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第二八二段 十二月二十四日(前)
十二月二十四日、定子様の御仏名(導師に『仏名経』を読ませて一年間の罪を消し、心を清らかにして新しい年を迎えるための宮中の法の初夜のこと。導師の京を聞き終えて、宮中から帰っていく人々は、子の刻を過ぎていることだろう。里へも下がるであろうし、もしくは、ひそかに通っている恋人のところに行くのであれ、牛車に相乗りしている道中こそおもしろい。
いつも降っている雪が、今朝はやんで、風がひどく吹いているので、垂氷(つらら)がはなはだしく垂れさがっている。
土は、まだらに黒々として雪は溶けがちであるが、屋根の上はただ一面に白く雪に覆われている。粗末な家も雪で隠れ、有明の月が雲もなくはっきりと見えていて、たいそう趣深い。




