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輝星のグランギルド  作者: yuuberu
3章 学園生活編
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第13話 1つの希望

視点 アスト



アスト「宝石魔法 アクア・フロー!」


ユキト「…剣技 凍刃一閃!」


アスト「クリアライト…バレット!」


アスト(っはぁ…はぁっ…!)


何度も何度も宝石魔法を放つ。しかし、ゴブリンの数が減っていない。どんどん奥からやってくる。明らかに先ほどよりも数が増えている。


ユキト「アスト…!少し下がれ!そんなに宝石魔法の連発して…体力が持たないだろ!」


アスト「…いや!まだやれる!魔力は残ってるんだ…!まだ打てる!宝石魔法 デトネーション・ラッシュ!」


宝石魔法は火力が高い分、集中力を多く使うし、体力、魔力の消費が多い。ゴブリンを抑えることはできているが、長くは持たない。ずっと全力疾走をし続けているような感じだ。打ちすぎると眩暈もするし、疲労もどんどん溜まる。


アスト(僕が…食い止めないと…みんなを…守らないと………)


正直ここまで連発して魔法を打ったことはない。徐々に制御ができなくなって火力が落ちてきている。だけど…諦めるわけには…。


ユキト「お、おい避けろアストっ!」


アスト「…あっ」


気がつくと黒いゴブリンが迫っている。魔法の隙間をぬって近づかれていたようだ。しかし、頭が追いついていないせいで、避けられない。


アスト(しまっ…!ぼ…防御が…!)


スタッ…


アスト「えっ!アトラ…くん!?」


僕とゴブリンの間にアトラくんが立っていた。


アトラ「金魔法 ゴールド・スラッシュ!」


アトラくんが持っている両手のナイフに魔力を込めて、ゴブリンの首周りを切りつけた。それと同時に、ゴブリンの身体が金に変わっていた。


「ギギッ…!?」


すると、一瞬で身体全てが金に変化してしまい、バラバラに砕け散った。


アトラ「…」


アスト「金…魔法…?」


聞いたことのない魔法だった。宝石魔法にも金に関する魔法はない。いや、僕自身が聞いたことがないだけの可能性もある。


アトラ「…アスト、少し息を整えろ。俺が時間を稼ぐ」


アトラの声に僕はハッとした。そうだ、それを考えている暇はない。


アスト「う、うん…でも…大丈夫?」


アトラ「俺たちのために…命をかけてまで頑張ってるんだ。なら俺も、手加減なんてしない。俺も命をかけて、持っている力全てを出し切ってやる」


アトラの目は冷徹でありながら、すごく頼もしさがあった。これは彼なりの覚悟なのだろう。


アスト(…そっか、みんなも覚悟を決めてるんだ。なら…僕の勝手で動くわけにはいかない。自分から言ったんだ。ちゃんと連携を取らないと!)


シュート「幻惑魔法 イリュージョン・テイル!」


シュートが自身の幻影を作り出そうとしていた。ゴブリンたちはその様子を見て一瞬戸惑った仕草を見せたが、構わず攻撃を仕掛けていた。


シュート「は…はや…!?」


シュート本体は少し下がっていたため攻撃は当たらなかったようだが、幻影を完全に作り出すことが出来ず、作り途中であっさり倒されてしまっていた。


シュート「うっ…炎の爆撃を狙ってたのに…」


ジル「天候魔法 レイン・スピア!」


空から槍状の水が、雨のように降り出した。その1つ1つがゴブリンたちを貫いていった。


ジル「おい、大丈夫かよ」


シュート「ジ、ジルさん…!は、はい!俺は大丈夫です…!」


ジル「俺が時間を稼いでやる。だから早くその幻惑魔法を使え。その方が戦いやすいんだろ?」


シュート「わ、分かりました!幻惑魔法 イリュージョン・テイル!」


その様子を見ていた僕は感心していた。回復魔法を扱えるだけでなく、天候魔法まで扱えるとは…やはり彼は魔法の天才だ。もしかすると、天使の羽があった時から思っていたが、やはり彼は…。


ユキト「あっちも大丈夫そうだな、俺たちも負けられないぞ!」


アスト「…すぅ〜…はぁ〜…よし、僕も…気合い入れるぞ…!」


息を整え、再び魔力に集中する。


アスト(食い止めることはできてる…!後は時間との勝負…!)


ドスン…ドスン…


5人「!?」


大きな足音が近づいている。おそらくこの音…まだ気配は感じられないけど…確実に、あの黒いオークが来ている。


ズズズズ…ドゴォン!


