79/359
第六三段 良き家の中門あけて
よい家の正門と東西の門の間にある中門が開けられていて、枇榔の葉で覆った枇榔毛の車で、はじ蘇芳色の下簾がうつくしく、台に立て掛けてあるのが見えるのは、たいそう素晴らしく思われる。
五位や六位の者たちが、下襲をはさんで、しろい笏を持たずに肩に挟み込んだりしてあちこち行違っている一方、矢筒を背負った随身が出入りしている様子は、大変「つきづきし」。
台所を預かる厨女の、とてもさっぱりした感じの女が、家から出てきて
「なにがし殿に仕えている方はいらっしゃりますか。」など言っている様子も「おかし」。
清少納言が、大好きな「おかし」と「つきづきし」を、「よき家の中門」で発見した、というお話でした。




