破壊者(アナレティック)・Ⅶ
「あの事件の直後は能力が暴走しかけてヤバかったんだから。体力すら戻ってない状態で一気に集められるわけないし。それに世界を見てこいっていうのがレオの遺言だったし」
レオは西方の最果ての地のかつての主──。
五千歳まで生きた錬金術師で〝ソロモン〟の造り主でもある。
いくらソロモンが「哲学者の石」で造られた 人工生命でも、造り主が死ねば消滅する。けれど、ソロモンは造り主が死んでいるにもかかわらず、存在している。──〝世界の主〟が己の能力をソロモンに与えたのだ。だから、ソロモンは造り主である、アウレオス・フォン・ガディルアノ……後のパラケルススの死後も存在していられるのだ。
「……じゃあ、俺は戻る」
そう言うなり、ローゼンクロイツは術でその場から消える。相変わらずね、と溜め息混じりにアーヴィガイヌが呟く。そして、おもむろに、レヴィの方を見た。
「……完全ではない状態では殺さないだろう、タブラ・スマラグディーナ?」
「わざわざ、〝その呼び方〟しないでくれる? ──アルフォンス・ルイ・コンスタン」
そう呼ばれるのは久しぶりだ、とクスリと笑みをこぼし、〝彼〟は「質問の答えは?」と問う。
「──「破壊者」、なにが言いたいの」
レヴィの〝内〟に存在する者にアーヴィガイヌは言う。
「マサク・マヴディルを消滅させるつもりかと」
「完全な状態でクロウリーを殺すと、あの土地は耐えられないって、わかるでしょ。ディーリアだって、許してくれるわ」
次元の異なる場所にあるマサク・マヴディル。




