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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第2章 トロル集落の生活改善編
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第57話 再び襲来レヴィアタン(疑似太陽も奪われた!?)

「ところで、太陽が無いなら気温とかどうしてるの? ここ疑似太陽が無いと物凄く寒いんだけど……あなたの国は寒くないの?」


 スキル『熱感知』 (下限感知温度二十度)のお蔭で私にはわからんけど、私の周りのヒトたちが寒いらしい。


「何人もの魔道師が火の魔力で熱を作ってるわ、職業としてそういうのがあるの。光も雷魔法や発電施設で電気を作って代用できてるから、この魔界にある光のほとんどは人工的な光ね」


 熱作りを担当している住人そのものが火力発電所ってことなのかな?

 発電によるゴミとか排気ガスみたいなものが出ない分、環境的には良さそうね。魔界が人間界より環境的に良いってのが不思議な感じだけど。

 まあ、熱が出る以上二酸化炭素は出るのか。


「悪魔って光が弱点なのかと思ってたけど……」

「まあ、魔法属性で考えるなら強い光属性は苦手ね。でもやっぱりどんな生物だって明るい方が良いから光を求めるところがあるしね」

「光で火傷したり溶けるような悪魔は?」

「そんなの極々一部よ、ほとんどは光の下でも生活できるわ」


 ほとんどがそうなのかと思ってた。

 光を無条件で嫌うのかと……


「あと……さっきからちょっと気になってるんだけど、その『悪魔』って言うのやめてもらえない? 悪魔って人間が勝手に召喚して得体の知れない者に対して付けただけで、私たちにも悪いヤツがいれば、善いヒトもいるから」

「あ、ごめん、確かに悪って言われて良い気はしないよね……何て言ったら良いの?」

「私たちは魔人って言ってるよ」

「じゃあ今後はそういう呼び方にする」


 悪魔は悪ってことは、善い悪魔は『善魔』になるのかしら?

 人間界で言うところの、『善人』、『悪人』みたいなこと? まあいずれにせよ、今後はあまり使うことは無さそうだ。


「それにしても、この疑似太陽って全てを照らしてくれて凄く良いね! 私の国にも欲しいわ」

「良いよ、作ってあげる」


 その返答の直後に真っ暗になった。


 あ、しまった……


 急いで外を見る。今まで雨雲の下に輝いていた太陽が無い! 真っ暗だ……

 こんな一瞬で持っていかれるのか……

 今言われたばかりなのにうっかり返事してしまった。

 彼女の「欲しいわ」には迂闊に返事をしないようにしないと。


 すぐに光魔法で部屋内に光を浮かべる。


「あ~あ、さっき忠告したのに」

「そうでした……まああれはすぐに作れるから良いよ」

「奪うような意図が無くても口癖のように言ってしまうから注意してね」

「それよりいきなり水の国に太陽が出現するんじゃないの? 大騒ぎにならない?」

「大丈夫、こういうこと結構あるから」


 それはいろんなところで「欲しい」って言ってるってことなのか……

 いや、もし水の国が騒ぎなってるとしたら、疑似太陽が突然消えたトロル(この)村も今頃大騒ぎしてるかもしれない……


「あ、そうだ、トロルたちの住居を何とかしたいんだけど、この世界にドワーフっているのかしら?」

「いるよ、でも何でドワーフに? 家だって創成魔法で作ったら良いんじゃないの?」

「私が魔法で作ったものって、家の構造を明確に理解してイメージできてないから脆いのよ。この家も何度も補修してて、未だ万全なんて言えないし……あと、構造の問題で部屋数が多くなればなるほど、明確にイメージすることが難しくなるから部屋を沢山増やしたりってこともできないし。我が家は部屋数がお風呂とトイレとあと寝室兼リビングとキッチン&客間兼ダイニングの四つしかない単純な作りだから建てられてるだけで……」

「ふぅ~ん……『創成魔法』って凄い魔法かと思ったけど、結構制約があるのね」

「その点、ちゃんと構造を理解しているドワーフなら何十年も倒れない家を造れるんじゃないかなと」


 レヴィアタンに伝えてみたものの、渋ったような顔をしている。


「ドワーフ、いるにはいるんだけど、さっき言った私とはあまり関わりの無い土の国に多く住んでるの。ここに来てもらうのは中々厳しいんじゃないかしら? 土の国と私の国は交流が無いから、私は協力することができないわ」


 残念……コネがあれば紹介してもらおうかと思ったんだけど……


「でもうちの国にも何人かいるから話くらいなら付けておけるけど……」

「本当!? じゃあお願い!」

「でもドワーフ自体気難しい性質だから、気に入られなければ袖にされるけど、それでも良いなら」

「よろしくお願いします!」


 やった! これで村発展の次の段階への糸口が掴めた!


「もしかしてエルフもいる?」

「樹の国に多くいるよ、でもとても警戒心が強いから取り入るのは簡単じゃないかも」


 ドワーフにしろ、エルフにしろ、気難しいってのはどの世界でも変わらないのね。


 バタバタバタバタ


「なにこの音?」


 大勢の人の足音がする。


「あ~、もうバレたか。三時間したら迎えに来てって言ってあったのに」


 騎士風のヒトたちが家に押し寄せてくる。


「女王様、探しましたよ!」

「よくここがわかったね」

「空間魔術師がここへ空間転移させたと吐きましたよ。前代のベルゼビュート様が地獄の門付近で見つかったと聞き及んでおりましたので、もしかしたらとは予想はしていましたが……またそんな恰好で出歩いて! 国民が嘆きますよ!」

「国民はもうみんな知ってるから良いも~ん」

「さあ早く帰りますよ!」


 女王の威厳ないな……


「そういうことだから、これで帰るね。何か私に頼みたいことがあったら、水の国の王宮を訪ねて。じゃ、また遊びに来るから」


 騎士長のような人がこちらに近寄ってくる。


「わたくし騎士長のルーファス・ローゼンバーグと申します。あなたが前代のベルゼビュート様ですか?」


 この世界来て初めて名字がある人に出会った!


