

永久子の百合の様な魅力とはまた違って弥栄子と言う女性は鈴欄の様な可憐な雰囲気を持っていた。


「来ていたんですね、こちらは富田永久子さん。あの富田の家の方ですよ。永久子さん、こちらは相模弥栄子さがみやえこさん。私の友人です。」


「永久子です。初めまして。」


「相模弥栄子です。お初にお目にかかれて光栄ですわ。どうぞよろしくお願いしますね。」


そう言ってにこりと笑う弥栄子に永久子は違和感を感じた。

妙に落ち着いている。もしかしたら永久子が思っているよりもっと年が上なのかもしれない。


「失礼ですが、お年を聞いても?」


わたくし、今年で三十になります。」


「まあ、一つ違いでいらしたのね。しかも年上の方だったなんて失礼致しました。」


やはりこれだけ落ち着いた話し方が出来るのは年上だったからなのだ。しかし驚いた。女学生とはいかないまでも二十歳そこそこの女性と思っていたのに。まさか自分よりも年上だったとは。


「気になさらないで下さいね。良く言われますの。私も永久子さんの様な素敵な大人の女性に見られる様努力はしているのですけどこの通り生まれつきの童顔で自分でも恥ずかしいくらいで。主人にもからかわれますし。」


「弥栄子さんの旦那さんは海軍の将校なんですよ。あの人の前に出ると学会で発表するよりも緊張してしまうんです。」


「ふふ、やだわ八夜さんたら。わたくしの夫はそんな恐い方ではなくてよ。」


笑う姿も何と上品で落ち着いているのだろう。これだけ可愛らしく大人な振る舞いの出来る女性が周りにいながら八夜はどうして静枝なんかと結婚したのか永久子は改めて不思議に思った。


「それに私の主人と八夜さんが会ったのなんて数える位じゃなくて?いつも冗談ばかりおっしゃるんだから。」


「だって君の旦那さんはいつも仕事で海外ばかり行っているからさ。会いたくても会えないんだよ。酷い旦那さんだ、こんな美女を残して仕事に没頭なんて。」


永久子は顔には出なかったが小さくむくれた。

堅物の学者で自分の妻にも興味がなさそうな振りをしてちゃんと相手になる女性が他所よそにいるではないか。どこまで深い仲なのかは知らないが八夜の交友関係も広いものだ。


「でも良かったわ、永久子さんがいてくださって。いつも女性は私ぐらいで心細い思いをしてましたの。」


「私も今日が初めてですの。八夜さんに誘われて来たのですけれど何だか緊張してしまって。私も女性の方がいらっしゃってくれて安心しましたわ。」


「私は単純にこの分野に興味があって来てますのよ。そこで偶然八夜さんが声を掛けて下さって。」


「こんなむさ苦しい所に美女がいたものだからついついね。」


「やめて下さいな八夜さんたら。また奥様に嫉妬されては敵いませんわ。」


弥栄子は八夜が既婚である事を知っているらしい。


「ねえ、永久子さん。永久子さんてお呼びしても構わないかしら?」


「もちろんですわ。私の方が年が下なんですもの。」


「幾つも離れていないんですもの、私の事も名前で呼んで頂いて結構よ。どうぞ仲良くして下さいね。」


そう言ってにこりと微笑む弥栄子はとても艶っぽく美しかった。


また気付いたら間が空いてしまいました;;

そしてまた登場人物が増えたって言う・・・いつになったら終わるんだろう?

ぶっちゃけまだ半分も行ってないっていう^^;

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