61 光泰 つかれる
四月二十五日、明智光秀が坂本城に帰ってきた。
光泰 「父上、お帰りなさいませ」
明智光秀「無事、務めは果たしておるか」
光泰 「問題ありませぬ、御安心下さいませ」
明智光秀「叔父上、ご迷惑をかけて申し訳ござらぬ」
(注:照子は広忠の養女になっている為、家系図では嫁の叔父です)
妻木範熈「おかげで、孫の成長を見れて嬉しゅうござる」
ん!頭を怪我しているぞ。何かあったか?
光泰 「父上、お怪我をなされたのですか?」
明智光秀「大した事でない」
思い出せ。この時期に、怪我をしているとしたら、
あーあれか?セリフは覚えていないけど、
信長に「このハゲーーー」と怒られたアレか?
真田丸で、ゲイの人に内野聖陽が、ハンカチを当てていたシーン。
詮索はしない方がいいかも。あ~あ、引き金引いちゃっているよ。
光泰 「今日ぐらいは、ゆっくりして下さいませ。
お疲れでしたら、甘い物を食べると宜しいですよ」
明智光秀「すぐに、亀山に戻らねばならぬ。食べる暇など無い」
光泰 「左様でございますか。お体は大事にして下さいませ」
明智光秀「今日は大人しいではないか。気味が悪いぞ」
光泰 「私はいつも、大人しゅう御座います」
明智光秀「悪さしておらぬなら良い」
僕のイメージはどうなっているんだ?
明智光秀は考えすぎなのかな?
妻木範熈「十次郎は、将来有望ですぞ」
明智光秀「戦には、役に立たたぬ事ばかり熱心ではのう」
これ以上かかわると、余計な事を言われそうだな。
光泰 「私は、役目に戻ります」
僕は、明智光秀から離れた。
今日帰ってきたのは、恐らく徳川家康との食事会の準備する為かな。
亀山城で打ち合わせと、食材の取り寄せをするのだろう。
僕も入り込めないかな?
料理には手を出せないだろうけど、織田信長や徳川家康の様子や、
羽柴秀吉の情報が手に入れられるかもしれない。
言い出すのは、食事会の直前でいいか。
今言うと、なぜ知っているのか聞かれて困るからな。
光泰 「権兵衛、すぐにこの文を焼き物屋に届けよ」
権兵衛 「呼び出せば、宜しいでは無いのですか?」
今、坂本城に呼ぶわけにはいかない。
明智光秀と店主を合わせると、余計な事を聞かれる恐れがあるからだ。
明智家のお抱え商人は、堺の天王寺屋であり、坂本城下の商人は、
日用品を仕入れる程度の取引しかしていない。
(前に会っている海外貿易商人は、天王寺屋の親戚の店)
光泰 「天王寺屋と鉢合わせしてみよ、
焼き物屋の商いを、邪魔するやも知れぬぞ」
権兵衛 「天王寺屋は、たしか仏具屋でしたか?」
光泰 「材木屋じゃ。他にも武具の仕入れを手伝っておる。
そんな事より、早う行け」
天王寺屋の専門は材木屋だ。
木製の器を売っている、焼き物屋と少し被っている。
玩具も木製だらけだ。取り込まれると困る。
さて、次は範熈祖父さんに、亀山城へ行ってもらうか。
いない間に、色々な準備をしておきたい。
孫の光慶に、会われに行きなされませと、言えば良いかな。
しかし、今すぐに向かってくれるだろうか?
