二十一話 (視点ナサン)
「……つまり、魔法使いを根絶させることも可能な装置だったというのですか!?」というクィムの声で我に返った。
恐る恐るイゴールを見ると頷いて「たまたまこれを見つけて、そこに目を付けた参謀がこの装置の完成を急がせたんだよ。」と答えていた。
うまく息ができなかった。それが自分に魔法使いの素質があると言われたせいなのか、ただこの装置が怖かったのか、どっちなのかは自分でもわからない。
ガブリエルもこの話の怖さを知ったのか呆然と設計図を見ている。
「どうする?これでも、この錬成器を完成させるのか?それともこの設計図を消し去るか?」そうイゴールに言われてすぐに答えは出てこない、ただ机に広げられた設計図を見つめたまま黙っていると、マルセラが口を開いた。
「あの、さ……なんで魔石じゃダメなの?」という問い。マルセラのその言葉の意味を理解するまで、少し時間がかかった。
「……はぁ?」俺は腑抜けた声しか出なかった。
全員が驚いた顔でマルセラを見ると、マルセラも驚いたのかびくりと体を震わせ、答えた。
「いやいや、さっきお父様が商団で“魔石”扱ってたって言ったじゃん?
魔石って、魔法使いが自分の魔力を濃縮した石って感じのやつで、帝国の魔法を使えない家の人たちってそれで火をおこしたりするんだけど……。」とおどおどしながら話す。
「魔法使いからしたら結構簡単に作れるらしいし、それに握りこぶしくらいの大きさの魔石でも一か月は毎日火おこしに使えるらしいから、そっちのほうが良くない?って思って……。」と自分で握りこぶしを作って見せる。
「つまり!魔石なら……理論上は、魔法使いの命を直接削らずに済む可能性があるということですか!?」とクィムが机をたたくと、マルセラは首を振って「それは、さすがに私にはわかんないよぉ!私、魔法使いじゃないもん!」と答えた。
俺は必死に考えて、一つ心当たりを見つける。「いや、待て!クィム、魔法使いなら俺たち知ってるだろ!?そいつらに聞くしかない!」そう言うと、クィムもハッとした顔をしたが、ガブリエルが横から「俺も酒場の知り合いに心当たりがある。
その情報を与えてやってもいいが、先に俺があの糞ジジイから逃げる手伝い!その約束だったろうが!ここまで連れてきたのは俺だぞ!」と入ってくる。
イゴールは杖で床を叩き全員を黙らせると「今一度、座って話をするぞ。」と椅子に戻った。




