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輝星のグランギルド  作者: yuuberu
3章 学園生活編
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第16話 生き残りの猫

視点 アトラ



今から8年前…俺が5歳くらいの頃の話だ。俺は昔からこのフレーノ村に住んでいた訳ではない。昔は、ピアケルという村に住んでいた。

俺はこの時からやんちゃだった自覚がある。村では誰よりも元気だったし、よく家の外に出て遊んでたし、自由気ままに過ごしていた。


8年前……


アトラ「今日も遊んでくるっす!」


母親にそう告げて、いつも通りに外に出る。友達と会って、ボールを使ったり、森の中で遊んだりしていた。ただ、俺は猫の獣人というのもあるのか、好奇心がとても強かった。


アトラ「この森の外って…どうなってるんすかね?」


この村では、よく大人たちから言い付けられていることがあった。それは、絶対に外に出てはいけない。正確には、森の外には行ってはいけない。遊ぶのも、森か村の中で遊ぶようにと言われ続けていた。

理由は分からなかった。ただ、森の外には怖いものがたくさんあると、両親は言っていた。


アトラ「怖いもの…怖いものか…でも…どんなのがいるんだろ?」


アトラ(…少しくらいならバレないっすよね!)


つい、興味を持ってしまった俺は、その日言いつけを破って森の外に行って見ようと考えてしまった。

正直、村や森は遊び尽くしてしまっていて、とても退屈だったのだ。ずっと窮屈な場所に過ごしている気しかしなくて嫌だった。だから、俺は飛び出してしまった。ちょっとだけでも、この退屈な気持ちを無くしたいと。


少し歩いて森の外に出ようとした時、1つの大きな門を見つける。この森は不思議で、村を中心に、森を囲うように霧がある。一度霧に突っ込んだことがあるが、霧を進むと元の入った場所に戻ってくるのだ。最初こそ面白いと思ったが、すぐ飽きた。そして、その巨大な門は外の世界につながっていると知っている。何度か、村の大人たちが開けて外に出てるのを見たことがあるのだ。


アトラ(大人だけ外に出れるなんて…そんなのずるいっすよね!)


俺はあまり音を立てないように扉を開けて、門の外に出た。すると、まだ少しだけ森が続いていたが、奥に光が見えた。そこから先だけ木が続いていない。


アトラ(外に…出れる!)


嬉しくなった俺は一目散に走り出した。ただ、そこで俺は気づいていなかった。門の扉を、少しだけ開けたままにしていたことに。


外の世界は、言い付けとは裏腹にとてもすごいところだった。どこまでも続く草原、近くで流れる川の音、ところどころに咲いている花。初めて見た時の感想は、キレイだった。ありきたりな感想だけど、本当にそう思った。


アトラ「すごい…すごいっす…!」


俺は走り出した。どんなに走っても奥が見えない。まだまだどこまでも世界が広がっている。森に閉じ込められていた俺に取っては、世界は広いんだと初めて感じた。

途中できのみを見つけたり、蝶を追って見たり、芝生のクッションに倒れて見たりと、とても楽しんでいた。初めて自分は自由なんだって思えた。

少しずつ暗くなってきて、バレる前に帰ろうと、森に戻った。


アトラ(楽しかったっす!あんなに楽しいなら、今度はみんなも連れて行きたいっすね…)


そんなことを考えながら、俺は門を開けて中に入った。


アトラ(ん?)


門をくぐった俺は違和感を感じた。変な匂いがする。今まで嗅いだことのない匂いだ。


アトラ(何の匂いだろ?)


門の扉を閉めて、村の方に歩き出す。村が近づくにつれて、どんどん匂いが酷くなる。


アトラ(なんすかこれ…気持ち悪い…頭がクラクラする…)


ちょっとずつ嫌な予感がする。これが村の方からするのに、誰もこっちにきてないのも気になる。

少しずつ足取りが重くなってきた。視界もどんどんぼやけるような感じがする。それでも、なんとか村のほうに歩き続けた。


アトラ(みんなは…みんなは大丈夫なんすか?お父さん…お母さん…)


すると、少しずつ村の姿が見えてきた。村には何人かの人影も見えている。


アトラ(…!みんな…!)


ちょっとだけ安心したが、その希望は一瞬にして崩された。


アトラ「えっ…なん…すか…これ…」


視界がぼやけていたせいでよく見えなかったが、村には、大きな草の触手のような、ツタのようなものが、辺り一面に広がっている。もはや、飲み込まれているような感じだった。そして、俺は見てしまった。大きなツタに身体を貫かれて、血まみれで倒れている村の人たちを。



◇◇◇



アトラ「…ん」


俺はゆっくり目を覚ました。見覚えのある天井が広がっている。


アトラ(ここは…俺の家…?)


