49 十次郎 狩りをする
今日は、近所の山に、狩りに出かけた。
爺も来るはずだったが、足を痛めて城でお休みしている。
参加メンバーは、僕(11才)と光慶(12才)とその近習達、
明智光忠の息子で親戚の、明智十郎左衛門光近(19才)
斎藤利三の息子で、斎藤利康(17才)と斎藤利光(14才)
藤田行政の弟の藤田行久(2?才)と、息子で、藤田秀行(13才)
指導役に、家老の溝尾庄兵衛茂朝(43才)
案内役に地元亀山出身の並河易家の息子、並河八助(18才)
合計9人、平均年齢19才?の若手精鋭達だ。
光慶 「本日の狩りじゃが、競争といたす」
山に入る前に、狩りの褒美を発表した。
十次郎「一番、大物を取られました者には、
新作の菓子を、一つ多めに差し上げます」
菓子は、十個持ってきた。
十二個作ったのだが、狩りに付いて行くと
駄々をこねた乙寿丸に食べられた。
ついでに、初菊にもあげた♥
十次郎「私に負けた者は、罰として、雷を喰らわします」
光慶 「それは父上に禁止されてはおらなかったか?」
十次郎「作るのだけです。使用は、禁止されておりませぬ。
それとも私に負けるような、下手糞がおるのですか?」
光慶 「それもそうじゃ。おぬしは、弓も碌に扱えぬからのう」
余計な事を言いやがる。僕は、和弓が苦手だ。
代わりに、クロスボウを持ってきている。
斎藤利康「同じ大きさの場合は、いかが致しましょう」
光慶 「熊を仕留めた者が、一番じゃ。
二番は猪、三番は鹿にするかのう」
溝尾茂朝「若様、熊は冬眠前で、危のう御座います」
光慶 「熊を恐れては、戦はできぬ」
十次郎 「熊は意外と臆病ですから、目を離さず
後ろに下がれば、追いかけて来ないと聴きました」
斎藤利光「そのような話、聞いたこと御座いませぬが?」
光慶 「十次郎は、妙な事ばかり知っておるからのう」
十次郎 「常識は近習達に、聞いてくださいませ」
光慶 「おぬしは将来、何に成る気じゃ」
光慶は少し呆れながら言った。
十次郎 「兄上の子供達に、新しい玩具を作ってみとう御座います」
光慶 「武士らしくないのう。新しい武具を作らぬのか?」
十次郎 「作っても良いですが、敵が可哀想になりますぞ(ニヤリ)」
思いっきり悪そうな顔で言った。
光慶 「・・・やはりおぬしは、玩具を作るが良いな」
狩りの競争相手である、それぞれの家の特徴は、
斎藤家は、頭の良いお利口さんだそうだ。
藤田家は、よく動く子達だ。(前にプリンを食べたのは秀行)
明智家は、若ハゲが多い。(僕はまだ大丈夫)
溝尾茂朝と並河八助は、狩りはしない。
彼らは仕留めた獲物の、処理を担当する。
並河八助「出来る限り、鹿を多めにお願い致しまする」
今年の農作物の被害が、結構あったそうだ。
奈良の鹿が、こちらに入り込んでいるらしい。
奈良で鹿は、殺す事を禁止されているが、
外に出たら関係ないそうだ。
藤田秀行「鹿じゃ、鹿じゃ」
明智光近「気付かれますので、音を出さないように」
斎藤利康「若様、あまり離れませぬようにお願い致します」
光慶 「小さいのう、おぬしらで撃つが良い。
わしは、大物を狙う」
明智光近は、皆にお兄さんのように接している。
藤田行久は、斎藤利康にライバル意識を持っているようだ。
藤田秀行は、ちょこまかに動いて、他の獲物を探している。
斎藤利康と斎藤利光は、光慶の側でさり気なく護衛をしている。
最初の獲物は同じ鹿を、藤田行久と斎藤利康が、同時に撃った。
