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残念世界の残念勇者   作者: XT
67/96

ループワールド・勇者ケイン編 67

「ママ、お醤油取ってだぞ」

「アリス、余りかけすぎますと、成人病になりますわよ」

「マオさん、ヒマワリの種って美味しい?」

「最高だよね~これより美味しいものはないよね~」

食事中の他愛もない会話。だが、ピー経由で頭の中は、別の会話をしていた。


「まずは、ドワーフに説明だ。魔都へ行って来る。たぶん居るはずだ」

「でも、捜査員を着けられるぞ。下手な会話はできないぞ」

「パパ、上手くやらないとダメだよ」

「難しそうですわ」

「大丈夫だ。考えがある。任せろ」

「ケインなら~大丈夫だよね~だぶん~」

ピーは、みんなの頭の中で考えたことを読み取って伝える。大忙しだ。


「チーフは居るか?魔都の王に会いに行く約束がある。ゲートを使うがいいか?」

「聞いて来ます。お待ちください」

捜査員は、チーフに許可を求めに出ていく。

当然、捜査員は一人残っている。俺たちは厳重な監視下に置かれていた。


「魔都?大事な用事ですか?」

チーフが来た。

「ああ俺達は、動きが取れないからな。色々予定したことが出来なくなるので、調整しないと」

「分かりました。捜査員を着けます。ケインさんだけ許可します。ララ!付いていけ。ケインさん1時間以内でお願いします」

「連れて行ってくれるのか?」

天空のカギを持っている事は、知られていないようだから、とぼけてみよう。

「ララがゲートを開きます。ゲート反応が出ると警報が鳴りますが、気にしないでください。ゲート反応イチ!許可済みだ」

捜査員のララがゲートを開く。王宮内に警報が鳴り響く。

 『これは許可のあるゲート解放です。繰り返します。許可のあるゲート解放です』

アナウンスが流れた。下手に天空のカギも使えないと言う事だ。

「ではどうぞ。ご指定の座標に繋げました」

ララが開いたゲートをくぐる。ララも後に続いた。


「ケインさん」

アズサだ。ドワーフも居る。

「あら、ケイン。いらっしゃい」

言葉と同時に頭の中にテレパシーが来た。

 「ティナから聞いてる。貴方は考えればいいわ。私が読み取るから」

助かった。これで話が出来る。

「今後の予定についての話だ。俺たちは当分動けそうにない」

「分かっています。このアズサ、ご協力できることは、労を惜しみません」

予想通り、ティナと会っていたドワーフが、アズサに説明済みだ。

俺はアズサと会話しながら、ドワーフと意思疎通をしていた。


 「ケイン、預かるのは良いけど、長くは無理なのよ。南の神殿がある、始まりの地は、私たち守護者以外が長くは居られないようになってるの。

セキュリティーが働いて、5日以内に出ないと、例え女神でもクリスタルで固められてしまうわ。後4日以内に、ティナを他の場所に移さないと」


アズサとの会話に意味はない。ララが聞いても問題ない。

俺は、アズサとの話を終りにした。

「アズサ、今の話を持ち帰って、アリス達と相談してから、もう一度来るよ」

「分かりました。いいお返事をお待ちしています」

アズサも俺に合わせてくれた。

「ララ、一度戻る」

ララは頷くと、ゲートを開いた。


「只今。アズサとの話だが、相談して決めたいから、アリス、後で相談に乗ってくれ」

暗にもう一度行くことを、含ませた。

「なぁ、チーフ、名前はなんだぞ?名前で呼ぶ方がいいぞ」

「ヴぇ?いや、チーフで結構」

何で顔を赤らめる?

  「憧れのケインちゃまに名前で呼ばれたら、昇天してしまうではないか。このバカ嫁が!」

と、心の中で言うチーフであった。


「じゃチーフと呼ぶぞ。このティナ探査装置って、役に立つのかだぞ?」

各部屋と通路に複数あるな。

「これは、天界の科学力を結集した、最新の機器です。ティナの匂いに反応して警報が鳴る仕組みです」

ほ~それは凄いが、基本女神はメカ音痴だ。

「試してみていいかだぞ?ちゃんと作動するか見てみたいぞ」

試す?試せるのか?

「とっておきがあるぞ」

アリスは部屋を出て行った。


「ティナ探査装置のテストを行う。これはテストだ!」

チーフが王宮内にマイクで伝えた。

「プリンセスアリス、どうぞ。試してみてください。天界の科学の粋を」

アリスが黒い袋から取り出したのは、血の付いたパンツとブラだった。

って、お前それ、まだとってあったのか?

