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ジュリア-改-  作者: リノキ ユキガヒ
一夜あけて
23/28

そーいやー

ジュリアは自宅のアパートに帰り着くとそのままベットに倒れこんだ。皮のジャケットを着たまま寝込んでしまったので寝心地の悪さと降り注ぐ陽射しの眩しさで目をさました。

時間を確かめる為スマホに手を延ばすとメールの着信を知らせるLEDのランプが光ってる事に気付いた。寝たままの姿勢でメールをチェックするとマキからで、無事に家に帰り着いた事を知らせる内容だった。あの時叫んだ声はマキの耳に届いていたようだ。

それを見ると起き上がり返信を手早く返した。そして改めて時間を確認すると時刻は昼近くになっていた。

ジュリアは大きいアクビをするとベットから這い出てミニコンポの電源をいれてラジオを付けた。

AMラジオから流れてくるのはヒットチャートを賑わす曲では無く天気予報や渋滞情報だ。AMラジオは日常生活に必要な情報がよく流れて来るのでジュリアは働くようになってからテレビよりラジオをよく聞くようになった。

特にバイク乗りとしては天気と道路状況はマメにチェックしたいところだ。

もちろんネットでもそれらの情報は手に入れる事はできるがラジオの場合はそれらを聞きながら他の事もできるので非常に都合がいい。

ラジオを付けたまま乱暴に服を脱ぐと下着姿になりそのままシャワーを浴びにユニットバスに向かった。手早くシャワーを済ませ新しい下着に着替えると肩にタオルをかけたまま冷蔵庫の中にあるミネラルウォーターをボトルのままラッパ飲みした。

空きっ腹なので食道から胃袋へ冷たい水が体内に流れ込む様子が手に取るように解る。

「カーッ!」

と、まるで中年のサラリーマンがビールを一気飲みした時のような声を挙げると部屋着のタンクトップとショートパンツを履いて部屋な真ん中辺りに落ち着いた。

小さいテーブルの上にはネットに接続されたノートパソコンが置いてありそれを立ち上げるとネットで再度天気予報を調べた。

「今日の東京は…えいっ」

力強くマウスをクリックすると画面に東京23区の略図が表れ、千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区の天気は概ね快晴である事を伝えてくる。

ジュリアにとって天気の情報も大事なのだが次に重要なのは最高気温もそうなのだ。

勿論、ライティングの際にどのような格好なら暑く無いか?寒く無いか?という物差しのような役割もあるのだが

「最高気温は25度かぁ…この程度ならプラグの熱価を変える事は無いな」

ジュリアの愛車であるカワサキのバイク・Dトラッカーはキャブレター使用のエンジンの為、季節に応じたセッティングが必要なのである。

ことに外気温はセッティングを決める際重要なファクターになる。

その為に天気予報でセッティングをかえる頃合いを探る必要があるのだ。

コレら一連の流れがジュリアの休日の朝に行う日課のようなものだ。

ラジオの番組がベテランパーソナリティーが司会をする長寿番組から若手人気アナウンサーのバラエティ番組へ変わる頃。

ジュリアはふと思いたったように呟いた。

「そーいや私、料理とか余りしねーな」

1人暮らしを経験したものなら解る事なのだが自炊は案外面倒くさいので余りしないものなのだ。ましてや社会人にもなると仕事の忙しさに押されてそのような手間は避けるようになり外食一辺倒になりがちだ。ジュリアは頭をボリボリかきながら再び呟いた。

「軍隊ってメシに関するエピソード多いよな。有名どこは肉じゃがとカレーだし、メシの質が部隊の士気に関わるとか聞いた事あるなぁ。コンテストなんかもやってたりするし横須賀海軍カレーなんてスゲーイベントしてるもんな…。あと、電子レンジもそうか」

手遊びでマウスを動かしていた手が止まる。

「おし!何か作ってみるか!」

そう力強く言うと出かける準備を手早く済ませた。

アパートの表に停めてあるバイクのカバーを剥ぐと小さくまとめて玄関に放り込んだ。そして勢いよく飛び乗るとエンジンを始動させそのまま走りだした。

近所に大きめのスーパーがあるのでそこで粗方、材料をそろえる事にした。

スーパーの駐輪場にバイクを停めると早速入店した。

入り口にあるプラスチック製の買い物カゴを取るととりあえず店内をウロウロしてみた。

するとビーフシチューの素が特売されているのに気が付いた。

「おっ。丁度いいタイミングだな」

箱を手に取り裏に書いてある調理方法に目を通した。

「えっと、厚手の鍋にサラダ油を熱し、一口大に切った牛肉、人参、ジャガイモ、…ナルホド、ナルホド。ここに書いてある通りに作ればいいんだな。なんだかバイクのサービスマニュアルみてーだな」

何でもバイクに結びつけるのが余りいいクセではない事と思いつつ材料を次々とカゴに放り込んでいく。

レジを済ませ、店員に要らない小さ目ダンボール箱を分けてもらうとそれに購入した商品をいれていった。

そのダンボール箱を小脇に抱えながら退店すると駐輪場に停めてあるバイクのリアシートに手慣れた感じネットでくくり付ける。

「さてと、材料はそろったからデキは私のウデ次第だな」

そう言うとバイクに跨がりスーパーを後にした。




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