イアルの屋敷。
私はサリテルの提案をのむことにした。
再会を約束した日から1ヶ月前、私は自らイアルの屋敷に訪れた。
「お姉様!どうしてこちらに?」
中に入るとセルビアがいた。
なぜここにいるのか、はっきりとは分からないがなんとなく察してはいる。
「イアルに会いに来たの。彼はどこ?」
セルビアは目を見開いた
「お姉様が自ら?!…イアル様は今中庭にて訓練中です。」
私が自分からイアルに会いたいというのは初めてだ。
この人生ではいつも私がいうよりも先にイアルは会い来るのだ。
「ユアン!!ユアン!!どうしたんだ、いきなり会いに来て」
ぱたぱたと誰かが走ってきたと思ったら、私の名前を呼ぶ彼がいた。
「貴方と話したくて…」
イアルは19歳まで成長しており、大分20歳のイアルの面影がある。
かっこよくなったな…
「お姉様…ずるい、私も二人で話したいですわ。」
私に嫉妬したのかセルビアはそんなことを呟いた
「大丈夫よ。後で話せる時間はたっぷりあるから」
イアルには婚約を破棄した後、好き同士であろうセルビアとの結婚をすすめるつもりだ。
だから、今セルビアとイアルが話せなくともあとの生活で嫌というほど話す時間はある。
「さあ、イアル、二人で話しましょう」
「ああ。」
婚約を破棄したらサリテルを連れて、旅行でもしようかしら、と考えているユアンはイアルが顔を緩めているのに気付かない。