初菊に会わせてみるか。孫の嫁がしっかりしていれば、
安心して出かけるかもしれない。
実は、僕はまだ初菊を、祖父さんに会わせていない。
若輩者の僕が、もう女にうつつを抜かしていると思われては、
なにを言われるか解からない。
どちらがいいかな?会わせるか、まだ先にするか。
初菊の様子を見てから判断しよう。
光泰 「初菊、作法は覚えたか?」
初菊 「少しずつではありますが、読み書きが出来るよう成りました」
初菊は下級武士の娘として育てられた。育ての母は農民出身で
四年前に亡くなっている。
兄弟もいないので、読み書きを教える者がいなかった。
(注:戦国時代の識字率は諸説あります)
光泰 「森の奥方、どうであるか?」
森お茂 「菊姫様は熱心に、勉強を成されておりまする」
初菊の教育係は、近習の茂兵衛の母で、僕の傅役だった爺の一人娘である。
名前は森お茂。実に覚えやすく解りにくい。
森お茂の夫は婿養子で、明智光秀の右筆(記録担当)の一人らしい。
光泰 「御祖父様に、会わせてみたいのじゃが、良いかのう」
森お茂 「あのお方は、何かと五月蝿い御人だと聴きましたが、
宜しいのですか?」
たしかに。明らかにあの時、話を盛っていた。(照子の話です)
光泰 「失礼にならなければ、大丈夫だと思うのじゃが?」
森お茂 「では私も同席して、印象をよろしく致しましょう」
初菊 「まだ自信がありませぬが、大丈夫でしょうか」
森お茂 「失敗しても、若様の評価が下がるだけで御座います。
菊姫様はまだ始めたばかり、出来なくて当然でしょう」
森お茂は、ちょい毒舌家だ。肝が座っている。
光泰 「そうじゃ、下げてくれても構わぬ。
期待され過ぎると、なにかと面倒じゃ」
今は大人しく、隠密行動をしなくてはならない。
期待されて、やりたくない仕事を、頼まれも困る。
森お茂 「ところで、茂兵衛は役にたっておりますか?
あの子はなにをやらしても、詰めが甘いと申しましょうか
どこか抜けていると、言えばよろしいのか」
茂兵衛 「母上、お辞め下さい。恥ずかしゅう御座います」
あ!居たんだ。すっかり忘れていた。
茂兵衛は積極的に、行動しないんだもの。
命令しないと動かない。権兵衛がいないと、静かになる。
じゃない方芸人みたいな男だ。(ツッコミタイプ)
光泰 「なにか特技は無いのか?」
森お茂 「小さい頃から、生き物に懐かれやすかったぐらいですかね」
動物に懐かれやすいか、犬の世話をさせ軍用犬を作るか?
躾け方、全然知らないけど。
光泰 「そうか、では蜂蜜でも取らせるか」
茂兵衛 「虫は流石に懐きませぬ」
蜂蜜は結構、値段が高い。砂糖も高い。ただし、買えないほどでは無い。
蜜蜂の巣箱を作れば、蜂蜜が採れるのだろうか?今は、後回しにするけど。
森お茂 「これ茂兵衛、蜂が怖くて戦に勝てますか」
茂兵衛 「母上、勘弁して下さいませ」
光泰 「冗談じゃぞ、本気にするでない」
茂兵衛は、戦で役に立たないと思う。完全に、文官タイプの武士だ。
雑用に使うのが一番か、馬の世話をさせてもよいかな。
光泰 「初菊、御祖父様に挨拶をしに行くぞ。
聞かれた事以外、なにも言わなくていいからな」
初菊 「はい、頑張ります」
森お茂 「菊姫様、このような時は、不調法とか不束者ですがと
謙遜して言うものですよ」
初菊 「ふつつか者ですが、宜しくお願いいたします」
光泰 「此方こそ、至らない所が有るやも知れぬが、
末永く宜しゅうお願い申す」
なんだか、結婚の挨拶みたいだな。
森お茂 「若様、その挨拶はまだ、早う御座います」
光泰 「森の奥方は、厳しいのう」
森お茂 「それよりも、話を円滑に進めるには、菓子を持っていくのが、
よろしいかと思われますが、いかがでしょうか?」
光泰 「そうじゃな、プリンで良いかのう」
森お茂 「プリンは、若様が作られた菓子で御座います。
菊姫様の作られる菓子の方が、宜しいでしょう」
初菊 「十次郎様の菓子と比べられると、凡庸な菓子しか作れず、
恥ずかしゅうございます」
初菊は、お菓子作りが好きなのだが、僕の作る未来のお菓子に気後れしているのか、
一度も作ってくれていない。
光泰 「ならば、二人で作ればよいではないか」
初菊 「私と十次郎様とですか?」
光泰 「そうじゃ、良い案ではないか。なにを作るかのう」
初菊 「饅頭とお団子、あと粽などの餅の菓子ぐらいしか
作れませぬが、宜しいでしょうか?」
今は春だから、苺大福を作りたいけど、戦国時代に苺が無い。
桜餅は、塩漬けした桜の葉が無いと作れないので、今すぐは無理だ。
光泰 「プリン餅(プリン大福)でも作るか」
森お茂 「それは、お年寄りでも食べやすい物で御座いますか?」
光泰 「驚いて、餅を喉に詰まらせては困るな」
森お茂 「詰まらせるほど、歳は取っていないと思われますが、
餅なら草餅が宜しいでしょう」
光泰 「草餅か、それにしよう。初菊は作れるか?」
初菊 「はい、作れます」
光泰 「決まりじゃな」
僕と初菊と茂兵衛親子は台所に向かった。
光泰 「草餅を作りたいのじゃが、材料は有るか?」
料理頭 「母子草が、有りませぬ」
母子草?草大福の別名は、蓬大福だよな。
光泰 「蓬は無いのか?」
料理頭 「お堀の近くに、生えておるとは思いますが?」
光泰 「茂兵衛、蓬は解るな、取ってきて参れ」
茂兵衛 「ハッ!!畏まりました」
母親が側に居るせいで、茂兵衛の返事に勢いがあった。
森お茂 「蓬で、お作りになさるのですか?」
光泰 「母子草では親子の縁を切りそうなので縁起が悪い。
蓬の字はくさかんむりに逢の字を使う故、面会には縁起が良い」
逢の字には、出会うや意を迎えるの意味がある。
もしかして、母子草を使わ無くなったのは同じ理由かな?
