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対称性を破って現実⇔異世界変革  作者: 社畜を辞めたい
第三章 ケフの大森林
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第48話 モンスターの被害者

俺はバスの中で寝ているんだろうか。

ガコッガコッと、

体が少し上下に揺れている感じがする。


それに、いい匂いがする。

隣に女子中学生でも、

座っているのかな。



あれ?

俺、横になっている?


左手側から、いい匂いがする気がする。

ゴロンと寝返りを打つと、

柔らかい何かに触れ、

いい匂いは強まった。


少しの汗臭さ、

下の方をグリグリすると、

僅かな女の匂いがする。


「トモエさん、気付きましたか?」




俺達はケフの大森林で攫われた、

クラリスを助け出し、

急いでフェーズヒに、

向かっていたんだったな。




「ん~?リーンちゃん?」


俺は少し右に回転して、目を開ける。

目線の先にはリーンちゃんの顔が見える。


「膝枕ですか?」


夜は開け始め、

既に森の中でも無いらしい。


「そうです。

 気持ち良かったですか?」


なるほど。

つまり、あの匂いはあのニオイなんだな。


「はい。

 ありがとうございます。」


リーンちゃんの顔がちょっと赤い。


「結構、良い感じの匂いでしたよ?」


フレンダさんに言った台詞と、

同じ事を言っておく。

きっと、馬車の横を歩きながら、

聞いていただろうからね。


「……私も、嗅いでいいですか?」


「……いいですけど。」


なんだろう。

フレンダさんへの対抗心かな?


「良い匂いでした。」


うん。

さっきよりーンちゃんの顔が、

赤くなりました!






「私、門番に言って来ます!」


フェーズヒが遠くに見えて来た頃、

リーンちゃんがそう言って、

城塞都市に向かって走り出す。


「先触れですか?」


フレンダさんに聞いてみる。


「いえ、この子達をこのまま、

 城内に入れられないから。」


「余計な恐怖を与えますか?」


ゴブリンに攫われると、

腕を食べられるとか、

正気を失う事態になるとか。


「そうね。

 でも、一番の目的は私達への被害を、

 防ぐためかしら?」


ミルクさんが答えてくれた。

それって、逆恨み対策じゃないか。


「やり切れないですね。」


「仕方ないよ。

 私だって、クラリスがこんな目にあって、

 自分を責めているんだから。」


フレンダさんは、

悲しみと苦悩を感じさせる顔をしている。


「フレンダ、こういう時は男に逃げなさい。

 トモエさんがいるんだから、

 一杯抱いて貰いなさいよ?」


ミルクさんが凄い事を言っている。

嬉しいけれどっ!


「うん。そうする。」


あれ?俺の意思が介在しない所で、

フレンダさんとの楽しい夜が決定された。

まぁ、純粋に喜べないが。






暫くすると、帆などを携えた門番達と一緒に、

リーンちゃんが帰って来た。


太い柱が四本あるから、

それを馬車の四方に立てて、

その上に帆を付け、

荷馬車の中身を覆うらしい。


「お帰りなさい。

 リーンちゃん。」


「はい、戻りました。

 冒険者ギルドにも、

 伝令をお願いしておきました。」


リーンちゃんが一瞥もくれなかった。

もしかして、さっきの事を、

恥ずかしがっているのか?


「リーン、忘れてた。

 ゴメンね、本当はリーダーの私が、

 一番しっかりしなきゃいけないのに。」


「フレンダさんは、休んでいて下さい。

 顔色悪過ぎます!」


リーンちゃんの言う通り、

フレンダさんは、危機的状況から脱して、

ケフの大森林からも出て、

緊張感が解けてきたからか、

憔悴の色を色濃く写し出している。




「場所を空けて貰えますか?」


「分かりました。」


荷馬車に柱を立てる為、

門番達が乗り込んできたので、

俺達は御者台に移動する。


「ニースちゃん、少しズレてくれる?」


「はい。」


ニースちゃんには右手に移動して貰って、

中央にフレンダさんを座らせる。

ちょっと、御者はし難いだろうけど。


門番達は柱を荷馬車に固定する訳では無く、

彼らが道中、ずっと支えるらしい。


荷馬車に座っている女の子達は、

昨夜より落ち着いて静かにしている。


「よっこいしょ。」


馴染みのある掛け声を言いながら、

門番達は荷馬車に帆を掛けて、

クラリスと女の子達を隠してしまった。




俺はフレンダさんの肩を抱きながら、

城塞都市への道を進む馬車に乗っている。


彼女は俺のパジャマに顔を埋めながら、

偶の嗚咽に耐えている。

綺麗な金髪を、よしよししてあげよう。


御者台の左側を、

リーンちゃんが歩いていたから、

俺は左手を差し出してみる。


……気付かない振りをしていたが、

結局、彼女は握り返してくれた。


まさにこれは、

両手に花っ!!

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