第三十一話 魂とは
「因みに、高次元の世界に行けば行くほど、"個人"の概念が薄くなり、最後には、大宇宙のアカシックレコードと、一体化するらしいよ……。」
雪村は最後に、そう付け加えた。
「アカシックレコード……宇宙の記憶の図書館、でしたっけ?」
ソラユキが確認する。
「色々な解釈が有るけど、概ねそんな感じのものだね。」
雪村が答える。
「ますます、魂が何なのか、解らなくなっちゃったなあ。」
投げ出すように、そんな事を言う成雪。
「通常、そんな高次元の世界の者たちは、低次元……つまり、僕たちの三次元の世界になんか、関心を持たないらしいんだけど……。」
雪村がまた話し出した。
「ごく稀に、三次元世界に興味を持ち、ちょっかいを出す、四次元人が居るらしいんだよ。」
「へええ。」と成雪。
「つまり物理的な肉体でしか、得られない体験が、どうしても忘れられない連中が、ある一定数居るのさ。彼らに言わせれば、精神世界は、刺激が足りなくて、つまらないらしい。それに、こっちに来れば、神や悪魔のような所業も、やりたい放題だしね。」
「……三次元世界に存在する、多くの神や悪魔がの正体が、高次元の世界からの介入者って事ですか?」
ソラユキが、核心を突いた質問をする。
「まあ、所説有るけどね?」雪村はそう言って、少しはぐらかした。
「少なくとも、僕の中に居る太陽神のアモン・ラーや、成雪くんの中に居るセト神は、そうだろうね。」
「私にも、魂は宿るのでしょうか?」
アンドロイドのソラユキが尋ねる。
「"精神活動は電気的な信号"に過ぎないという、研究発表もされているからね。いつかキミのようなAIに、魂が宿る可能性も、ゼロでは無いかもね。」
雪村はそんな風に答えた。
ソレを聞いたソラユキは、何だか満足気に見えた。
「願わくば、その時……つまりキミが、自立した魂を持った時に、"地球環境の改善のためには人類を粛清するしかない!"なあんて結論に、至らないで欲しいものだよ。」
雪村は最後にそう言うと、意味あり気に薄っすらと笑い、口を閉じた。
カウンターの向こうで、聞き耳を立てていた、鷹志と由理子は、ソレを聞いて、何となく背筋が寒くなったのだった。
そして、そうならなくても済むように、あらゆる世界線の者たちが、自分に注目している事など、知る由も無い由理子なのである。
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……以上でこの話は幕とします。
※ この続きは「彼女は斜め上の高嶺の花」
(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編②)でどうぞ。




