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残念世界の残念勇者   作者: XT
89/96

ループワールド・勇者ケイン編 89

3日遅れだが、クリスマスイブだ。

「ケーキを焼くぞ。ケインはイチゴとチョコ、どちらが好きかだぞ」

イチゴだ!たっぷりのイチゴと生クリームのハーモニーは絶妙だ。

「どちらも好きよ。沢山作りなさい。頂くわ」

いつもだがウリエルも食う気、満々だ。


「私も焼くよ!味噌田楽ケーキだよ」

「はい。私も焼きます。超激辛ケーキです。砂糖は使いません」

「私も焼きますわ。クィーンのケーキで国民を虜にしますわ」

それぞれが燃えていた。


「今年もいい子にしていたぞ。プレゼントが楽しみだぞ」

「私もいい子だったよ」

「私もですわ。今年は世界を救いましたわ。どんなプレゼントがいただけるか楽しみですわ」

お楽しみ中だが、サンタはお父さんだ。プレゼントは、寝てる間にお父さんが枕元に置いてくれる。

「何を言い出すぞ!サンタさんはいるぞ」

「はい。居ます。夢の無いことを言わないでください」

まじか?マジで信用しているのか?

「ケダモノが喋る世界だぞ。サンタさんぐらいいるぞ」

昨年のクリスマスは、ディーバに監禁されていて、日本に居た。

カモミールでのクリスマスは初めてだ。


「既に天界のサンタ係には、2日遅れでクリスマスを了承していただいています」

「母の一言で、27日クリスマスイブが承認されました」

サンタ係ってなんだ?

まぁ、2人の女神が言うなら、サンタさんはいる・・と言う事だ。

俺はいい子過ぎる。俺にもプレゼントが来そうだ。


「クリスマスは性夜だぞ」

字が違う。聖夜だ。

「カモミールでは性夜で良いのですわ。今日受胎した子は、イエスと名乗ることを法律で許していますわ」

唯一神の女神の前で、いいのか?よその神、連れてきて?天罰が当たるぞ。


「街に出てみるぞ。イルミネーションで賑やかだぞ」

たった2日だが、カモミールの住人は、イベント大好きだ。

力の入ったイルミネーションに成っているに違いない。


「なんだこれは?」

「クリスマス用のイルミネーションだぞ。性夜だから、どこでもやれるように、全店舗ラブホ仕様に成っているぞ」

この世界は子供が足りない。男の絶対数が少なすぎるからだ。

最近では、魔獣たちと結ばれることで、大分改善方向にはあるが・・。

「ケイン、もうそんな設定、みんな忘れてるぞ。今は楽しむぞ。何処に入るかだぞ?」

嫁は、3つの呪いの話より、どこでHするかを気にしていた。


「ケインさん、世の中には、事前に性的行為の相性を確かめ合う習わしがあります」

相性が良くない場合は婚約破棄?

「破棄しません!相性が良くなるまでやり続けます。女神は簡単に諦めたりしません」

やる気十分だ。


「パパ!そこのお店が綺麗だよ。私の初めてだから、大事に扱ってね」

どさくさに紛れて娘迄もその気だ。

「私とも、お願いしますわ」

姑迄その気だ。


「ケイン、最終回も近いから、私ともお願いよ。セイレーンと遣って、私の相手は無しなのは無いわ」

セレスまでか・・・。まさに性夜だ。


「ケインは私とだぞ。終わったら貸すから待ってるぞ」

おい、貸すって?

「いいから来るぞ。ここに入るぞ」

アリスは俺の手を引き、強引に店舗に入る。


「待っていたでござるよ」

「見つからないか、ドキドキでしたよ」

トーレフとマリー?

「私の極秘プロジェクトだぞ」

俺の後ろ側の明かりが灯る。!!!俺が沢山いる!


「国産ロボプロジェクトでござる」

国産?だと?

