魔女⑤
ダストハイブ食堂
鉄と樹脂の匂いが漂う、殺風景な食堂。
無骨なスチールテーブルに向かい合って、タツヤとナツキが無言で食事を取っている。
トレーに並ぶのは、栄養バランスが考慮された温かい食事。
HG住宅との同盟関係の影響か、食堂には旧時代の暮らしを思わせるメニューが並ぶようになった。
しかし、今この空間に漂っているのは、懐かしさではない。
重い沈黙。空気の中に鈍い圧がある。
タツヤはちらりとナツキを見やる。
普段の彼なら、テーブルを叩き
「この食事を作ったシェフを呼びたまえ!最高にウメェ!!」
…などと騒ぎ立てているはずだった。
そんな冗談で、いつも周囲の緊張をほぐしていたナツキが、今は俯いたまま黙々と箸を動かしている。
タツヤは少しの沈黙ののち、口を開いた。
「…ユリは、ホタフーキの病室に飯、持ってったよ。怪我のせいで食べづらそうだから、手伝ってあげるってさ……」
わずかな希望を込めたその声に、ナツキは顔を上げもせず、ただ短く答える。
「そうか」
会話はそこで途切れた。
不自然なまでの静寂が戻る。
タツヤはさらに何かを言おうとしたが……その瞬間、ナツキの体から滲み出る”何か”に言葉を押しとどめられる。
それは怒りでも悲しみでもない…殺気。
ナツキは箸を置き、静かに立ち上がる。
「……ご馳走様でした」
それだけを呟いて、トレーを片付けると食堂を後にした。
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マントマンは司令室の端末に広げたデータ資料に目を通していた。
補給ルート、避難誘導のパターン、HG側の提案書類など…。
静まり返った室内に、端末の操作音だけが響く。
コンコン、とドアをノックする音。
「どうぞ」
マントマンがそう言うと、静かにドアが開く。
そこに立っていたのはナツキだった。
彼は無言のまま一歩、また一歩と部屋に入ってくる。
「珍しいね。てっきり、今日はタツヤが報告に来ると思ってたけど」
軽い調子で言いつつも、その眼差しは鋭い。
ナツキの様子が、普段とはまるで違っていたからだ。
ナツキは足を止め、腰に手をやる。
「……アンタには、ずっと聞きてぇことがあったんだ」
その言葉と同時に、腰の血刀が抜かれる。
閃光のような一閃。鋭い音を残して、刀身がマントマンに向けられる。
ナツキの目が怒りに燃えていた。
「アンタは……“どっち”だ?」
室内の空気が、一瞬で凍りつく。




