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第七二段 たとえしなきもの
比べようもなく違っているもの。
夏と冬と。夜と昼と。雨が降っているのと日が照っているのと。若い人と年を取っている人と。
人が笑っているのと人が腹を立てているのと。黒と白と。愛することと憎むことと。藍色ときはだ色と。雨と霧と。
同じ人でも、私を思う気持ちが無くなってしまった人は、本当にその人であろうかと思うほど、違ってしまったと感じられる。
(それぞれ、語りつくせない違いが感じられて面白い。それにしても、今年の暑さはひどい。40度近くの暑さは、平安時代にはなかったはず。夏には、早く涼しいくなってほしいと思い、冬には、早くあたたかくなってほしいと思う。それぞれの季節を楽しんでいた清少納言が素晴らしいと思う。)