料理頭 「草餅を、お作りすれば宜しいのですか?」
光泰 「今回は、わしと初菊とで作るゆえ、手出し無用じゃ」
折角の初めての共同作業。邪魔は、されたくない。
光泰 「初菊、わしは作り方を知らぬ、教えてくれぬか?」
初菊 「色々と、見たことがない菓子を作られるのに、
草餅の作り方を、ご存知無かったのですか?」
光泰 「わしは、思いついた物を作っていたにすぎぬ。
別に、菓子作りが得意な訳ではないぞ」
初菊 「おあれほど、美味しい菓子が思い付きだけで、
作れるなんて信じられませぬ」
光泰 「どうじゃ、凄いじゃろう。惚れ直したか?」
初菊 「さあ、早く作りますよ」
なんだか、はぐらさかれた。
まあ、パクっているだけだし、自慢は出来ないけど。
初菊 「まずは、餅米を蒸します」
光泰 「重いから、わしが持つぞ」
初菊 「そんなに、沢山作りませんよ」
初菊の指示通り、もち米と小豆の準備は出来た。
茂兵衛 「蓬を取ってくましたぞ」
光泰 「これだけ有れば、足りるか?」
初菊 「はい、大丈夫です」
蓬は茹でて、灰汁を抜きみじん切りにする。
餡は、こしあんにして、砂糖の代わりに、甘葛を使う。
砂糖より甘葛の方が、安いからだ。
光泰 「包丁で、指を切るでないぞ」
初菊 「小さい頃からよくやっておりましたので、
ご心配なさらなくともよいですよ」
光泰 「もし切ったら、指を舐めてあげるぞ」
初菊 「それより、鍋をよく混ぜてくださいね」
僕と初菊の関係は、恋人同士と言うより、弟と姉の様にしか見えない。
僕としては、もう少し頼られて欲しいのだが、
初菊は一人娘として育てられたせいか、色々としっかりしている。
僕の方が実は年上なのに、いまいちリード出来ていない。
(注:光泰は、十四才+四年で十八才だと思っています。
初菊は、数え歳で十八才ですので、本当は十七才です)
光泰 「出来たのう」
茂兵衛親子に、味見をしてもらった。
茂兵衛 「美味しゅうございます」
森お茂 「蓬の香りが、良う御座います」
草餅の感想は、母親の森お茂の方が上手かった。
ちなみに、余ったもち米で粽も作ってみた。
僕と初菊と茂兵衛親子は、妻木範熈の部屋に向かおうとしたが、
明智光秀もいた。
話をしているのでは無く、近くの部屋に居るだけだ。
明智光秀は、あまり甘い物を好きではない。
甘い物好きの織田信長と正反対である。
光泰 「引き返すぞ」
森お茂 「なにをお喋います。ここまで来て、
怖じ気ずいたのでは有りませぬな」
光泰 「怖じけておらぬ。父上は面倒なのじゃ」
信長に、怒られた後だよ。虫の居所が、悪いかもしれないよ。
だけど、ここまで来たら行くしか無いか。
光泰 「御祖父様、私の許嫁を紹介したいのですが、
お暇でしょうか?」
妻木範熈「もう許嫁か、早いものじゃ」
初菊 「斎藤家の養女、初菊で御座います」
妻木範熈「歳はいくつじゃ?」
初菊 「十八になります」
妻木範熈「十次郎はたしか十四であったな」
光泰 「十二です」
妻木範熈「六つも年上か。早く祝言を上げねばならぬな」
光泰 「そうなのです。それなのに、兄上のお相手が決まらぬ内は、