「九重の言うように、ケインは狙われているぞ。私たちもだぞ。身代わりロボを開発したぞ」


「見た目だけでなく、より人に近い形で作ったでござる。戦力は弱いので、やられ役でござる」

「切れば血も出ますよ。見た目と質感には自信ありですよ」

やられ役って、役に立つのか?

「立つぞ。私たちを倒せば油断もするぞ。目的を果たして帰っても行くぞ。油断してるから後ろから攻撃し放題だぞ」

うぁ‥えげつない。


「早速実験だぞ。外で待つ4人で試すぞ。1号から4号を起動だぞ。表に解き放つぞ」

待て待て、さすがに4人同時に出て行ったらバレる。

「大丈夫だぞ。頭の中はケインと一発しかないぞ。目の前のケイン以外は目に入らないぞ」

それはないだろう。


「アリス殿トラブルでござる。アイリス殿が2体確保しようとして、セレス殿と揉めているでござる」

マジかぁ!!!

「ティナ様とアリッサちゃんは、それぞれ連れて行ったですよ」

「仕方ないぞ。5号機も起動だぞ。セレスの分だぞ」

何故不思議に思わない?


「ちょっと待て!アリッサにも当てがったんだよな?」

「大丈夫でござるよ。ケインロボにはH機能はついていないでござる」

そうか・・・ならいいか?なんか釈然としない。


「さぁケイン、私たちは時間を有効に使うぞ」

奥さんとラブタイムだ。



「婿殿・・・おばさんではダメですわ。若くなる秘薬を見つける旅に出ますわ」

まだ気が付いてないのか?

「パパ、2歳児だとダメなんだね。早く大人になる秘薬を探す旅に出るよ」

大人の階段は、大人になる迄、待とうな。

「妻失格です。私にはケインさんを奮い立たせる魅力がありません。お花畑の向こうに旅立ちます」

4年と8か月後な。

「この役立たず」

セレスは殺す。


「性交は失敗でござるが、作戦は成功でござる」

良くバレないもんだな。

「これもプランの一つだぞ。必ず役に立つぞ」

俺達は、4人の屍を引き連れて王宮に戻った。


「クルシミマスですわ」

「生きる希望がありません」

「絶望だよ」

「Hまでマイナスレベルだわ」

そろそろ教えてやれ。王宮に戻った4人だが、らしさが戻らない。


「それ本当ですの?」

「マジ?パパじゃないなら、初めてをあげなくてよかったよ」

「はい。そうだと思いました。私で奮い立たない男性はいません」

「偽者なの?機械の相手なんか、しなくてよかったわ」

アリスの説明に納得した4人は、元気が戻った。

って言うか、セレスも機械だろう。



夜に成る。

「ケイン見るぞ」

王宮の窓から夜の王都を見る。

大勢のサンタが、トナカイのソリに引かれ、夜空を舞って居た。

「3日遅れなので人数が余っているから、大勢で来ていただきました」

ソリに付いている小さな電球が、夜空を舞うイルミネーションのように美しく幻想的な光景だった。


「ケイン、玄関に行くぞ」

???サンタさんって玄関で待つのか?

「はい。以前は煙突からでしたが、法的にヤバイですし、まして子供の部屋まで侵入と言うのは、トラブルの原因になりかねないので、玄関で受け取り、サインをする事になりました」

それ、宅配便だ。


「メリークリスマス!3日遅れ」

そこまで言わないくて良い。

「良い子にプレゼントだ!勇者ケイン!さいころキャラメル」

さいこ・・・キャラメルだと?