アスト、ユキト「!?」


突如、木々がなぎ倒される。その方向を見て、僕は驚いた。そこにいたのは、昔一緒に戦ったあの黒いオークよりもとてつもない大きいオークが立っていた。


アスト「こいつ…!オークロードだ!!」


ユキト「た、確かに言われてみれば…!通りで大きいはずだ!」


オークロードは普通のオークと違い、筋肉、大きさ、知能が桁違いに高い。まさにオークの中の王様といえるようなモンスターだ。特徴としては、赤い目と分厚い筋肉だろう。実力は普通のオークと比べ物にならない。黒いオークでランクCなら…間違いなくオークロードはランクBに入れるだろう。


アトラ「なら…先に損傷を与えてやる!ヒットアンドアウェイで…!」


アスト「ま、待ってアトラくん!」


しかし遅かった。アトラは素早く近づき切りつけた。しかし、すぐさま傷が回復してしまった。


アトラ「なっ…これは…!」


オークロードは棍棒を振り上げている。このままではアトラくんにぶつかってしまう。


アスト「っ避けて!クリアライト・バレット!」


ドゴーン!


アトラ「くっ…」


宝石を腕と棍棒に当てて氷漬けにする。しかし、すぐさま粉々に壊されてしまった。だが、おかげでほんの少しだが振り下ろす時間を稼ぐことができ、なんとか避けることができたようだ。


アスト「アトラくん大丈夫!?」


アトラ「あぁ…怪我はない」


アスト「オークロード…こいつの強いところは力もそうなんだけど、1番厄介なのは…再生能力があることなんだ。傷を与えても傷口がすぐに再生する。だからオークロードは怪我を恐れず、捨て身で攻撃してくるんだ。近づくのは危険だよ」


アトラ「…そうなのか。だが…それにしても…再生能力が高すぎないか?」


アトラが傷つけた箇所を見ると、すでに傷はなくなっている。


アスト「…うん。普通のオークロードよりも再生能力が高い…それにあいつを倒すには…」


アトラ「…再生能力でも追いつかないほどの一撃で…1発で…仕留めないといけないってことか」


アスト「うん…でも現状それができるのは僕たちの中には誰もいない。ユキトの力でも、多分無理だと思う」


アトラ「なら、予定通り…時間稼ぎだな…!」


アトラは再びナイフを構えた。頼りになる…が、このままだとまずいのは分かってる。オークロードばかりに目は向けられない。ゴブリンたちだけで抑えるので精一杯なのに…オークロードまで相手できない。


シュート「炎魔法 ブラストフレイムエッジ!」


ジル「おらぁっ!!」


僕たちの後ろで2人が抑えててくれている…しかし、見えてしまった。2人の攻撃を躱し、通り抜けてしまっているゴブリンたちを…何体か逃してしまっている。避難はできていると思うが…このままだとまずい。


アスト(くっ…いや…まだだ…!なんとか食らいつかないと…!)


ユキト「氷魔法 アイスロック!」


ユキトがオークロードの足元を凍らせる。攻撃を受けたオードロークはユキトの方を見ていた。


アトラ「よそ見とか…余裕だな…!金魔法 ゴールド・スラッシュ!」


2人が順番に攻撃をする。ユキトが攻撃をしたらアトラが攻撃をしてユキトが距離をとる。アトラが攻撃したらユキトが攻撃をしてアトラが距離をとる。このヒットアンドアウェイ戦法でオークロードを抑えている。現にオークロードの攻撃は遅いため、避けるには充分な時間がある。


アスト(…いや、落ち着け僕。みんな魔力や体力には限りがある。抑えきれないのも分かってる。そのための時間稼ぎ。だから…引き際も…そろそろ視野に入れないといけない…!命がかかってるんだ。慎重に判断しないと…!)


その時だった。突如…空気が変わった。


オークロードの動きが今までと違う。持っている棍棒を思いっきり振りかぶる。


アスト(な…何を…?)


ユキト「…!全員避けるか防御をしろっ!!」


ユキトが叫んだ。だけど遅かった。オークロードが思いっきり棍棒を振り下ろした。


ドゴゴゴゴ…!


シュート「うわぁっ!?」


ジル「じ…地震だと…!」


大きな地震が起きる。それと同時に、地面にから尖った大きな岩が飛び出してくる。


アスト(っ!これは…土魔法のアースクェイク!?いや…破壊力が違う…!!こんな魔法見たことない…!)


地面が揺れると同時にオークロードを中心に岩が飛び出している。


アスト(だ…ダメだ…避けれない!?)


地震の揺れで見事にバランスを崩してしまった。まだ揺れは続いている。そのせいで体が起き上がれない。


アスト(まずい…岩が…!?)