結婚してはならぬと言われておるのです」
妻木範熈「そういえば、まだ十五郎は嫁が居らぬのであったな」
光泰 「兄上も自分で見つけるくらいの気骨があれば宜しいのですが、
まだ早いと悠長な事を申すのです」
妻木範熈「あの子は、照子から離れなかったからのう。
母親に似た娘ではないと、結婚しないかも知れぬぞ」
光泰 「誰か居りませぬか?跡取りが独身では、周りが迷惑します」
妻木範熈「歳の近い姫君のう・・・妻木家には居らぬな」
光泰 「初菊すまぬのう、祝言はまだ先のようじゃ」
初菊 「私は、何時迄も待ちます」
妻木範熈「仲が良いのう。もう曾孫を、見せてくれるのかのう」
気が早い。初菊が照れているではないか。
光泰 「曾孫なら、姉上達の所に居るではありませぬか。
今度、訪ねては如何ですか?」
珠子姉さんと長岡忠興の間に子供の、
おちょう姫(三才)と熊千代(二才)が居る。
現在、妻木範熈の曾孫は二人だけである。
妻木範熈「二人共、他家に嫁いでしまっておるでな、
簡単に会いに行く訳にはいかぬ」
二人供?子はいないけど、倫子姉さんの夫の秀満は、
明智家の娘婿なので会いにいけるはずだが?
光泰 「倫子姉上は、福地山城に居られますので、
会いに行かれては如何ですか?」
妻木範熈「倫子?誰じゃだったかのう」
ボケたか。倫子姉さんは、たしか年齢上、初孫でしょ?
光泰 「お忘れですか?明智家の長女ですよ」
妻木範熈「長女は、京子じゃろう?」
あれぇ、おかしいぞ。マジでボケているのか?
光泰 「三宅弥平次と結婚した、倫子姉上をお忘れですか?」
妻木範熈「なんじゃ、革手の事か」
光泰 「かわて?」
妻木範熈「あの子は小さい頃、革手姫と言う名前だったのじゃ。
光秀殿の養女になった時、改名したはずじゃ」
四年目の衝撃の事実。倫子姉さんは昔、名前が革手姫で養女だった。
しかも革手とは、酷いセンスだ。
光泰 「では、長女は珠子姉上になるのでは?」
妻木範熈「京子と珠子は、双子じゃぞ」
エ!初耳ですけど。確かに同い年だけど。
光泰 「京子姉上は、光廉大叔父上の娘と聴きましたが?」
妻木範熈「それはのう、双子は縁起が悪いから、光廉殿の娘にしたのじゃ。
その後、養女として光秀殿の元に戻したのじゃ
その時、光廉殿の実の娘の二人も、養女にしたのであったのう」
明智光廉は明智光秀の叔父で、もう亡くなっている。
つまり、倫子姉さんと光忠の妻(名前知らない)は、実の姉妹で
明智光秀の従姉妹になるのかな?
そういえば、光忠の息子の光近は十九才だったな。
倫子姉さんの妹?は、歳はいくつなんだ?
光泰 「光忠殿の妻をご存知ですか?」
妻木範熈「たしか両方共、光秀殿の従姉妹であったな。
名前は、秀子?岸子?花子?里子?春子?繁子?
んーーー思い出せぬ」
まあ、倫子姉さんに聞けば解るだろう。
姉?が革手姫なら、妹?は具足の名前かな。
しかも、改名している可能性が高い。
これ以上、聞いても仕方が無さそうなので、話を変えよう。
光泰 「姉上はともかく、亀山城の兄上の様子でも
見に行かれては如何ですか?
