2話 魔法は金で買うものらしい
王国ユールリアは、俺が変える。
――そう決めた。
だが、この国で何かを変えるには、まず“力”が必要だ。
王国ユールリアは、俺が変える。
――そう大口を叩いた、その直後だった。
「殿下。まずは魔法をお持ちでなければ、何も始まりません」
タミィの一言が、現実を突きつける。
そうだ。
この国では、金を持つ者だけが魔法を使える。
魔法を持たない王子は、ただの看板だ。
「……どうすれば手に入る?」
「北東のレイコム平原にございます《魔法の塔》にて。一人につき一属性、授けられます」
「授けられるって、試練とかあるのか?」
「ございません。代金をお支払いすれば」
少し安心しかけた、その瞬間。
「五百万ユルスでございます」
「……は?」
五百万。
頭の中で桁が迷子になる。
「平民が最も稼げる職に就き、二生分働いてようやく届くかどうか。そこから税も引かれますので、実質不可能です」
だから平民は魔法を持てない。
だから支配される。
「ちなみに、私は五年働いて購入しました」
「五年……?」
「命を差し出す契約に近いものですが」
軽く言うな。
俺は拳を握る。
金が力。
金が人権。
金が命。
この国は、腐っている。
だが――俺は王子だ。
「ランソワ家の財産は?」
「年収で百五十万ユルスほど。蓄えはございますが、安くはありません」
王族でも重い額。
魔法は、特権なのだ。
その時だった。
城の外から悲鳴が上がる。
「平民どもを片付けろ!」
怒号。
そして――
轟音。
窓ガラスが震えた。
「ゴォォォォォォ!!」
中庭に降り立ったのは、獅子と蛇が融合したような異形。
Aランク魔物。
兵士が吹き飛ばされる。
血が舞う。
足がすくんだ。
これが、この世界の現実。
理不尽は、すぐそこにある。
「下がってください、殿下」
「……倒せるのか」
「可能です。ただし、消耗します」
消耗。
その言葉に、さっきの“五百万”が重なる。
魔法は金。
魔法は命。
獅子蛇が跳躍する。
地面が砕ける。
俺は――逃げなかった。
「タミィ、やれ」
初めての命令だった。
王子としての、最初の一歩。
タミィが頷く。
「――風殺」
空気が裂ける。
次の瞬間、獅子蛇の首が消えた。
遅れて、血が地面を濡らす。
終わった。
だが。
タミィが膝をつく。
「おい!」
支えた体は、異様に冷たい。
「強い魔法ほど、命力を消費しますので……」
笑うな。
こんな力を、金で独占しているのか。
五百万ユルス。
それは、魔法の値段。
そして、命の値段。
俺は決めた。
「行くぞ。魔法の塔へ」
「殿下?」
「改革するなら、まず力を持つ」
金で縛るなら、
金で奪い取る。
レイコム平原。
《魔法の塔》。
俺の革命は、そこから始まる。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
Maronです。
ちょっと今回は会話と平和回だったかな?と思っています。
次回、ディナールは魔法をついに獲得します。果たして魔法の能力とは!お楽しみに!
そして、ブックマーク、コメントが私のモチベーションに繋がります!是非お願いいたします!
何か気になることがある時は、コメントをしていただけると、直接または次回のストーリーに組み込んでいきますので、気軽にコメントお願いいたします。
という事で!Maronでしたまた次回!




