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灰燼年代記  作者: kira
プロローグ
4/11

国境の村

国境の村



レオンとリュカは、いつも一緒にいた。

特別な理由があったわけではない。朝になれば同じ道を歩き、昼には同じ井戸で水を汲み、夕方には家畜を追って村外れまで行く。それが、この村では当たり前の光景だった。


朝になると、村は同時に動き出した。

鶏の鳴き声を合図に戸が開き、水桶が運ばれ、誰かが誰かに声をかける。名を呼ぶ必要はなかった。顔を見れば、それで十分だった。


レオンの家は鍛冶屋ではないが、父は金属を扱う仕事をしていた。

炉の前に立つ背中は大きく、寡黙だが、夕食の席では必ず家族全員の顔を見てから食事を始める人だった。母はよく笑い、忙しなく動き回り、パンを焼く香りが家から消えることはなかった。


リュカは、よくその家にいた。

理由を問う者はいない。母は何も言わず皿を一枚増やし、父は黙って椅子を引くだけだった。村では、そういう受け入れ方が普通だった。


レオンは父の仕事場に顔を出し、余った金具を拾って籠に入れる。

父は短くうなずき、それだけで用事は済んだ。戻る途中、パン屋の前を通ると、焼き上がった匂いが通りに溢れている。リュカは決まってそこで足を止め、店主に笑われながら端切れを一つもらった。


畑仕事の合間、二人は石垣に腰を下ろして風を受けた。

リュカはよく話し、レオンは聞いた。昨日見た鳥のこと、子羊が生まれたこと、来年は畑の端に豆を植えたいという話。将来と呼ぶには、あまりにも近い未来のことばかりだった。


昼前になると、村の中央に人が集まる。

水を飲み、腰を下ろし、誰かが冗談を言う。内容はいつも同じで、誰かの失敗談か、天気の話だ。それでも、笑い声が途切れることはなかった。


昼食は各々の家でとるが、扉は閉めない。

足りなければ分け合い、余れば置いておく。リュカはよくレオンの家で食事をし、母の焼いたパンに文句を言い、結局おかわりをした。


手が触れることは多かった。

だが、それに名前はなかった。握るでもなく、避けるでもない。ただ、そこにある温度を疑わなかった。それでもリュカは、ときどき、夕焼けの色が昨日と違う理由を考えてしまうことがあった。理由は見つからなかったし、見つけたいとも思わなかった。そして次の瞬間には、もう忘れていた。


夕方、家畜を囲いに戻す頃には、村全体がゆっくりと色を変える。

子どもたちは走り回り、大人はそれを叱りながら笑った。誰も急いでいなかったし、急ぐ理由もなかった。


夜になると、村の広場には年長者たちが集まった。

火が起こされ、酒が回り、決まって昔話が始まる。話に教訓はなく、結末もない。昔も今と同じように畑を耕し、子を育て、夜になれば眠っていた――それだけの話だった。


夕暮れが村を包み、炊事の煙が立ち上る。

笑い声が混ざり合い、今日が終わることを、誰も恐れていない。


レオンとリュカは、その平和の中にいた。

それがいつまで続くのかを、

まだ、考える必要すらなかった。


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