小五郎は、御祖父様の顔を覚えていないでしょうし」
妻木範熈「小五郎?十五郎ではなかったか?」
光泰 「小五郎は三男の乙寿丸です。
十五郎は長男の、今は十兵衛光慶と名乗っております」
妻木範熈「そうであったな。照子の葬義以来、会っておらぬしな」
光泰 「ところで蓬で作った、草餅はいかがですか?」
妻木範熈「実に美味しぞ。菓子作りも得意と聞いておったが、
よう出来ておる」
光泰 「今回は、私と初菊とで作りました」
妻木範熈「曾孫も早う見れそうじゃ」
お祖父ちゃん、長岡家や津田家に行けば見れるからね。
光泰 「あと小五郎に、玩具を持っていって頂きたいのです」
玩具とは、次に売り出す予定の紙相撲だ。
売るのは、力士の絵と土俵を書いた紙。
力士は坂田金時や武蔵坊弁慶などの昔の武将を書いている。
線は判子を押して書けば沢山作れる。
もしかしたら、力士の判子が売れるかも知れない。
妻木範熈「紙に、絵が描かれておるのう」
光泰 「御祖父様、遊んで見て下され」
妻木範熈「どう遊ぶのじゃ?」
僕は紙相撲のルールは、倒れるか場外に出たら負けと、
シンプルに説明をした。
光泰 「土俵の周りを、トントンと叩くのです」
妻木範熈「簡単じゃのう。わしは日本武尊にするかのう」
光泰 「私は、酒呑童子に致します」
日本武尊vs酒呑童子の戦いは、押し出しで日本武尊が勝利した。
妻木範熈「これは面白いのう。御伽草子の人物を使うのが良い」
室町から戦国時代の武将は、作っていない。
後で、ご先祖様を売り物にするなと、文句を言われると困る。
明智光秀「また玩具か」
妻木範熈「光秀殿も、やってみてはいかがか」
光泰 「平清盛や源頼朝もありますよ」
平清盛は織田信長の先祖に当たるらしい。
明智家は清和源氏の摂津源氏の流れを組むので、
河内源氏の源頼朝はかなり遠い親戚になる。
明智光秀は、黙って平清盛を手に取った。
光泰 「私は、源頼朝でやりましょう」
最後に勝った源氏では無く、油断して負けた平家を取ったか。
光泰 「はっけよいのこったで、トントンと叩いて下さい」
勝敗は、僕の源頼朝の勝ちだった。
まずい、機嫌を良くしないと。
光泰 「蓬の草餅はいかがですか?粽もありますよ」
明智光秀は、粽を一つ手に取り、
明智光秀「織田家の者は止めておけ」
そう言い残して、明智光秀は去っていった。
妻木範熈「面白かったようじゃな」
光泰 「そうなのですか?」
妻木範熈「源氏が勝ったのじゃ、当然であろう」
なんだか未来を暗示してしまったか?
織田信長は現在、平清盛と同じ立場にいると言ってもいいだろう。
驕る平家は久しからずもとい、驕る織田家は久しからずになってる。
源平合戦から続く、平家と源氏の政権交代は起こってしまうのか。
森お茂 「茂兵衛、若様をお守りするのですよ」
茂兵衛 「母上、いきなり何ですか?」
森お茂 「若様の自由な発想を、手助けするのが貴方の役目です。
しっかりせねば、役立たずになってしまいますよ」
うん、その通り。
光泰 「今年の夏になるまでに、なにか役にたたねば、
新しい近習を雇う故、しっかり励むのじゃぞ」
妻木範熈「ならば男なら幾人か、宛がおるぞ」
光泰 「その時は、お願い致します」
茂兵衛 「せめて、今年中までにはなりませぬか?」
森お茂 「情けない事を言うものではありません」
爺の娘にしては、結構厳しいな。
光泰 「初菊、辛くなったら何時でも言うのじゃぞ」
初菊 「御安心して下さいませ。森様はお優しい方ですよ」
妻木範熈「明智家は安泰じゃのう」
お祖父さん二ヶ月後、死ぬほどビックリするよ。
次の日、明智光秀と妻木範熈は亀山城に向かった。
物資調達役の藤田行政が残っているけど、身動きは取りやすくなった。
少しずつ道具は揃えてある。後は人材だけだ。
そういえば服部半蔵に、手紙は届いたかな?連絡はいつ来るだろうか。
すこし詰め込み過ぎました。
双子設定は創作です。
倫子の名前ですが、光廉の娘時代が革手姫
光秀の養女時代が倫子姫です。
明智家の家系図は諸説有りますが、全部無視しております。
未登場の秀子をどうするか検討中です。