「これで運が良く成る練習を」

お、おう。まぁ悪くは無いが・・。


「アリスには、さいころキャラメルだ!ケインとお揃いだよ」

「お揃いは嬉しいぞ。でもこれだけかだぞ?」

「アリッサちゃんには、さいころキャラメルだ!両親とお揃いだよ」

「パパ、ママ!お揃いだよ。でもなんか物足りないよ」

「アイリスさんにはサイコロキャラメルの外側だけだ」

「何で私のは中身が無いのですわ!?」

貰いものだが、俺たちはいい子だった。世界をループワルドから救い出した功績がある。


「良い分と、姑息な悪い分を差し引いたら、なくなってしまった~ふぉふぉふぉふぉふぉ~」

そうか・・ループワールドは、誰も気が付かない災厄だ。俺たちの活躍は、評価されていない。

「努力が認めてもらえないって悲しいぞ」

中身のキャラメルでも舐めて諦めよう。



「時間が無いから、このままクリスマスイベントに突入だぞ。今度は性夜とは違うぞ。本当の聖夜だぞ」

「はい。聖夜は女神に、感謝をしていただく日です」

カモミールのクリスマスは、女神に感謝を表す日なのだ。


「ティナ!私の感謝の気持ちだよ。受け取って」

アリッサはティナに、花をあしらった、手作りの首飾りを捧げた。


「私からですわ。婿殿の内緒の写真ですわ」

俺の人には見せられない写真が贈られた。


「私からだぞ。ケインとの結婚許可書だぞ。プリンセスのサイン入りだぞ」

嫁から結婚の許可が出た。

「皆さんの信仰心の深さに感謝いたします」

と、言う具合に、こんな日だ。



「良いのか?女神よ。こんなところで油を売っていて」

ハウル?

「カモミールの女神落ちた」

ターナ?

2人はドヤ顔で現れた。


「ああああ!!!」

2人の言葉に、ピンときたティナは、スマホの画面を見て悲鳴を上げた。

「カモミールの営業成績が、アトランに抜かれました!あり得ません!10倍以上の差があったはずです」

営業成績、これは女神神殿の売り上げの事だ。


「妻のアトランでの活動は、女神の上を行く。まさに!ザ・女神なのだ!」

「カモミールチョロイ」

なるほど、ターナ達のどや顔は、営業成績だったのか。


「ケインさん、すみません。ちょっと神殿で営業活動してきます。奇跡を見せて来ます」

ティナは慌てて消えた。

「妻よ。我らも深夜の公演に戻ろう」

公演?

「女神対決の時のキャー。あれやると御捻り飛ぶ」

あれか?服を破いてキャーと言う、あれなのか?

