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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第16章 大使就任とアルトレリア健康計画編

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第438話 古代遺跡を作ろう!

 本項の用語おさらい。

 ▼ヘパイトス

  アクアリヴィアで名の知れたドワーフの名匠。

  トロル村の川を作った人物。現在は当時トロル村であったアルトレリアを離れ、アクアリヴィアの第一首都トリトナで半隠居生活を送っている。

  アルトレリアで働くドワーフのフィンツ、ルドルフ、フロセルたちの親方であり、ヤポーニャの父親に当たる。

 便利な魔道具が追及されそうな時に逃げ口上(こうじょう)に使う『古代遺跡』。

 現在アルトレリアにある紋章術を使っていない魔道具は全部私が創成したもので、もちろんそんなものが発掘される遺跡はこの中立地帯には存在しない。

 何かと言い訳に『古代遺跡』を使っていたが、そろそろ言い訳も苦しくなってきた。


 だから本当に古代遺跡を作ってしまおうと思う。フリアマギアさんに思いっきり疑われてるし、古代遺跡を作って嘘を真実(ホント)にしないと!

 そういうわけで、以前レッドトロル村捜索の時に発見したドワーフが作ったらしき住居跡を古代遺跡へと改造しようと、現場に来ている。 (住居跡については第191話参照)

 我が家には分身体を置いて来ているので、本体(わたし)が居ないことに気付かれることもないだろう。


「さて、とりあえず地面の下をくり抜こう」


 土魔法で下へ下へと掘り進める計画。

 地下千メートルほどのところへ大空洞を作ろうと思う。

 広さは五百メートル四方。天井まで五百メートルほどの地下空間。東京タワーが完全にすっぽり入ってなお余裕がある高さ。最低これくらい無いと超魔道具技術を持つ古代遺跡とは言えない気がする。

 これが第一段階で、最終的にはこの十倍ほどまで拡張したい。


 で、ここまではまだ構想。今はまだ地上にいる。


「まずは誰かにこの場所が見つからないように、認識阻害の魔法をかけておこう」


 認識阻害の魔法は住居跡を見えなくし、荒野に見せかける魔法。

 これは光魔法の【透明化(インビンシブル)】と空間魔法の一つで疑似太陽に使ったものと同じ『空間ごと塗り替える魔法』を組み合わせて応用する。 (第11話参照)


 次に更に空間魔法を使って住居跡の周囲に目に見えない囲いを作る。この囲いに触れると逆側にワープする。これも以前畑を荒らすガルムに使った魔道具『一進五退装置』の応用。 (第165話参照)

 一進五退装置の効果が『入ったところの手前にワープする』のに対し、今回のは『入ったところと逆側の端っこにワープする』という仕掛け。つまり右側から入れば真ん中を飛ばして左側へ一瞬で移動する。しかもワープしたとは思わせないように偽装もしておく。


 更にこの囲いに創成魔法で私の魔力を混ぜる。これで私以外はここに入れなくなった。これも砂漠の宿で駱駝(らくだ)車を守るために使った空間魔法の壁に使ったものの応用。 (第392話参照)

 これらの仕掛けは、“古代遺跡が存在した”かのように偽装が完了した時点で解除する予定。


「よし、これで私以外にはこの場所を認識できなくなったはずだ。あとは徐々に古代遺跡を作っていこう」


 入り口の偽装を終えて、いざ穴掘り開始!


   ◇


「とりあえず地下深くまで一直線に掘りましょうか」


 土魔法でドーンとやりたいところだけど、あまり派手にやると町から離れてるとは言え、音とか振動とかでバレてしまうかもしれないから、徐々に徐々に掘り進める。最近は多種多様な亜人が訪れるようになったから微細な振動でも、頻繁に起こせば気付く者がいるかもしれないし。


 そこで手始めに創成魔法でスコップの魔道具を作った。

 微細振動付きで、土に突っ込むと容易に掘り起こせる代物。これであまり力を使わなくても土を掘り出せる。

 スコップを土に突き刺してみると、豆腐を切るようにスルスルと入っていく。


「流石微細振動付き!」


 しばらく黙々と下へ向かって掘り進む。


   ◇


 穴を掘って行くうちに、そろそろ疑似太陽の光が届かなくなってきたため、光魔法で光源を浮かべる。

 そして穴掘りを再開。下へ下へと掘り進む。

 大分掘った頃、そろそろ掘り出した土を退()けられない高さまで深くなってきた。土をスコップして上へ投げてもほとんど落下して戻って来る。身体にも土が大量にかかるようになってきた。


「あ~……これはもうダメだ。外まで運び出さないと。昔の人はバケツとロープで運んでたみたいだけど、さてどうしようか?」


 あ、ゼロ距離ドアをもう一対作って運び出せば良いんだ。ゼロ距離ドアはここから出土したって(てい)だからある意味作るのに躊躇しなくて良い。むしろそれなりに増やしておいた方が『ここで発掘された感』が出せるかも。

 と言う訳で川作った時と同じタイプのゴロゴロ動かせるゼロ距離ドアを創成。これで深度が深くなっても持ち歩ける。


 それと同時に掘った土を外へ運び出す役割の魔道人形を作った。要はカイベルの姉妹機のようなものだ。

 こういった自動人形(オート・マトン)は超古代遺跡にあってもおかしくない。まあ私の勝手なイメージの中ではだけど。

 でも、私は人間に近い見た目をしていると感情移入してしまうようだから、あまり人間に近い見た目にはせずフィギュアを巨大化させたような見た目で、ボディは白のカラーリングにした。デッサン人形のような、フィギュアの素体のようなそんな感じのやつ。そして現時点ではしゃべれない。頭の良さもそれなりに抑えた。

