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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
Chapter.3
81/81

第81話 空蝉:火山強制活性化阻止作戦①

 死火山の山岳、


 死火山といっても遥か奥深く、別の国にある火山と繋がるマグマの本脈は生きてるので厳密には休火山と言える。


 元のストーリーでは魔族が死火山の強制活性化計画を止める為に訪れるエリア。


 このヒーロー物でありそうな計画を知る為に攻めてくる魔族と何度か戦う必要があり、

 ある程度回数を重ねると山頂でボスと戦える。


 もし強制活性化による噴火が起きればリズ曰く、


 「あの時の風の丘程度じゃ済まない。」


 だとか。


 こうやって考えると昭和の悪役怪人ってとんでもない奴らだったんだなってわかる。


 さて、そんなわけでだが。


 「...夏なのに朝は寒いな。」


 早朝、

 私は薄暗い空の下でコーヒーを飲む。

 コーヒーと私の口からうっすら白い息。


 夏だろうと暖かい飲み物は欲しいのだ。


 夜が明け、冷たい風は怪しくも優しく私の横を通り抜ける。私の髪がサラリと揺れる。


 チタンのマグカップに淹れたコーヒーが体を温めてくれる。香ばしさが体の中に広がる。


 そう私は山岳調査をする為にソロキャンプ...、


 「おはよーサラー。」

 「おあょ...あら...。」(おはようサラ。)

 「おはようございますサフラさん!!」

 『やめてマロゥー、朝は苦手なんじゃあ。』

 『すまない主様...自分も朝は。』

 『なぁ我が主よ、女神と悪魔も低血圧とかあるのか?』

 「しらね。」


 ...は叶わなかった。

 経緯はこうだ、


 先日のメリーの身に起きた事をモフィラ達から聞いた。神が絡むとなると神に任せるのが手っ取り早い、私も神と関わってたからね。


 そんな訳で早速クチナシに相談してみたのだが、


 「...居場所が探れん。奴め一体どこに?」


 と、難航している。クチナシ曰く自分達程の存在ではない、割と下位寄りの神だけど一筋縄ではいかないだろうとの事。

 現状メリーに“天秤”とやらが接触してきた場合、多少どうにか出来るアテナとモフィラになんとかしてもらうしかない。


 そんなメリーに無理はさせたくないので私はソロキャンプ兼ねていざ山岳へレッツゴー...する前にマスターを通じて公爵に山岳の一部エリアに使用許可を貰っていざ出発した時だ。

 

 「遅ーい!」

 「は?」

 「揃ったわね、出発よ!」

 「は、は?」

 「おはようございますサフラさん!!」

 「???」

 

 なんでメリーとリズとマロウちゃんがいるの?

 え、誰にも言ってなかったはず。


 「ヒマリから聞いたわよ!」


 あの公爵令嬢め...。


 

 ...という訳である。

 メリーはともかくリズは寒がり、なんでそこそこそこ標高ある山のキャンプについてくるのか。

 平気な顔して実際は体を温める魔法を使いっぱなしである。そうまでして...まいいや。


 ん?

 この前キャンプやったばっかりなのにまただって?

 気にするな。


 「うひぃ、意外と寒いね...。」

 「標高約2000m。地上より大体12℃低い、そして朝だからもっと低い。」

 

 ゲームでは感じる事のない高山での活動感覚。

 地上よりも薄い酸素に気をつけなければならない、私は高山病にならないがマロウちゃんが心配だ。

 今の所症状は何もないが念のため定期的にエリクサーを飲んでもらっている。

 もし何かあれば緊急時用の転移石もある。


 昨日テント設置。

 現状魔族はあれ以降確認していないがストーリー通りならあと何度か来るだろう。


 ゲーム通りならあと3回戦う。

 しかし今回はどうなるやら、完全にゲーム通りになった事ないからなぁ。


 ...ちょっと探索行ってくるか。


 「1時間後に探索開始するよ、全員支度!」



ーーーーー


 さ、ついにこれを使う時が。


 「あー、あー、こちらバイオレット。レイン、レッド、ホワイト、聞こえるー?」

 〈すごーい!レッド問題なし!〉

 〈ホワイト聞こえまーす!〉

 〈レイン、問題なしよ。〉


 はっはー、ついに出来たぞ。

 音声魔法、雷魔法、振動魔法、転移魔法の多重構築魔法を刻印したブローチ。


 ラーズ家御用達の宝石細工にリズの高度な魔法技術、そして私が前世で覚えてる限りの簡単な通信技術と知識。

 それによって試作品だが完成した、前世科学と魔法科学のハイブリッド。


 「魔線通信機、安直だがこれでメリー達の自由研究課題も余裕でクリアだな。」


 略して魔線機。

 

 この特殊な電波は転移魔法を通し距離に制限こそあれど電波塔無しでも半径10km、最大ラグ2秒以内で通信が出来る。


 はは、まだまだ試作品だけど技術進歩すればこの世界でも携帯電話が使える、無線だろうが有線だろうが通信技術の発達はありがたいからね。


 悪い意味でも情報戦における技術がどえらい事になるがそんなの現代前世だって同じだ。機関車あるくらいなら、というかそもそも現代インフラが揃いつつある時代設定のゲームとして作られた世界だ。


