第二章第七節
その女の子は、ギターを弾きながら、歌い切った。
恐らく、オリジナルの曲だ。
話しかけようとした瞬間、彼女はギターのネックを掴み、大きく振りかぶった。
そしてすぐ、ギターを床に打ちつけた。
力が弱かったのか、ギターの損傷は大きくなかった。
彼女はもう一度振りかぶった。
「だめ!」
私自身、何でそう言ったのかわからない。
彼女は手を止め、ギターを落とした。
「君、名前は?」
彼女の歌声から、確かに"死"を感じた。
死なせたくない。
十三日後、世界は滅びるというのに、死んでほしくないと、私は強く思った。
「大景…眞冬」
「なんでギター壊そうとしてるの」
「このギターは最後の役目を果たしました。私と一緒に、彗星が落ちるよりも早く世界を捨てるんです」
「眞冬ちゃん!私、さっきの歌好きだよ!」
春樹くんに目配せをすると、春樹くんもすかさず、続けた。
「大景さん。素敵な曲でしたよ」
「そうですか。お世辞は結構です。では」
まずい、彼女が行ってしまう。
いや、真っ直ぐ言ったほうがいいかも知れない。
「死なないで」
春樹くんも同じ気持ちらしく、また、続けた。
「諦めちゃ駄目です。大景さんなら、音楽で、みんなを、救える」
眞冬ちゃんが引きずるギターを掴みながら言ったものだから、春樹くんは振り払われてしまった。眞冬ちゃんは、もう一度ギターを振りかぶった。
今度は、春樹くんに向かって。