 仮にカイベルと同等のAIが二機以上いると世に混乱をもたらすこともできそうだし……

 と言うか……創成魔法の特性を知ってしまった現在となっては、二体目のカイベルを作り出すことは恐らく不可能。あれは魔界に来てすぐ“魔法についてよく分からない状態”で、言わば私の想像力にブーストがかかっていたから出来たに過ぎない。

 この魔道人形は今は土の運び出し特化として作ったから、これ以外の能力は無し。必要になった時にその都度バージョンアップしよう。

 これを二体作った。掘ったそばからどんどん運び出してもらう。


 掘り出した土は、この住居跡の周囲に盛り土して山を作る。これから小さい山なら作れるくらいの土は出るだろうから、山で住居跡を囲んでしまえば、いかにも『見つからなかった遺跡感』が出る。

 これらは後で土砂崩れが起きないように土魔法で固める予定。


   ◇


 何メートル掘り進めたか分からないが、時計を見ると既に八時間経っていた。


「げっ、私どんだけ集中して掘り進めてたのよ! そろそろ帰るか。一応魔道人形には仮にでも名前付けておこうかな。じゃあ土運びだから……あなたはソイルワン、あなたはソイルツーね」


 二体の自動人形(オート・マトン)に仮の名前を付けた。もし別の役割を与えるようになった場合は名前を変えたら良い。

 見た目じゃ分からんから番号振っておこう。


 胸に赤文字で『Ⅰ』、青文字で『Ⅱ』と創成魔法で刻んだ。


「じゃああなたたちは私が戻ってくるまで待機ね」


 二体ともコクッと頷いた後、静かにスリープモードに入った。こうやって魔力消費を抑える。


 堀った穴の入り口は創成魔法で板を作り出し蓋をする。もちろん創成魔法で作ったからには理由がある。周囲の地面と同じ素材になるようにカモフラージュする能力を付与した。

 これでこの板は土に覆われた地面にしか見えない。

 私以外入れないとは言え、万が一条件をすり抜けて入れる者がいるかもしれない。

 この掘った穴はいずれは全部埋めて、ここにゼロ距離ドアを建てて地下都市 (予定地)と繋げる。『ゼロ距離ドア』はこの古代遺跡 (予定地)から発掘したことになってるんだから、その方が説得力が出るだろう。


「どれくらい堀ったか分からないから深度を測れるものが必要ね。久しぶりにヘパイトスさんにお願いしてみようかな」


 話の流れ上で、私の能力についてそれなりのところまで知っている者は五人いる。直接説明したことがあるのが二人、突然バレてしまったのが一人、そして裏事情までほとんどバレてるのが一人。あとカイベル。

 ヘパイトスさんと、その時に同席していたリナさんには自分の口から話してしまっており、創成魔法を一度奪われたレヴィにはある程度創成魔法のことがバレている。 (何でも作れるところまで多分知らないだろうが)

 あの頃の私は迂闊に話し過ぎていたから、口の堅い三人だったのが幸いしている。もし彼らが吹聴するような人物であった場合、私は今の比じゃないくらいに世界中から狙われていたかもしれない。

 なお、裏事情までほぼ全てのことがバレているのはクリュー。


 だから事情を知っているヘパイトスさんのところへ頼みに行ってみようと思う。

 家に帰る前に水の国首都(トリトナ)にあるドワーフ商会を訪ねてみよう。


   ◇


 ドアーフ商会へやってきた。

 以前受付をやっていた娘のヤポーニャさんがアルトレリアからまだ帰らないため、受付カウンターには別の女性が座っていた。


「ヘパイトスさんはいらっしゃいますか?」

「あ、あのもう店じまいなんですが……」


 時間的に遅かったか……明日出直そう。

 と、帰ろうとした矢先――


「アルトラじゃないか! 久しぶりだな! 何でこんな夜に来たんだ?」

「ヘパイトスさん!」


 タイミング良くヘパイトスさんが事務所から出て来た。

 アクアリヴィアではもうすっかり“朝”、“昼”、“夜”という時間帯の概念が定着しているようだ。


「受付さん雇ったんですね」

「ああ、これは息子の嫁のヒルデガルトだ。ヤポーニャが帰って来ないからヒルデに受付に立ってもらってるんだよ」


 ヒノモトくんのお母さんってことか。ヒルデガルト……何だかカッコイイ名前だな。


「おい、コイツが一年前にヒノモトを助けてくれたアルトラだ」

「あ、あなたがアルトラさんでしたか! その節はどうもありがとうございました! あの時に見つけてもらえなければ息子は命を落としていたかもしれません」

「いえ、見つけられてホントに幸いでした」


 そういえば、あの時の事件は何人か死人が出てたもんな…… (第72話から第74話参照)

 あの時見つけられなければ、新たに子供五人が犠牲になってたことになるし。


「トロル村の川が完成して以来だから、大体一年振りくらいか?」 (第175話参照)

「もうそんなになるんですね」

「まあ立ち話もなんだし、中に入れ。コーヒーで良いか?」

「あ、はい」

 ヘパイトスは「一年振りかくらいか?」と言いましたが、実際の時間ではほぼ二年経ってるんですね……

 随分長いこと小説書いてるな~。


 この続きは明日投稿する予定です。


 次回は1月26日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第438話【ヘパイトスさんを巻き込もう!】

 次話は明日投稿予定です。

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