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【第二十九話】群雄の応答

195年年末 洛陽


荀攸からの手紙には許昌到着後に届いた、各群雄からの返答について記載されていた。


曰く---


最も早く届いたのは、荊州の劉表と、益州の劉璋からの丁重な返書であった。

「この劉表、生を漢に受け、義に殉ずることを望みます」

「臣劉璋、未熟ながらも益州の民草を護り、陛下の御威光を奉じて政を執らんと存じます」


さらに、劉備、劉繇、馬騰、劉和らも漢室の正統を称え、真心のこもった感謝を綴っていた。

「劉備玄徳、微力ながら漢室の柱石たらんと期す」

「馬騰、涼州の安寧を以て、漢の再興を支えたく思う」


しかし、袁紹、曹操、張魯らから届いた文書は、あくまで形式を保った文調に過ぎなかった。

忠誠の言葉はあれど、実のない応対に、張喜は眉をひそめるのだった。


そして――。


「公孫瓉殿、袁術殿よりの返書は…まだ届かぬか?」と周忠が聞くと。

二人に勅書を届けた使者が静かに首を横に振る。


楊彪は唇の端を歪ませ、

「……沈黙は、拒絶に等しい。彼らは漢に従う意思なしと見てよいでしょうな」


---


鍾繇とともに文を見ていた孫堅は、

「こうなることは想定していた。兵火は再び広がるであろう」

「殿、先手を打つ必要がございます。策を講じましょう」


だが、彼らの対話を遮るように、夜の闇を裂いて早馬が許昌の門を駆け入ってきた。


「急報、胡才の兵、許昌にて略奪を行い、甘寧将軍がこれをその場で斬首したとのこと――」

報を聞いた孫堅の眉が動く。


「…何ということだ」


すぐに司馬朗らを召集し孫堅は告げる。

「甘寧は法に則り行動したにすぎぬが、胡才はいまや朝廷の高官だ。対応を誤れば乱の元となるな」

「殿、今は一刻を争います。自ら許昌に向かわれませ」と鍾繇。


孫堅は鍾繇を司隷校尉代行とし、後事を託すと即座に出立の準備を整える。


「洛陽は任せる。復興の歩みを止めてはならぬ」


「承知いたしました」と鍾繇が深く頭を下げた。


夜明けとともに孫堅は許昌へ向けて出立した。


その頃許昌では、胡才への処断を巡り、白波賊の将等が荀攸、甘寧達と対立し始めていた――。

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