明智光近「この場合、どう致しましょうか?」
光慶 「頭の近くに、矢を撃った者の物じゃ」
藤田行久「わしの勝ちじゃ」
行久君、まだ始まったばかりだからね。
光慶 「皆が近くにいては、わしが獲物を採れぬ。少し離れよ」
溝尾茂朝「私と八助が、若様に付いていますから、ご安心くだされ」
並河八助「この辺りは、熊や猪は滅多に出ませぬから、
離れても安心で御座います」
近習達は、少し離れた所に散らばった。
光慶 「おぬしも離れて良いのだぞ」
十次郎「怖いのでお断りいたします」
光慶 「まだ子供じゃのう」
別に、狩りに興味が無いだけだからね。
今回の狩りも無理矢理、連れてこられただけだから。
光慶が、初菊の前で、
「弓の鍛錬に狩りに出かけるぞ。初菊に、格好良い所を見せてみよ」
などと言ったから、断りづらくなってしまった。
斎藤利康「若様、猪がそちらに向かっていますぞ」
八助君、猪いましたよ。
光慶 「手本を見せてやろう」
矢が、ビューンと飛んだ。
溝尾茂朝「お見事でございます」
溝尾茂朝が、猪の首に、槍でトドメを刺した。
並河八助「血抜き致します」
並河八助は素早く、猪の処理を始めた。
光慶 「わしの、勝ちかのう」
小さい雌鹿が、一頭見えた。
十次郎「鹿なら、撃ってみせます」
クロスボウで一発、撃ってみた。見事に避けられた。
鹿が、猛スピードでこちらに向かってきた。
ヤバイ、逃げないと危ないぞ。
急いだ僕は、転んでしまった。
ビューン!!!
光慶 「大丈夫か?」
鹿は、光慶が撃ったようだ。
十次郎「有難う御座います、兄上」
光慶 「まだまだじゃのう」
光慶は少し、満足そうに言った。
お昼が少し過ぎた頃に、狩りを終了させた。
結果は大きさ順に、
光慶、 猪一頭、鹿一頭
明智光近、鹿三頭
斎藤利康、鹿二頭
藤田行久、鹿二頭
藤田秀行、鹿一頭
斎藤利光、鹿一頭
十次郎、 0頭
合計十一頭、優勝は光慶だった。
褒美の菓子は、どら焼きだ。
光慶に二個渡して、他の者が一個ずつ食べた。
皆、美味しそうに食べている。
光慶 「鹿はおぬしにやる。それで、格好は付くじゃろう」
十次郎 「兄上、今度鹿肉の料理を馳走いたします」
光慶 「得体の知れぬ料理はいらぬぞ」
十次郎 「干物にいたしますので御安心を」
光慶 「乾物ならよい」
鹿のビーフジャーキー?鹿って英語でなんて言うのだろう?
鹿の干し肉と言えばいいか。
光慶 「早く、鷹狩もしたいのう」
鷹狩は、子供の光慶には、まだ早いと禁止されている。
ここにいる全員は、本能寺の変の後、ザキヤマの戦い?に
参加するのだろうか?(山崎の戦いをザキと言う山で行うと勘違いしている)
出来るだけ、悲惨な結末にならぬよう、しないといけないかな。
まだ、幼い子供にしか見えないからな。(一人除く)
光慶 「これで、わしの方が優秀じゃと解るじゃろう」
十次郎 「はい、兄上には敵いませぬ」
明智家には、跡取り候補が、二人いる。(乙寿丸は幼いので除外)
この狩りで、実力の差を解らせたかったのだろう。
珍しく兄のようにしていた光慶は、目的を果たしたようだ。
もうすぐ、それどころでは、失くなるのに・・・
誰か、少しは手伝ってくれないかな。
この話が書き終わるまで、後の話が出せませんでした。
鹿は、後で迎えに来た小間使い達が、処理いたしました。
藤田行久の設定が間違っていたので訂正します。
年齢の資料が見当たらないのでぼかします。




