紋章学と青銅の剣と取説 ②
――紋章学と青銅の剣と取説だよ
「やあ皆、最近出番の無いクンヘル先生だよ」(自暴自棄)
「機嫌が悪いようだが」
「君は、主人公なんだから、もっとメインヒロインを大事にするべきなんだ」(プンスカ)
「何をいっているんだい。僕が一番大事にしているのは君だよ」
「なっ!急に何言っているんだい!」
「よろしいでしょうか?あなた達がいちゃついている間に、時間が無くなってしまいます」
「なっ!い、いちゃついてなんかないよ!」
「さようですか」
「何だい妬いているのかい?」
「それでは、今回は英雄についてお勉強をいたしましょう」
「無視するなぁ~!」
「僕も、この世界の歴史について、学びたいと思っていたところだ」
「(ごっほん)まあいいや、この世界は、ほとんど地球と同じ環境にある。当然の違いは、マナが存在し、魔術によって事象変換が可能という点だよ」
「そうか、だから違和感無く生きていけるのか」
「正確には、君はこの世界の魔族の身体を得ているから、違和感がないだけだよ」
「そうですね。本来、環境は酷似しているとはいえ、大気中の成分など細かいところに違いはございます」
「だから、《使役》と《強化》を極めたサクスが、転生後すぐには弱者であったのは、そのためだよ。彼は、この世界を生き抜く為、多くの困難を超えてきている」
「よくある異世界転生で、はじめから最強という訳ではなかったのか」
「そうだよ。彼は自分の無力さを自覚して、努力を重ねてあそこまで登りつめたんだ」
「生きるとは、単純ではございませんからね。まがい物の器である私が申し上げるのも、いささか筋違いですが」
「ただ、君についても多くの死線を越えているから、転生直後よりかなり強力になっているよ」
「そうなのか、あまり自覚はないがね」
「さて、話を戻すと、歴史的には、こまごまとした小競り合いが絶えなかったこの世界に、大戦争が起こったんだ。八年前の事だが、当然多くの犠牲者が出る事となる。しかし、
一方で、国同士の統一を加速化させた。人族や他の亜人族にとって、魔王という名の共通の敵がそうさせたんだ」
「共通の敵を持ったもの同士は、自然と協力しあうのが道理ですからね。現在は人族の帝国と魔族の暗黒大陸の二大勢力が睨みあう状態です」
「お互いバランスが取れており、大きな争いは減ってきたね」
「その八年前の大戦で活躍したのが、各都市の名前になっている英雄たちです」
「もともとは大戦時各国の首都がおかれているところに、英雄たちを配置した。彼らは、それぞれに、強力な特徴があるよ」
「確かに、ノェウの【テンペスト】は非常に強力だったな」
「彼は、もともと種族として強力なインテリジェンスの中でも、最上位クラスの魔力を持っているからね。飛行戦においては彼に勝てるものは少ない」
「ラバーハキアは、弓の名士だときいたが」
「そう彼は、弓の名士でその弓の強さは、空を舞う竜を一撃で倒したと言われているよ」
「そのご子息であるバルバトス様も、その血を強く引き継いでいらっしゃるのか、メキメキと頭角を表していらっしゃいます」
「バルバトスは、真面目で一途な奴だからな」
「その他にも、拳王モーガス、雷帝クジュラ、光守メゴマ、深淵の魔女シバーシン、海魂のリッポニの合計七人の英雄がいるんだよ」
「七英雄というところかな。ロマンシングな年代系譜物語が始まりそうだね」
「私は二作目が好きだが」
「気が合うね。僕もだよ」
「お二人が、お話になっている事は、分かりかねますが、各英雄の二つ名に特徴がありますね」
「まあ、これから君は彼らやその取り巻きと接していくんだから、大変だね」
「まったくだよ」
「君は、もう少し強くなりたまえ。私があげたブローチを大切にしているかい?」
「お陰様で助かったよ」
「そうかい、そうかい。それは、光の精霊回路が組み込まれているからね。ただ、君のアイデンティティを否定するわけではないが、君自身も強くなったほうがいい。モーガス寺院で体術でも学んできたらどうだい。(小声で:もしくは、私とここで一緒に暮らすか選びたまえ)」
「ちょうど、そのことを考えていた所だよ。体術か、かっこいいな」
「クンヘルも心配しているように、私も貴方様のご無事を祈っております。どうかご無理は、なさらないように」
「ありがとう、ナーセット。それでは行くよ」
「モーガスだろうが、どこへでも行ってしまいたまえ」
「ああ、行ってくるよ。だって、僕の帰る場所は、君とナーセットのいる場所だから」
「まっ!また君というやつは~」
「お待ちしております」




