十二話、暗黒聖女は守る筈だったものを壊す
〔ミスラ王国〕
今回の侵攻はいつもとは勝手が違う。
何故ならアイシャが魔人狩りを行ったせいで内部からの侵攻による混乱を引き起こせないからだ。
「アスナ様…私が余計な事をしたばかりに…」
アスナの忠実な配下であるアイシャは自分が魔人の排除を行ったせいでアスナに手間をかけさせる事を謝る。
「ふふふ、良いんだよ、今日は私達の力を披露しようと思っているからね?」
アスナはそう言って腕を開く。
エクシーズがどこに魔人がいるか分からないため攻めれず様子を見ているだけなのを知っているのだ。
だからこそ自分達魔人と魔怪人の力を彼等に見せ付ける良い機会だと思っていた。
だからこそここに来ているのは四人だけである複数の魔人を連れて来ると巻き込む可能性があるためである。
「アイシア?」
アスナはここで自分の旦那様に抱き着く。
「今日は好きに暴れて良いよ?だからこの下にいるゴミどもを殺し尽くそうね?」
「はぁい…ふふっ…楽しみ…」
アスナとアイシアは戦闘前の火照りを収めるため熱いキスを行った。
「ふぅ…エレノア、アイシャ、あなた達も好きなだけ殺しなさい、あなた達の力も見せて貰おうかな」
アスナは自分が作り出す魔人のフル性能をまだ知らない。
そのためこの機会に見たいと思っていた。
しかもこの二人は幹部級の力を持つためその実力にはかなり期待が出来る。
「承知いたしました」
「ご期待ください」
エレノアとアイシャは忠実に会釈し自分達の力に期待して欲しいと言う。
二人にとってもこれからの戦闘で勝利するのは当たり前のことなのだ。
「うん期待してる、それじゃまずは王都以外の全地方を消し飛ばそうか?遊ぶにしても王都だけで十分だからね」
「そうだね」
四人は背中合わせになり四方に向くと両手を突き出した。
「あはっ!壊せ!殺せ!破壊しろ!人間どもを皆殺しにするんだよ!」
「あはは!」
四人の邪悪な少女達はその手から絶望の雨を降らし始めた。
四人が持つ共通の魔力色である赤黒い色のビームがミスラ王国に向けて降り注いだ。
〔エクシーズ本部〕
エクシーズ本部ではアリシア達がアスナが邪神と二人の魔人を率いて国を破壊する様子を悔しそうに見ていた。
「お婆ちゃん…止めに行かないの…?」
「ダメよ…アスナとアイシアだけでも強力なのに他の二人も強すぎる魔人、私達で本気で当たってもあっという間に殺されるだけだわ…」
アスナを止めるためにも自分達が死ぬわけにはいかない。
だからこそだ強力な魔人は各個撃破を狙いたいため複数人で揃っている場所には向かうことは出来ないのだ。
間違いなく殺される。
「くっ…」
フィオは大量に人が死んでいるのに何も出来ない事に対し悔しそうな顔を見せるしかなかった。
〔ミスラ王国〕
五分後上空から魔力を探りアスナは王都以外の全ての人間が死んだのを確認する。
「お疲れ様、さぁ三人とも?メインディッシュの時間だよ、ゆっくりと時間をかけて食い荒らそうね?」
「ええ」
四人は王都に向けて転移し現れる。
王都は絶望的な状況と言うのに諦めず陣を敷いているミスラ軍が待ち構えていた。
「うふふ、哀れな愚か者達」
アイシャは陣地を敷いている人間達を見てクスクスと笑う。
「そうだねアイシャ、そんな愚か者達の命を今日で終わらせてあげよう」
「はぁい…アスナ様、それでは初手は私が」
「うん、今日はあなたをメインにして戦うつもりだからね」
「はい」
アイシャは一人前に出ると槍を突き出す。
「うふふ、死になさい」
そして暗黒聖女として邪悪に染まり切った魔力を放つ。
「あはは!!!!!!」
その一撃で城門前にいた人間達が消し飛んだ。
「こらっ!アイシャ!やりすぎ!ゆっくりと殺して遊ぶんだからね!」
「すみません…昂ってしまっていて…」
「もう…ひーひーふーだよ?」
「はい」
四人は敵がいなくなった城門から堂々と王都内に入りまずは城下町での狩りを始める。
(みんなぁ?今日で侵攻を終わらせるよ?)
アスナは同時に念話で残る国全てに対しての侵攻を命じた。
今日でこの世界を全てダークローズのものとするつもりなのだ。
「この世界が完全にアナスタシア様のものになるのですね…」
「ふふっだね」
四人は邪悪な笑みを浮かべつつ散り散りになり王都各地に点在する兵達を狩り始めた。
「ふふふ…」
城下町での戦いなど四人にとって取るに足らないものである。
あっさりと勝利を収めた四人は最後に残る王城内の兵を殺しながら玉座に向けて進む。
「くっ…アイシャ…何故だ!」
玉座に入ると堕ちたアイシャに向けて王が叫んだ。
「何故?そんなの決まっています、アナスタシア様こそ全ての世界を統べるに相応しいお方だからです!ですからあなたは死んでください、アスナ様?よろしいですか?」
アイシャはアスナに王を殺しても良いか聞く。
「うん」
あくまでもアイシャをメインに扱う戦いだと決めている。
だからこそアイシャが王を殺す事をアスナはすぐに認めた。
「ありがとうございます」
アイシャは邪悪に笑うとゆっくりと王に近付いて行く。
「立ちなさい、そして私と戦うのですよ」
「よかろう」
王は立ち上がり剣を引き抜く。
アイシャは槍を掲げると飛んだ。
「ふふっ、遅いですねぇ?」
王は必死になってアイシャに向けて剣を振るうがアイシャは簡単に捌く。
「このぉ!!」
死んだ民のためにも何とか仇を討たなくてはと思う王だが。
強力な魔人であるアイシャにとっては大した攻撃ではなく女魔人はため息を吐いた。
「飽きました、死んでください」
邪悪な顔で必死に戦う王に対して飽きたと言ったアイシャは回転しながら槍を振るい首を斬り飛ばした。
「お待たせしました、アスナ様」
そして仕事を終えたアイシャはアスナの元に来て片膝を着く。
「良くやった、今丁度他の国の制圧も完了したよ、これでこの世界は我々の物だ」
世界はダークローズに支配下に堕ちた。
これからはリング1のダークローズの拠点兼魔人の量産拠点となる。
「この城綺麗だしここをダークローズの本部にしようか?ねっ?アイシア?」
「良いね、それじゃお父様とお母様に報告しに行こう、ふふっご褒美もらえるよ?アスナ」
「うん…」
アイシアからアナスタシアから自分にご褒美何与えられるだろうと言われたアスナは頬を赤く染めながら転移する。
アイシャとエレノアは魔人達に命じてリング1のダークローズの本拠地として相応しい世界とするため各地の改築を命じた。




