世界の主(ワールド・プリマリー)の子供達・Ⅴ
「じゃあ、明日にでも行ってくるか。とりあえず、オレの出せ」
手を出して、催促するサルサディアにローゼンクロイツは懐から石を取りだし「ほら」と言って、サルサディアの掌に石を置く。
石は「哲学者の石」と呼ばれている──別名を、「賢者の石」──錬金術師にしか生成できない蒼い石だ。
正確には錬金術師の中でも限られた者しか生成できない。
不可能を可能にすることができると噂される「賢者の石」。不老不死になれるというソロモンは「賢者の石 」から出来ている。だから、そんな噂が存在するのだろう。
「確かに……オレの方だな」
ソロモンを自分と同じ目線に持ってきて、サルサディアは呟く。
石の真ん中には星の模様が刻まれていた。
六芒星──〝ソロモンの印章〟と錬金術師の間で言われている星形の模様。
「────サルサディア・フィリアーラの呼び声に応えよ」
双眸を細め、ソロモンに口付けをしながら、サルサディアは言葉を紡いでいく。
「破壊の再生から再生の破壊へと形を成せ……ソラス」
言葉と共に石は──蒼い髪と瞳の女性へと変化する。女性はサルサディアの額に軽く唇を触れてから微笑み、再び石に戻ったが、石からソロモンの印章は消えていた。
「あと、どれくらいだ?」
「えーと……19個だと思った」
「……〝二百年〟で50個か?」
本気で言ってるのか? と言外に含んだ言い方をするローゼンクロイツにサルサディアはムッとなる。