「お前ら神殿で、なにやらかしてるぞ?」

「妻のキャーで、信仰心はアップ。営業成績はうなぎ登りだ」

邪教扱いされない程度に頑張れな。


「ケイン、時間が無いぞ。次だぞ。魔界の祭りに参加するぞ」

そうだ。もう日が変わって、今日は29日だ。

30日には、正月の飾りつけをしないと、一夜飾りに成ってしまう。

「手の空いてる奴だけで良いぞ。閻魔祭に参加だぞ」

俺達は閻魔域に急いだ。



閻魔域を一望できる閻魔城の天守閣に来た。

時間的には深夜だが、閻魔祭は盛大に執り行われていた。


「よく来たにゃ。ゆうちゃよ」

既に祭りは2日目に突入していた。丸1日飲んだくれて、呂律は回っていないし、目が上の空の閻魔だ。


閻魔域を上げての閻魔祭は、閻魔城を中心とした城下で行われていた。

城の前の広場は、魔族たちが飲めや歌えの大騒ぎをしている。

「私たちも飲むぞ」

アリス達は、城下に出ると、誰構うことなく隣の奴と杯を交わす。

魔族の姿は、俺達から見ると異形だ。だが、そんなことを気にする連中ではない。

カモミールの連中のコミュ力は高い。


俺にはそんなコミュ力はない。

閻魔城の天守閣に残り、閻魔と酒を交わす。



「いいかぁ~よくきけぇ~俺の娘は最高ら~」

既に10時間ほど閻魔っと飲んでいるが、壊れたレコードのように、同じ言葉を繰り返している。

「愛美は最高ら~出来た娘らぁ~」

呪文のように繰り返す。


手に持つ杯は、枯れることはない。

俺と閻魔の横に座る愛美さんが、空に成った盃に、つぎ足す。

「俺の・・むす・・・む・・」

遂に閻魔が落ちる。

いびきを掻き、だらしなくテーブルに顔を付け寝てしまった。


「父は、ケインさんがお気に入りなんですよ」

意外な言葉が愛美さんから出てきた。

「気に入っているのは、アリスの方だろ?」

「ツンデレなんですよ。ケインさんが初めて来たときも、前の日から楽しみで眠れなかったぐらいでした」

相当意外だ。

あの日の事は覚えている。邪険にされたと思って居たが、あれはツンデレのツンだったのか。


俺の空いた杯に酒を注ぎながら、愛美さんは続けた。

「怖い顔していますが、本当は優しくて、相手を思いやる人なんです」

優しい目で、眠る閻魔を見ている。

愛美さんは・・・・。


アリスから絶対内緒の条件付きで、聞いていた。

2人から同じ匂いがすると言っていた。愛美さんとティナは姉妹だ。それも双子だろうとアリスは言う。

そっくりの顔立ちと、アリスの言葉。そして、パクった湯飲みからの遺伝子検査。たぶん事実だ。


ヴィーナスは恋多き女神。娘たちの父親は全員違う。

ティナも父を知らないと言っていたが、愛美さんとティナが双子なら、ティナの父親は閻魔だ。


俺が閻魔と初めて会った日、閻魔は俺に『どこまで知っている』と尋ねて来た。

たぶん、このことだろう。


「こんな父ですが、ケインさん、父と姉をよろしくお願いします」

愛美さんは寝て居る閻魔に半纏を掛け・・・なに?姉だと?

「はい。父は知らないと思っていますが、私、知っているんです」

まじか?

「昔、父が口を滑らせて、姉がいる事を言いました」

だが、それだけでは・・・

「先日、ティナ様が来た時に、確信しました。この方が姉だと」

ティナをよこしちゃダメだろう。相変わらず情報管理が甘いのが女神だ。

「それに私、神の加護が使えます」

もろバレじゃないか!隠す気、あるのか?


「ケイン~こんなところに居たの?」

セレスが来た。既に酔っぱらっている。

機械族は高性能だ。酒を飲めば酔う。もちろんリセットで、瞬時に通常状態へと戻るが、酔った状態は人間と変わらない。行動も奇行に成る。


「セレス様も楽しんでいらっしゃいますね」

愛美さんが、席を勧め、俺の横に座ると、持っていた瓶をラッパ飲みしている。

行さの悪い奴だ。しかも俺にも飲めと勧めて来た。

「私の酒が飲めないと言うの!」

俺が拒むと、切れる。酒癖が悪い機械ってあるのか?


「飲みなさい!」

いきなり俺の口に、酒の瓶口を突っ込む。

俺は瓶の中の酒を飲み干した・・・って、なんだこれ?

「あら、このお酒は、度数が200%の魔族殺しですね」

目が回る。世界が波打つ。意識が・・・。



「やっと目が覚めたぞ」

頭が割れる様だ。

「神の加護、膝枕です」

ティナの膝枕の上で俺は寝ていた。

「ケインは丸2日寝ていたぞ。セレスの飲ませた酒のせいだぞ」

・・・・・記憶が・・・。そうだ、俺はセレスに無理やり飲まされて!

「はい。今は大みそかの夜です。新年に間に合ってよかったです」

愛美さんが200%の酒だと・・。

「200%ってあり得ないぞ。危なくアルコール中毒だぞ」

こんな二日酔いは初めてだ。


「人間って不便ね。リセットもできないなんて」

そのセレスが居た。

「セレスを虐めるは後だぞ。あの後、閻魔のスパイからの情報が入ったぞ。サタンの情報だぞ」

「はい。これから、ゆく年くる年イベントをクリアしながら、会議です」

わかった・・・。大分不調だが、会議を始めよう。


俺は、重い体を起こし会議に参加した。


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