3話 千年に一人だけ現れる“魔生成"
北東の魔法の塔に到着したタミィとディナール。
ディナールはユルスを払い、魔法を受け取る。
すべては、魔法・経済格差平等改革のために。
到着した。
北東にそびえる、魔法の塔。
灰色の石壁は空を突き刺すように高く、見上げるだけで胃の奥が重くなる。
俺は財布からユルスを取り出し、門番に放ると、そのまま塔の中へ足を踏み入れた。
「……これでいいんだな」
「はい」
隣に立つタミィは、いつも通り簡潔に答える。
だが次の瞬間、ほんのわずかに微笑んだ。
それだけで胸の奥が熱くなる。
感情を表に出さない彼女の笑みは、十分すぎる後押しだった。
まだスタートラインに立っただけだ。
だが、ここから始める。
この国の――
魔法と経済、その歪んだ格差を壊すために。
「手を上げろ」
低く枯れた声が響く。
前方には、老人が一人立っていた。
「……なぜだ?」
「願いを込めろ」
即答だった。
「話を聞く気ゼロかよ……」
小さく毒づきながら、俺は目を閉じた。
(クソ貴族どもとの――
魔法と金の格差を、ぶち壊す力を……よこせ)
次の瞬間、空気が歪んだ。
一冊の本が、音もなく目の前に浮かび上がる。
触れた瞬間、膨大な情報が流れ込んできた。
この世界の文字。
言語。
古代語に至るまで――すべてが理解できる。
「……っ!?」
「魔生成……!? その魔法……!」
タミィが、初めて声を荒げた。
「文献でしか存在が確認されていない魔法です……
千年に一度、強い欲望と願いを持つ者にのみ現れると……」
「そんなにヤバいのか」
「はい。私も五百年生きてきましたが、実物を見るのは初めてです」
「五百年!? そっちの方が衝撃なんだけど」
「あれ? 言ってませんでした? 私、エルフですよ」
「エルフ!?」
――完全にファンタジー世界じゃねえか。
北東の平野。
人の気配はなく、魔物だけが徘徊する場所。
三日間。
俺はここで、ひたすら魔生成魔法の訓練をしていた。
「……だいぶ慣れてきたな」
指先に魔力を集める。
形も、出力も、思い通りだ。
「制御精度も、初日とは比べ物になりません」
「よし。じゃあ――試し撃ちだ」
視線の先には、細身で動きの鈍いモンスター。
「レベリングの素材にしてやる」
魔力を圧縮し、火属性へ変換。
「火炎弾・六連射!」
放たれた火球が――曲がった。
すべてが同時に、俺へ向かって旋回する。
「ちょっ――!?」
「回避してください!!」
遅い。
炎が視界を埋め尽くす。
――死ぬ。
反射的に身体強化魔法を発動し、地面を蹴った。
爆風が背中を掠め、視界が白く弾ける。
「な、なんだよ今の……!」
「魔生成魔法は、使用者を基準に魔力を追尾します」
「最初に言ってくれ!!」
「ちなみにそのモンスター、Aランクです」
「後出し情報が多すぎる!!」
心臓が、まだ早鐘を打っている。
だが――
「……でも」
俺は立ち上がり、再び魔力を練った。
「制御できれば、問題ないんだろ?」
タミィが、わずかに目を見開く。
「……はい」
追尾条件を書き換える。
火球は今度こそ――敵だけを正確に捉えた。
いつしか五属性魔法と身体強化魔法を習得していた。
準備は整った。
「まずは――治安維持から始めようか」
「はい」
魔法と金の格差を壊すための改革。
その第一フェーズが、今始まる。
はいどうも!Maronです!
そろそろ気づいている人も多いかもしれませんが、タミィはヒロインでしょうか。この答えはまだ出しません。いずれわかります。
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わからないことがある場合、コメントに気軽にお書きください!
ということで!Maronでした。




