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第二九段 心ときめきするもの

 心がときめくもの。なんといっても、雀の子。小さくて、愛らしくて、ずっと見ていても飽きない。


 幼子を遊ばせているところの前を通るとき。唐鏡の、ちょっと曇っているのを見たとき。(これ、特別な意味があるみたいだけど、清少納言に聞かないと分からない。いいことの前触れ?何かが起こる前兆?)


 イケメンが牛車を停めて、何かの取次ぎを頼ませている姿。


 高級な薫物(たきもの)を手に入れて何とも言えない香に酔いながら一人で横になっているとき。


 髪を洗ってさっぱりした後、丁寧にお化粧をして、よい香りをたきしめた衣を着ているとき。これを誰かが見てくれるわけでなくても、気持ちは「おかし」。


 恋人を待っている夜に、雨が格子に当たる音や、風が(しとみ)をゆらす音に、いらっしゃったのかしらとハッとする心持もときめくものだ。


 

 乙女ですねえ。小さいもの、幼いものの可愛さ。お気に入りの香り。おしゃれ。恋人を待つときの気持ち。これも、昔も今も変わりません。

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