破壊者(アナレティック)・Ⅵ
「……世界の主よ。必ず俺は全てを手に入れる。そのために嘘の噂を流し、魔力のない人間を操っているんだ」
すべては彼が仕組んだこと。
ソロモンに関する噂を流したのも彼。
「次の「太陽と月のない時期」が扉を再び開く日。傷は癒えた。──ソロモンの封印を解いて、扉を開いてもらうぞ」
それにしても、と彼は言葉を続ける。
「ソロモンを造ったお前が憎いよ……パラケルスス」
ソロモンを造った錬金術師の名前をクロウリーは忌々しそうに呟いた。
レヴィの屋敷の前で口喧嘩をしていたアーヴィガイヌとローゼンクロイツは、レヴィから「うるさいから、戻れ」と言われ、今はレヴィの屋敷に戻っていた。ちなみに意識はすでにレヴィに戻っている。
「ところで、ふたりはこれからどこに?」
口喧嘩の理由はあえて聞かず、レヴィは言う。彼の言うふたりはアーヴィガイヌとサルサディアのことだ。
「デヴァナガライに行くわ。あそこにソロモンの気配がするし。でもねえ……時間があまりないでしょ」
「ああ……もうすぐ「太陽と月のない時期」だからな」
「そうなのよね。その時までにクロウリーを殺さなきゃいけないわけでしょ」
さらりと残酷なことを言うが、クロウリーもレヴィも注意はしない。
「あいつを殺すために能力、解放しろって言われてるんだろ?」
「まあね。本当はもっと、世界を見てまわりたかったけど、時間がないから、一気に集めることにするわ」
「最初からそうしろよ」
ローゼンクロイツの言葉に「だって」とアーヴィガイヌは言った。