??「風魔法 ウィンド・ストーム!」


ぶつかると思ったその時、突然強風が吹き荒れる。あまりの強さに僕の体が浮くほどだった。


アスト「うわぁぁぁー!?」


シュート「な、何この強風!?」


浮いていたのは僕だけじゃなかった。周りを見ると、ゴブリンたちや、シュートたちみんなも風で飛んでいる。すると、さらに風の勢いが強くなり、ゴブリンたちを一気に吹き飛ばしてしまった。


アスト「こ、これは…」


??「よっと…間に合って良かった」


アスト「…えっ!ど、どうして…!」


吹き飛んでいた僕を誰かがキャッチした。その声はどこかで聞いたことのある声だった。


アスト「ファリル…さん!!」


ファリル「やぁ、久しぶりだね」


ユキト「ファリルさん!?ど、どうしてここにいるんだ!?」


すると、ユキトたち全員も僕たちの近くに来ていた。少し離れていたシュートとジルもすぐそこにいる。


アスト(まさか…ゴブリンたちは吹き飛ばして、ユキトたちは近くに来れるように風を調整した…?いや…まさかね…?)


もしそうなら…僕には想像できないほどの魔法の技術力だ。


ファリル「君たちの仲間から助けを求められたのさ。ギルドの一員として、無視はできないからね」


シュート「それって…!」


ライキ「雷魔法 クラッシュ・ボルト!」


宙に突如大きな雷が発生し、大きな音と共にオークロードへと落ちた。


ライキ「大丈夫か!?」


シュート「ライキ!」


振り返るとライキがこちらに走ってきていた。


ライキ「はぁ…はぁ…ファリルさん早すぎだろ…」


ファリル「ははは、風の力で速度を上げてるからね。それよりも…オークロードか。ずいぶん力がある…」


アスト「あ、あの…避難は大丈夫ですか?」


ファリル「あぁ、村の大人たちを中心に避難もだいぶ落ち着いたところだ。何体か村に近づいていたモンスターもいたけど、もう何組かのギルドの人たちが到着したから、その人たちが対応してくれているよ。被害もまだでてないから安心して」


アスト「そ、そうですか…良かった…」


ユキト「なんとか…目的は果たせたんだな…!」


ファリル「あぁ、君たちのおかげで被害が出なかったと言っても過言じゃない。よくやってくれたね。後は僕たちに任せて」


ファリルさんは大きな大剣を構えた。


ファリル「と言っても…流石の僕でもこのオークロードには1体1じゃないと厳しいから、周りのゴブリンたちは君たちに任せるよ」


アスト「わ…分かりました!」


ファリル「それじゃあ…頼んだよ!」


すると、ファリルさんは目にも止まらぬ早さでオークロードに近づくと、大きく腹部分に蹴りをいれた。その勢いに耐えきれず、オークロードは少し後ろへと吹き飛んだ。


アスト「あ、あの巨体を…蹴りで…!?」


ジル「ファリル…さん…噂では聞いたことがあったが、あれが…」


アトラ「クラスB…の実力か…」


僕たちはただ見ているだけしかできなかった。これが本気のファリルさん…。あの時、僕たちはファリルさんに勝って喜んでいたが、ホントの彼の実力には足元にも及ばないだろう。


ユキト「アスト、驚いている暇ないぞ!吹き飛ばされたゴブリンの群れが戻ってきてる!」


アスト「う…うん!」


少し離れたところで大きな音が響いている。ファリルさんとオークロードの闘いの圧のようなものがこちらにまで届いている。


アスト「…負けられないね!みんなもうひと踏ん張りだよ!絶対に…ここを守り切ろう!」


ファリルさんの参戦で希望が見えてきた。僕の声にみんながうなずいてくれる。


ユキト「おう!ここから反撃してやろうぜ!」


シュート「まだまだ…魔力には余裕がありますからね!」


ライキ「俺も…出し惜しみで戦う!」


アトラ「…ここで全員倒す…!」


ジル「…しかたねぇ、ここまで来たら最後まで付き合ってやるよ」


この防衛戦を守り抜くことができれば、被害を抑えることができる。僕も含め、全員が覚悟を決めていた。それにここを抜けられても、もう村にはギルドの人たちが来ている。だから少し安心して戦える。


アスト(決着を…つける時だ!)


アスト「宝石魔法 デトネーション・ラッシュ!」


ゴブリンの群れに向かって魔法を放つ。辺りに大きな爆発音が鳴り響く。


この音を合図に攻防戦の火ぶたがきって落とされた。

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