辺りを見渡すと、間違いなくフレーノ村にある自分の家だった。


アトラ(久しぶりに…嫌な夢を見たっすね…)


少しだけ記憶が曖昧だが、ちょっとずつ思い出してきた。確か、オークロードがアストさんの宝石魔法を破って、俺が逃そうと動いて、俺を庇ってアストさんが魔法を使って…そして、一瞬アレオさんの姿が…。


アトラ(……はっ!?そうっすよ!オークロードは…!?)


俺は慌てて身体を起こした。


アトラ「いっ…!?」


その瞬間、身体から痛みが襲ってくる。どうやらオークロードとの戦いの傷がまだあるようだった。でも、あの一撃を受けて生きているのは、きっとジルのおかげだろう。でも、あの後どうなったのかわからない。


アトラ「み…みんなは…!」


何とか立ち上がり、リビングに行く。すると、見覚えのある片翼の白い羽が見えた。ドアの音で、猫耳がピクッと動いている。


ジル「…ん?起きたのか」


椅子に座っていたジルがこっちを見た。その姿を見て俺は安堵した。ジルがここにいるし、落ち着いているということは、あの後何とかなった可能性がある。


アトラ「ジル…みんなは…?」


ジル「アストたちは宿で休んでる。疲れも溜まってただろうな。あと、オークロードは討伐されたし、全員無事だから安心しろ」


その言葉を聞いて、俺は肩の力が抜けるのを感じた。


アトラ「よ、良かったっす…」


ジル「…まぁ、お前も気になることはあるだろうな。あの後何があったのか、どうなったのか…でも、今は休め。俺も、完全に状況を理解している訳じゃないんだ。今はもう真夜中だし、続きは明日だ」


言われて外を見ると、確かに暗くなっている。どうやらずいぶん俺は眠っていたようだ。


ジル「明日、あいつらのいる宿の部屋で集まることにしてる。お前もどうせ来たいだろうし、早く寝ることだな。無理に動いて傷口をまた広げても俺は知らないぞ」


そう言ってジルは立ち上がって玄関に向かった。


アトラ「ありがとっす、わざわざ俺が起きるまで…ちょっとでも安心できるように、待っててくれたんすよね?」


ジル「ば…ばか…んな訳ねぇだろ…変なこと言うな…俺はさっさと寝るように言うために待ってただけだ…!良いから早く行け…!来なくても俺は起こさないからな…!」


アトラ「ははっ…わかってるっすよ。おやすみジル」


ジル「…おう、おやすみ」


ジルが外に出ていくのをずっと見ていた。ジルがいなくなってからも、ずっと玄関のドアを見続けていた。


アトラ「やっぱり…素直じゃないっすね」


気になることはある。だけど、とりあえず今はオークロードは討伐されたし、アストさんたちもこんな真夜中なら寝ているだろう。ジルの言う通り、続きは明日だ。

すると、テーブルの上にコーヒーが置かれているのが見えた。そして、書き置きも一緒に残っている。


ジル『悪い、勝手にコーヒー飲んだ。』


アトラ「ホント…素直じゃないっすね…起きている気満々じゃないっすか…俺が起きない可能性だってあったのに…一体いつまで起きてる気だったんすかね」


俺は書き置きを読んで苦笑した。軽くカップを洗って、部屋に戻る。


アトラ(…飲んだなら片付けまでして欲しかったっすね)


そんなことを考えながら、ベットに横になった。多分、ジルのことだからアトラのために起き続けるようにと、コーヒーを飲んだことを知られたくないとでも考えたのだろう。だから詮索されないようにジルはコーヒーの話題はしなかった。もとから書き置きを残すのは決めていたんだと思う。


アトラ「…まぁ、ジルのおかげで助かったし、これくらいはおまけっすね」


ジルのことは特別に許してやろうと言うことにして、俺はまた目を閉じた。いろいろあったし、話したいことはたくさんあるが、今は生きて帰れたことを喜んで休もう。頭も戦闘続きでずっと考えまくってたし、今は何も考えたくない。


アトラ(だけど、今日もまた俺は生き残ったんすよね…)


あの村の惨劇が、脳によぎってしまった。みんなだって生きたかったはずなのに、俺のせいでみんな死んでしまった。俺の軽率な行動で、みんなの明日がなくなってしまった。


アトラ(…せめて、背負い続けて生きないと…。そうしないと、みんなに顔向けできないっすからね…)


月の光がカーテンの隙間をぬって入ってきた。俺の金色の髪が、少しだけ光っている。ちょっと眩しくて、カーテンをしっかり閉めようと目を開けた。すると、目の前に棚に置いてある小さな鏡があった。月の光に照らされた金色の髪が見えた。だけど、キレイに見えるはずの金は、俺にはくすんで見えた。

やっとアトラくんとジルくん編に入ります。

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