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第五三段 細殿に人あまたいて
定子様のいらっしゃる登華殿の横の細殿に、女房たちがたくさん座って、その前を歩く者たちを御簾の陰から並んで見ているときのこと。はしたないのもかまわず、呼び止めて話をするときに、様子の良い若者や、小舎人童などが、包みや袋に着物を包んで持っているのに、指貫の腰ひもなどが、ちらりと見えているのがおもしろい。また、袋からは弓、矢、盾、細太刀などを持って歩くのが見える。
「どなたの物?」と聞くと、ひざまづいて
「なになに殿の物です。」と答えるのは、大変良い感じがする。一方、機嫌悪く、または、恥ずかしがって
「知りません。」といったり、聞きもしないで去っていくものは、ひどく嫌な感じだ。
よく、平安時代の小説や漫画でこんな場面を見る。女房たちがずらずら並んで座っていて、「あっ、源氏の君だわ、素敵!」などと言いあっている。若者や子供だと、呼び止められてあれこれ聞かれて、噂の種にされるのか。こっちは、知らなかった。