 私がいなくともいつかは出たさ。


 さて、雰囲気と雰囲気とノリと雰囲気と情報的な意味で通信中はコードネームで名乗る。


 ・サフラ→バイオレット

 ・カメリア→レッド

 ・リズ→レイン

 ・マロウ→ホワイト


 なお、メリーは都合上マロウちゃん...というよりモフィラと同行してもらってる。


 〈これは面白いのー!あーあー。〉

 

 ちなみに電池は今回は特殊な魔石を使っている。

 ゴーレムコアとしては容量とエネルギー不足であまり注目されていない魔石だ。

 魔線機程度なら問題ない事がわかった。

 

 「一応通信圏外には行かないでね、念のため。えーとモフィラさんとアテナはメリーに何かあったら即時連絡お願い。」

 〈了解だ。〉

 〈わかった。〉

 「リズは登山ルート付近をお願い。」

 〈はーい。〉

 「シアは可能ならこの辺りに適応した生物を子分にしといて。現地に詳しい生物が味方になるのはありがたい。」

 『既に可愛い奴がおるぞ。』

 「お?」

 「ハッハッ。」

 「...犬?」

 『子供だが一応オオカミだぞ。』

 〈ローザスマウンテン・ウルフね。この山は隣国ローザスまで繋がっていて、その狼はその辺りで主に確認されているわ。〉

 「ワフッ。」

 『ほれ、私のご主人様じゃ。』

 「ワンッワンッ、ワフッ!」

 『こ、こら!?』

 〈こちらレッド。戯れてる声が聞こえるんですが。〉

 

 「...!グルルル....!!!」

 「!」

 〈!〉

 「こちらバイオレット、岩場ルートに妙な人影。」


 誰だ?

 二人の男女...騎士団の巡回じゃない、あれは市販の登山服。でも正規の登山用ルートじゃないし、何より雰囲気が妙。


 「バイオレット、接触を試みる。...おはようございまーす!」

 「!」

 「いい朝ですね!」

 「...ああ、そうだな。」

 「ええ...ところで。」

 「すまない、俺達は...あー、もっと上から景色を見たいんだ。」

 「ああ、すみません。」


 私はあえて素通りさせる。


 「...さて、試してみるか。」


 ここで気をつける事が一つある。

 3年前から存在は知っていた、黒幕一派と何も関係ない中立で和平を願う魔族の存在を。


 そんな魔族には通じる、とある言葉がある。


 「綺麗な宝玉眼ジュエルオーグだったなぁ。羨ましい。」

 

 そう、魔族の最大の特徴は宝石の様なとても美しい目。ゲームの知識、そして3年前に生徒会長達から聞いた話でそれは知っていた。


 もし悪さをしない奴ならこの話は気にしない。

 むしろ照れるかもしれない。

 現代を、同じ志を持つ人間属達と生きる彼らには。


 しかし、もし魔族とバレて証拠を抹消しようとする奴なら?


 (バッ、)


 男女は私に爪を向け襲いかかってきた。

 

 「武法、静寂の斬撃。」


 静かな斬撃が、微風が通る様にフッと。

 魔族の二人が真っ二つになった。

 どうやらゲームの様なわかりやすい展開は期待出来ないな。

 

 『...宝玉眼、確か3年前にリンド達から聞いたな。』

 「懐かしいな、会長達元気にしているかな。」

 『...。』


 そういえばあの日だもんな、私がみんなの前から消えたのは。思い出すだけで気分が悪い、あのクソッタレ教師の所業には。


 さて、何かもってないか...お。

 これは信号弾だな。変に生かしてたら速攻使用して作戦変えるか総攻撃してくるか...後者の方が手っ取り早いけど迷惑かかりやすい。

 討伐して正解だった。

 

 「こちらバイオレット、接触した二人は化けてた魔族だった。例の合言葉言ったら速攻で殺しにかかってきたので注意。それとそいつら信号弾持ってたから使わせない様に。」

 〈了解。〉

 〈了解...あ、こちらレイン、巡回中の騎士と合流...ってうわぁ!?〉

 「りz...レイン!?」


 なんだ、何が起きた!?


 〈さっき急に学園の生徒が魔族討伐の為に山籠りしてるって連絡聞いたからまさかと思ったけどまた君達か!?〉


 ん?


 「...あー、どちら様ー?」

 〈僕は...って、ええ!?今このよくわからない道具から声が聞こえたけど!!?〉

 〈あ、ちょっ!?〉

 「え、レイン?ってか誰の声?でもなんか聞いた事ある様な...。」


 また君達か...ね、世話焼きで騎士団...ん?

 あれ、いたなそんな人。


 〈リクスさんそれ私の!?〉

 〈まさか...魔道具による通信機!!?〉

 「ぁー...サソリと熊ゴーレムの時の...。」


 騎士団諜報隠密特殊部隊員アスターことリクス。

 3年ぶりにその声を聞いたのだった。

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