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EDEN〜FirstWorld〜  作者: バトウスキー
1週目
6/8

第4話 算数

あれから4ヶ月が経った。俺がこの世界に誕生してから、6ヶ月が経ったことになる。現地の暦であと2ヶ月も経てば俺は1才になることとなる。

どうやら、俺は冬に産まれたらしく後1月程で年が明けるようだ。

だからか最近両親は村人と共に年明けの準備に追われている。

どうしてそんな事が分かるかって?それは、『ヴァンへルミア大陸共通語』のレベルがついに3に到達したからだ。

『ヴァンへルミア大陸共通語Lv3』では日常会話程度の会話なら聞き取れるようだった。

なので、大陸共通語が理解できるようになってきた事を利用して、最近は両親ともコミュニケーションを取るようになって来た。

まだ口の筋肉も未発達なので超舌っ足らずだが、それが可愛いらしく両親も大喜びで相手してくれる。

初めて「ママ」といった時は鼻血が出そうになるくらいよろこんでいたのを覚えている。

この両親とのやり取りのお陰で、この地方の習慣も何となくだが理解出来るようになってきた。

しかし、この上のレベルを、目指すとなるとこの環境では暫く無理と言うのが俺とアイシャの見解だ。

まず、レベル3以降では専門的な知識が必要となって来るようなのだ。

今回の『ヴァンへルミア大陸共通語』では、まず文字を、覚える必要が出て来るし、他にも今の俺の様に平民が使うような庶民的な用法だけでなく、上流階級が使うような所謂「正しい」言葉も必要となるだろう。

なので、家に全く文字が無いようなこの環境ではこれ以上のレベルアップは無理と判断した。

因みにアイシャの偵察のお陰で分かったのだが、この村で文字をかけるのは村長とその家族、あと村に一軒しかない雑貨屋、宿屋の家族だけのようだ。

まあ、中世の農村なんてそんなもんだろう。


なので、1月前からまた暇になってしまい最近は別のレベル上げに取り組んでいる。

最初から所持している『魔力感知』『魔力操作』?未だ欠片も変化ねえよ!

では何のスキルが手に入ったか。それは、『算術』と『暗算』だ。

今から1ヶ月前、遂に大陸共通語がレベル3に上がり、これ以上現状ではレベル上げが難しいと理解した俺はモチベーションがとてつもなく低下していた。

それも当然だろう。また暇になったのだから。

しかも、アイシャの偵察で分かることも最近では頭打ちになっていて本当にする事が無かったのだ。

そんな時、いつもの様に両親に泣きついて畑に来ていた俺は、畑に知らない老人が訪れているのに気がついた。

後から知ったのだがそれは村長だった様だ。

村長の要件は今年の収穫に対する税に関する物だったようで、両親に対して税率と量を伝えに来たのだ。

その時なんとはなしにその計算を頭でしていた時、あの声


『『算術Lv0』『暗算Lv0』を獲得しました』


という声が聞こえてきたのだ。


この声は正に救いの声だった。

この日から俺は頭の中で計算をしまくった。

どうやら『算術』は正しい計算をした時だけ経験値が入るようで、難しい計算を暗算で計算するには多少難が合った。

しかし、そこでも役に立ってくれてのはアイシャだった。

基本的にアイシャはプレイヤー付属のサポートAIだ。

この世界に住んでいるNPCも擬似人格を植え付けられたAIだが人間に近づけるために態と間違ったり失敗したりするようにアルゴリズムを設定されている。

だが、アイシャはサポートのためその機能がない。

故に、俺が計算した答えが合っているかどうか、その場で答え合わせが出来るのだ。

なので、日がな一日俺とアイシャは計算問題を、出し合って算術トレーニングをし続けた。

その結果、『算術Lv1』は『算術Lv7』へ『暗算Lv1』は『暗算Lv4』へと進化した。しかも、まだレベルは上がり続けている。

これは何故なのかと思いアイシャに聞いて見たのだが曰く


「算術というのは詰まる所算数です。現代人でもあるマスターなら算数位は楽勝のはずです。算術で求められる知識レベルは既に持っていらっしゃるのでガンガンレベルが上がるのでしょう」


つまり、理論上『算術』は最大レベルの10までノンストップで上がると言うことになる。また、スキルの効果でより早く計算出来る様になっているので直ぐにカンストまで行くだろう。

俺は初のカンストスキルにわくわくするのと同時に、また暇になるのかという憂鬱さが混じった複雑な感情で悶々とした気持ちで日々を過ごすこととなった。

しかし、その気持ちはいい方向に裏切られることとなった。


それから10日後遂に『算術がLv10到達しました』という念願の言葉が聞こえてkた。しかし、その言葉は予想した通りそこで終わった……訳ではなかった。その後ろに


『算術がLv10到達に伴い新たに『数学Lv0』を獲得しました』


という声が続いていたのだ。

数学かぁ……成程、算数の次は数学になるのは当然だよな。

だけど、簡単な数学ならば今の状態での俺にも『暗算』スキルを利用すれば、スキル上げ出来るな。


だからなのか、俺は新たなスキル獲得に浮かれていた。

それから、また更に10日程経ち季節は冬が本格的に始まり、村は新年際に向け忙しさを増していた。

俺は、今まで通り両親にくっついて村中を観察しながらスキルのレベル上げに勤しんでいた。

だが、俺は季節を考えるべきだったのだ。

変化は突然だった。


「っごほ」


それ一つの咳だった。

その時は風邪かなあ、と何でもないかのように考えていた。

しかし、翌日事態は急変した。


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