表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
露程も知らない幻想組曲  作者: 熱帯長草草原地帯
第五章 護りたいもの
31/106

オレは気合いを

 オレは気合いを入れた。

 ヒダッカさんとヒボラさんがベアー討伐の依頼を見つけて来てくれた。

 次々と色々な事が決まって明日以降の予定を確認して解散となった。

 ヒダッカさんとオレは魔法の授業に行く。


「宜しくお願いします。」

「お願いします。」


 モーリット先生がいつもと同じ様に出迎えてくれたけど少し難しい顔をしている気がした。

 今日も庭で授業をする。

 早速攻撃魔法を習うのかと思ったけど、木魔法の続きをすると言う。


峰司(ホウジ)君、君の木は胡桃のようじゃ。胡桃の花は知っておるかの?」

「分からないです、すみません。」

「そうかの。じゃぁ難しいかのぅ。今日はもう少し木を大きくして花を咲かせたいんじゃ。花は準備してくるからの、峰司(ホウジ)君は木をもう少し大きく育てるのじゃ。」

「はい。」


 モーリット先生はヒダッカさんと話したあと、何処かへ言ってしまった。ヒダッカさんは今日は剣を持ってきていた。剣を軽々と振り回せるヒダッカさんはいつにも増してかっこ良い。

 オレの木は30センチくらいだ。苗木って感じ、オレみたいに小さい。胡桃をいっぱい実らせる大きな木にしたい。

 木に触ってどんな栄養が欲しいか考える。

 胡桃は食べた事がある。

 硬い殻を割って中から取り出すのが大変だった。少し焼いてから噛むと甘い油がじゅわっと出てくる感じ。栄養がいっぱい必要そうだ。

 昨日までのイメージと精霊に栄養をいっぱい下さい、と思いながら魔力を流す。


「はぁ……」


 ベアー討伐の依頼が浮かんでしまって中々集中が出来ない。攻撃魔法ってどんなのかな?


「ふぅぅ」


 今はオレの胡桃に集中だ。オレみたいに小さいままじゃ可愛そうだ。ヒダッカさん見たいに大きくしたい。

 腹から魔力を絞り出すように胡桃の苗木に流す。立派な木になるのを想像しよう。太い幹、すらっと伸びる枝、濃い緑の葉。精霊の力も取り込む様に………………

 掴んでいた部分が大きくなっていくのを感じる。

 目を閉じたまま集中を続ける………………

 頭の上からさわさわと音が聞こえて来た所で目を開ける。


「わぁっ」


 座っていたオレの上に覆い被さるように葉が揺れていた。


「ふむ、良いのう。」


 いつのまにか戻ってきてたモーリット先生が胡桃の木を見つめていた。

 慌てて立ち上がると違和感があった。

 モーリット先生が小さくなってしまったみたいだ。いつもは上を向いて先生と目を合わせるのに、何故か視線が同じくらいだ。


「先生小さくなれるんですか?」

「ふむ、峰司(ホウジ)君は面白いのぅ。」

峰司(ホウジ)……大きくなってるぞ?」


 えっ?大きく?ヒダッカさんを見るとヒダッカさんも前より視線が近い気がする。

 自分の体を見ると少し大きめだった服の袖や裾がぴったりになっている。


「ええっ!」

「木と一緒に大きく育ったのぅ。成長期だからかの?」

「えっと、あの、どうしよう?」

「大きくなっても困る事もないじゃろぅ。気にせんで良いの。」

「えっ、あっ、はい。」

「次は花を咲かせようかのぅ?まだ魔力は足りるかの?」

「えっと、大丈夫です。」

「ふむ、よく見ているのじゃぞ。」


 少し慌てながらもモーリット先生が持ってきた本を見る。

 植物図鑑みたいだ。

 モーリット先生がページをめくり胡桃のページを開く。片面は説明文かな?もう片面は胡桃の絵だ。

 本物のような胡桃の絵を覗きこむと、胡桃からにょきにょきと芽が伸びて木が生えてきた。枝も伸びてきて緑の色が見えたなと思ったら葉が繁った。そのあと緑の房が出てきて青色の実が成り、割れ落ちて胡桃の絵に戻った。オレが驚いているとモーリット先生が本を閉じた。


「どうじゃ?やってみるのじゃ。」

「……はい。」


 ……………………………………………………


 峰司(ホウジ)が木の成長と一緒に大きくなった。

 魔法を習い始めたばかりだと言うのに面白い奴だ……


「ヒダッカ君どうじゃ?」


 俺は剣の刃に氷を張っていた。


「もっと薄くか?」


 振り慣れた剣を見せる。

 氷を張るのは直ぐに出来たが、薄くすると溶けてしまい厚くすると魔力をごっそり搾り取られた。


「ふむ、充分じゃのぅ。ここから精霊と仲良くじゃよ。剣の中にも魔力を流し氷を剣と一体化させるのじゃ。」

「やってみる。」


 剣の中に魔力の道を作り、動かしながらイメージする。

 俺は昨日と同じ様に精霊の力を借りる。

 モーリット先生は色んな借り方が有ると言っていたが、俺は森の中に居る自分をイメージして借りる事が出来た。

 俺は森が好きだ。森の中は色んな生き物の精気で満ち溢れている。それを集めてくる。

 氷が柔らかな翠色に染まっていく。硬く鋭く尖らせアイスブレイドが完成した。


「出来た。」

「ふむ、仲良くするコツが掴めた様じゃな。試し切りはするかの?」

「はい。」


 俺は先ず素振りをしていつもとの違いを確かめる。氷を纏った分、重く成りそうだが実際は少し軽く振りやすかった。

 先生が用意してくれた土台に麦藁を束ね巻き付けた物を切る。


「シュッッ」


 切った手応えが無い程に綺麗に切れた。


「ではこれはどうじゃ?」


 先程と同じ様に見える麦藁を切ってみる。


「ザシュッ」


 今度も軽く切れたが水を含ませて有ったようで先程より重い感触が腕に伝わってきた。


「完成じゃな。良く頑張ったの。」


 モーリット先生は目を細めて労ってくれた。


「ありがとうございます。」


 峰司(ホウジ)はどうなったかと振り返ると胡桃の木には緑の房状の花が沢山咲いていた。

 峰司(ホウジ)は木の根元で眠ってしまって居るようだ。


「ほっほっ、二人とも優秀じゃの?」


 峰司(ホウジ)は魔力切れで動けない様だったので、モーリット先生の家で寝かせて貰う事にした。

 明日の朝の約束をして俺は一人で家に帰った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