前へ目次 次へ PR 64/503 第五四段 月夜にむな車のありきたる 世の中、似つかわしく「おかし」と思うことも多いけれど、似つかわしくなくがっかりすることも多い。 例えば、月夜の夜に、牛車が歩いているのに、誰も乗っていない空の牛車であるとき。 様子のいい男が、美しくない妻を持っているとき。 黒々と髭を生やしている、年寄の男が、片言で話す幼児の相手をしているとき。 (よけいなお世話のような気がする。風流を愛していたのは確かなのですが、風流でないからと言って、がっかりしたことまで書かなくてもいいのに。)