「前にパクった奴だぞ。あり得ない値が付いたぞ。忘れた頃に売りさばくつもりだったぞ」

 「ティナノニオイ!ティナハッケン!ティナハッケン!」

王宮内にデジタル音声でが鳴り響く。正常に作動しているようだ。

「どうです?凄いでしょう」

まぁ、そうだな。

「凄いぞ。これならティナが王宮に入ったら、直ぐにわかるぞ」

興味本位ではない。確かめたいことが有ったからの行動だ。


俺はピーに経由して貰い、ドワーフの言っていた事を、みんなに伝える。

ティナを4日以内に、移動させなくてはならない。

余り頼りたくはなかったが、言ってられなくなった。

「チーフ、今度は通信がしたいぞ。取引相手に、会う約束の断りの連絡を入れるぞ」

「分かりました。通話内容は確認させていただきます。連絡はケインさんにお願いします」

どうやら俺以外は、動くのも連絡もダメなようだが、あっさり許可が出る。

俺はノスフェラトゥに連絡した。


「やぁ、ケイン君。君から連絡が来るのは珍しいね」

助かった。ノスフェラトゥが出てくれた。

「天界の特捜が来てる。約束を見直しを伝えて欲しい」

側にいるチーフが、俺とノスフェラトゥ、双方の話を聞いていた。

「特捜?警察のかね?何があったんだね?」

「手短に」

チーフが制限を付けた。

「ティナが指名手配中だ。俺達も監視されている。部屋にマイクはつけられるし、天井にはカメラだ。生活するのにも困っている」

「君たちにも監視が?仲がいいと言うのも、考え物だね」

「全くだ。この連絡も許可を取ってる。それでだ、ゲートを使うと警報が鳴るので、そっちに行くことができない。先方の連絡先が分からないから、約束は延期にして欲しいと、伝えてもらいたい」

「それは困ったね。先方には、私から伝えておこう」

「済まない。よろしく頼む」

「分かったよ。早く解決する事を願っているよ」

通話は終わった。

ノスフェラトゥなら、今ので、俺の言いたいことは分かるはずだ。


ーーーノスフェラトゥ社長室ーーーー

「今のは坊主だな?」

「やっぱり、私たちが本気出したこと、怒っていたの?」

前回の戦いで、傭兵として戦ったことが、気になって仕方のないパルム達だ。

「いや、ティナが指名手配されたようだ。今情報を集めさせる」

ノスフェラトゥは、電話で情報収集の指示を出した。


「ノス、なんで坊主が、お前にそんなことを伝える?」

「おかしいわ。ティナでしょ?指名手配は?」

「これはケイン君から、君たちに頼みごとの連絡だよ」

「俺たちに?」

「何を頼まれたの?」

ノスフェラトゥは、録音した会話を再生して、パルムたちに聞かせた。


「延期の事か?」

「坊や、私たちとは戦いたくないのね」

パルム達は、まるで分っていなかった。

「はぁ・・・私が出てよかったよ。それではケイン君が可哀そうだ」

呆れたようにノスヘラトゥは言う。

「いいかね?恐らくティナは、ケイン君が匿っているはずだ。でなければ、こんな連絡は来ないよ。彼は無駄なことはしないからね」

「匿っているなら、後は何を手伝うんだ?」

「私たちで、脱出させればいいの?」

「違うよ。たぶんエクセレントだよ。連絡を取りたがっているんだ。先方の連絡先が分からない、と言うのは、エクセレントの事だと思うな。君たちなら連絡法を知っている。私たちとケイン君の共通の人物・・と考えれば簡単さ」

「なるほどな。確かに」

「と、なると、あの方法ね」

「必要なものは用意しよう。ケイン君を失望させないように、しっかり動かないとね」

ーーーーーーーーーーーーーーー

ケインの考えは、ノスフェラトゥに伝わっていた。



「なぁチーフ、さっきアルテミスから、パソコンの事を聞いたんだが、ティナのパソコンの解析はやってるのか?」

「必要ありません。パソコンから出た証拠で十分です」

「十分じゃないぞ。パソコンは遠隔操作されるぞ。他人に使われることもあるぞ」

「遠隔?パソコンがですか?聞いたことありません」

やはり女神はメカ音痴だ。

「技術者を呼んでくれ、聞きたいことが有る」

「捜査は天界で遣ります。下界の皆さんは関与しないように」

そうか、なら仕方ない。


「ケインの17号と28号のパンツが、行方不明だぞ」

番号付けてあるのか?

