第一話 カグヤのオトシマエ
さあ、舌の根も乾かぬ内に、第二部のスタートです。
今回は一日1000文字を目安に、ゆっくり投稿するつもりですが……途中で気が変わるかも(^_^;)
どうぞ、お付き合い下さいませ!
地下世界アガルタの、城内中央の中庭で、爬虫類族の生き残りの、ウアジェト女王は待って居た。予知能力というには、ささやかなモノだが、彼女にも、ある程度の先を読む、勘のようなモノが、備わっていたからだ。
ただ、そうでなくても、この戦闘民族特有の殺気のようなものは、遠くの方からでも感じざるを得なかった。
思っていた通り、予め開け放しておいた、正面の門から堂々と、その娘――見ようによっては、未だに少女にすら見える――は、城の奥の中庭へと、迷う事も無く入って来た。
彼女は、そこで待ち受ける、女王の視線を真っ直ぐに受け止め、剣を振り回せば当たる、"一足一刀の間合い"の距離まで詰めたところで、ようやく立ち止まった。
彼女の着ている衣服は、例えるなら、まるで天女のように、透明感がある、スカイブルーの生地でできており、そのデザインも、不定形な風を型取ったような、不思議なモノであった。
更に付け加えるならば、そんな優雅な衣装に似合わない、無骨なオリハルコンの剣を、まるで歴戦をくぐり抜けて来た戦士のように――いや、実際にそうなのだが――背中に背負って居るのである。
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
鬼気迫る表情とは裏腹に、努めて朗らかな声で、その娘は、女王に挨拶をした。
「やっぱり、来たんだね?」
ウアジェト女王が、返事をする。
「覚悟は、出来ているのかしら?」
彼女はそう言いながら、背中の剣をスラリと抜いて、下段に構えた。
その娘の名は、カグヤ・イシュタル。
先の闘いで父を失った、惑星ニビル出身の鳥族、そして未来のアヌンナキだ。
「……あの時、亜空間レストランでの会合で、確かに私は、貴女を笑顔で送り出したわ。でも父の無念を思うと、日に日に怒りが湧いて来るようになったのよ。」
カグヤは、そんなセリフを女王に向かって投げ掛けた。
「……そうだろうね。私もそれを当然だと思うよ。」
女王はそんな返事をする。
「私の父の命を直接奪った者は、確かにベルゼブブだったけど、そのベルゼブブの封印を解いて、きっかけを作ったのは貴女。やはり私としては、その事実を捨て置く事は出来ないわ。」
「うん。私の罪は否めないな……で、どうするつもりなのだ、キミは?」
「貴女には、今すぐここで、私と真剣勝負をしていただきます……それで、どちらが勝っても、恨みっこ無しという事でいかがですか?」
「私は構わないが……キミのパートナーの成雪くんは、どうなんだ?万が一の事が有れば、恨みの連鎖が続くぞ。」
「成雪には、ちゃんと言い含めて留守番させています。戦闘民族の生き様がどういうモノなのか……理解させて来たつもりです。」
「……そうか。ならいい。受けて立とう。」
女王はそう言うと、自らも腰の剣を抜いて、正眼に構えたのである。