「はい、私自身にはその認識はありませんが、レヴィアタン曰くそうだそうです」

「よくぞ魔界に帰ってきてくださいました、三十年ほど前いなくなったと知った時は女王がしばらくふさぎ込んでしまって大変で……」

「余計なことは言わずともよい!」


 レヴィアタンが顔を赤くしている。

 そこまで私の心配をしてくれていたのか……これからは邪険にしないようにしよう。


「今後ともレヴィアタン様をよろしくお願い致します」

「じゃ、またね!」


 そう言い残し、空間魔法で開いた穴から帰って行った。

 と思ったら戻って来た。


「ちょっと来て!」


 右手を掴まれ、強引にゲートの中に引きずり込まれた!


 ここは……

 これが水の国!? 青くて凄く綺麗!

 水の国と言うだけあって、そこかしこに水路があり、小舟で移動している。泳いでる人もいる。

 オルシンジテンが言ってた通り高度に進んだ文明という感じだ。未開の地と文明が進んだところではこれほどまでに違うものなのか……

 今までは日本に住んでたから当然のことのように文明を享受していたけど……


「水の国アクアリヴィアへようこそ! あなたを歓迎します」


 レヴィアタンが改まって歓迎してくれた。


「ありがとう、何で急に連れて来たの?」

「私、全部じゃないけど奪ったものの詳細がある程度わかるの。あの『創成魔法』って全属性使えなければ会得できないものなんでしょ? だから空間魔法も使えるのかと思って」


 それで何で強引に連れてこられたんだろう?

 あっ!


「私は空間魔法使えないから詳しくは分からないけど、一度ここに来ておけば、以降は自由に来れるようになるんでしょ? 私に用がある時には頼ってくれて良いよ」


 これはありがたい申し出だ。ここなら必要になった時色んなものが見つかりそうだ。


「ありがとう! 何かあった時はお願いするよ!」

「太陽貰ったお礼もあるしね」


 太陽は意図せずに奪ってった気がするけど……


「それにしても、国に戻ってみたら凄く明るくなっててビックリしたよ! 今まで暗い水路でしかなかったのに、こんなに青くて綺麗だったんだなって」


 喜んでもらえたんなら良かった。


「お蔭で国中が大騒ぎですよ……一部の人々はこの世の終わりじゃないかとパニックになってるところもあります……」


 ルーファスさんがゲンナリしている。


「そっか~、突然光が出現したら恐いよねそりゃ」


 レヴィアタンが「欲しい」と言う度に、国に何か増えるって言ってたけど、数千年間闇の土地に突然太陽が出現したらそりゃあパニックになるだろうね……


「これからあの空に現れた光について国全体に説明していただきますよ!」

「あ……うん、そうね……流石に説明しないとまずいよね……」


 『面倒くさいなぁ』という感情が顔に現れているが、自分で持って行ったものだから説明してもらわないと国民が不安で眠れなくなるだろう。


「ごめんね、あの太陽について詳細教えてもらえる?」


 疑似太陽の機能についてレヴィアタンに詳しく説明した。まあ説明したって言っても時間経過で日の出や日の入りがあって、少しの熱が発生するってことくらいだから特に難しいことは言ってない。


「説明ありがとう。じゃあ、今日は今しがた公務が入っちゃったから、ごめんね」

「うん、それじゃ」


 ゲートをそのまま引き返して我が家に戻って来た。

 あ、そのまま観光してても良かったか、まあいつでも行けるようになったし。


 ……

 …………

 ………………

 静寂。


「何かどっと疲れた……」


 怒涛の女王様だったな……

 帰って来てみたら何か急に気温が下がった気がする……

 あ、そうだ、疑似太陽取られちゃったんだっけ。もう一回作っておかなきゃ。今度はちゃんと雨雲の上を通るように改良しよう。


 屋根に逃げてたオルシンジテンが帰って来たから訊ねる。


「オルシンジテン、レヴィアタンが女王って聞いてないんだけど……」

「情報としてお答えしたはずですが」

「魔王とは聞いてたけど……この間私に説明した文を一字一句間違えずに表示してもらえる?」

「はい。どうぞ」


『通称水の国と呼ばれるアクアリヴィアの魔王です。水資源が豊富で水に関連するマーメイドやマーマン、魚人、水棲の亜人、水棲の魔人などが多く暮らし、水力発電など科学技術が進んでおり、ここと比べると文明的にかなり進んだ国と言えます。また、魔界一水の綺麗な国として有名です。女王は自由奔放で知られ、度々側近を困らせるようですが、国民には人気があります。魔界にある七つの国の中でもかなり住みやすい国と言えるでしょう』


 レヴィアタンのことは魔王としか言ってないけど、後半に自由奔放な女王と書いてある……

 私はこの後半の女王と前半の魔王が別人で、女王と魔王がそれぞれ存在するのだと思って聞いていた……まさか同一人物だったとはね……

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