「特捜が来る日の朝はあったぞ」

「!?」

「俺たちの部屋は、チーフしか入らなかったよな?」

アリスは直ぐに気が付いていた。

俺の部屋から出てきたチーフが、ポケットにしまった、ティッシュとパンツの匂いに。

「これは警察に届けるべきですわね」

「パパ!パンツ誘拐事件だよ。防犯カメラが動いているはずだよ」

ああ、ゆゆしき事態だ。

「ケイン、防犯カメラも良いが、全員の身体検査をやったほうが良くないか?」

「私は持ってないわよ。ほら」

セレスが脱いだ。


「あ!技術者でしたか?すぐに連れてきます」

チーフは、慌てて天界へと戻る。

アリスのクソ微笑む顔。そろそろ反撃と行くか?

「まず、パソの解析だぞ。一応トーレフを呼ぶぞ」

女神の技術力だと不安だ。科学班に協力してもらおう。

ゲートが使えないので、衛兵をセイレーンのドック迄、走らせた。


「ケインさん、連れてきました。天界技術班のメモリです」

白衣姿の女神。

「こっちからも科学班を出すぞ。共同で解析に当って欲しいぞ」

「ダメです。捜査内容は基本極秘です」

チーフに止められるが無視。

「メモリさん、解析は出来ますか?」

「できますが、時間がかかります。天界のパソコンは、5000年ほど使います。膨大なデーターが入っているので、300年ぐらいかかります」

ダメだ。俺達なら1回は転生してる。やはりトーレフに頼む方がいい。

「チーフ、ちょっと話があるぞ。二人だけで話すぞ」

アリスがクソ微笑みながら、チーフと部屋を出た。


「ゲート反応!!・・・あれ?」

捜査員の一人が叫んだが、警報は成らなかった。

「一瞬反応が出たのですが、誤作動でしょうか?」

メモリが捜査員に近寄ると、ゲート反応感応装置を叩いた。

「機械の不具合は、概ね叩けば直ります。精密機器ほど、頻繁に誤作動するので、まめに叩いてください」

女神の技術力のほどが良く分かる。


「司法取引が済んだぞ。ケインのパンツ3枚で、こちらから捜査に3人派遣させられるぞ」

それを司法取引とは言うのか?って3人?

「トーレフとマリー、セレスだぞ。セレスは役に立つぞ」

奥さんの微笑は、悪だくみの証だ。

「ケインちゃまのご希望に添えるように、配慮しました。なので、この書類にサインをください」

チーフ、ちゃま付けで、デレているのだが、顔つきは変わらない。

また結婚届を出してきたが、サインはしない。


「俺たちはもう休むが、進展があったら教えてくれ」

ティナは見つからない。分かってはいるがポーズだけは取っておく。

「トーレフ達が来たら、セレスと一緒に、メモリのラボへ行くぞ。後は、ママたちに任せたぞ」

「分かりましたわ。ゆっくりお休みですわ」

「パパ!ママ!録画されてるからね。布団の中でやるんだよ」

「私は~レナとお茶してるからね~用が有ったら呼んでよね~」

俺とアリスは、俺に部屋へと行く。

さっきのゲート反応、たぶん俺の求めるものが届いた証拠だ。


俺に部屋だ。ベットの上に小さな包みがある。

中には指輪が入っていた。

俺は無言で指輪を指にはめる。

「ケインさん!」

思った通りだ。エクセレントの声が、頭の中で聞こえた。

ノスフェラトゥが、上手くやってくれたようだな。

「ティナは俺達が囲まっているから安心してくれ」

「やはりケインさんが・・ありがとうございます。こちらは監視の目が強く、動きが取れない状態です」

やはりそうか。

「ティナをそっちには、行かせられないか?」

「無理です。妹たちにも捜査員が付けられています」

「分かった。こっちで何とかしよう。この指輪はパルムに渡せるか?」

「渡せます。すぐ手配します」

意思疎通の出来るアイテム。アイテムコレクターなら持っていると思ったかが、さすがはノスフェラトゥだ。誰に渡すかもわかっていた。

しかも手早い。


その後、俺はパルムたちと話、ティナ脱出作戦の準備が出来た。

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