Episode 33 エリオットの本音、ルカの異次元すぎる加護
──エリオット・アルカ・ショアン視点──
王立エスタール学園男子寮、エリオット・アルカ・ショアンの寮部屋。
俺の前で頭を垂れている、第一王子と“氷の公爵”。
俺は、義妹──エルリウール・アルカショアンの部屋に浸り入ろうととしていた、第一王子──アレクシス・レナメスタ・シルル・トリアストと、“氷の公爵”──ルカ・メルジール・フォルディアスを睨みつける。
「──自分の行動、理解してんのか?」
二人が、たとえ上司であっても、同じ側近という立場であっても、俺が年上なのは変わらない。
別に年上ヅラしたいわけじゃない。
義妹に手をあまり出すな、と言いたいだけ。
まあ──かくいう俺も、実はエルのこと好きなんだけどな。
別に血の繋がりはないんだから、恋愛感情を抱いてもいいだろう?
だがそれは秘密だ。絶対に。
バレたら、“エル至上主義”の目の前の二人に殺される。マジで。
「俺は兄として、義妹を守るという役目がある。それなのに、他の男にホイホイ触らせると思うか?」
「思う」「思います」
「二人同時に、しかも同じ反応すんなっ!!」
何回言っても言うこと聞かないんだから、こいつら⋯⋯。
「次エルに手を出したら、〈炎の精霊王〉様の力で焼き尽くすからな」
「〈焔の精霊王〉フランマ様の力ですか⋯⋯。少々厄介ですが、私も負けてませんよ? 私は【知恵の神の加護】と【氷の精霊王の加護】がありますので」
「めんどくさい加護出してくんなっ!!!」
しかもなんだよ、【知恵の神の加護】と【氷の精霊王の加護】って⋯⋯。
神と精霊王、どっちもから愛されてるとか、ルカ・メルジール・フォルディアス、恐るべし。
【神の加護】シリーズと【精霊王の加護】シリーズは、それぞれが気に入った人間にしか与えない加護。
つまりルカは、どっちにも気に入られているということ。
異次元すぎだろ、この公爵。
それでエルを溺愛してるとか、絶対許さんわ。
「エルに必要以上に手を出すなよ? わかったか? アレクシス、ルカ」
「──それで納得するわけないだろう」
「──それで納得するわけないでしょう」
また被せて言って来やがった⋯⋯!
「おんんんんまえらマジでいい加減にしろッッッッッ!!!」
「⋯⋯その挑戦、受けるぞ。今から魔術戦やるか? エリオット」
「⋯⋯その魔術戦、私も参加していいですよね? 間違ってアレクシス殿下に魔術を放ってしまうかもしれませんが」
「ほう? ルカ、言ったな?」
「ええ、言いましたよ。私、一度言ったことは取り消さないので」
「いい度胸だ。【知恵の神の加護】と【氷の精霊王の加護】を全力で使ってかかってこいよ」
「望むところです。──勝った人が、一週間エルと過ごせる権利を獲得。これでいいですよね?」
「最高の報酬だ。絶対に勝ってやる」
「あなたに魔術で負けるつもりはありませんませんよ、殿下」
「──魔術戦とか許すわけねぇだろッッッッッ!!!!!」
俺が怒鳴ると、二人揃って不思議な顔をした。
「なんでだ? エルと一週間過ごせるのだぞ? エルを独り占めできるのだぞ? 私がやらぬと言うと思ったか?」
「右に同じです。エルを手に入れるためなら、私はなんだってしますよ」
こいつら、完全に暴走してやがる⋯⋯っ!
「⋯⋯はあ、わかったよ。俺も参加してやる、魔術戦。ただし、エルに危害を加えるな。これは約束だ」
「そんな当たり前のこと、何を言ってるんだ? お姫様は護るものだろう?」
「逆にエルに危害を加えようとする輩がいるなら、私が成敗してやりますよ?」
「ああっ、もう! わかったよ、俺も参加するよ。お前ら二人放っとくと何起こるかわかんねぇんだよ!!」
こうして俺は、殿下vsルカの魔術戦に巻き込まれたのだった。
次話で、【神の加護】【精霊王の加護】について説明します。
短く終わらせるので、ゆったりお付き合いください。




